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イギリスの首都、ロンドンはいつも鬱陶しいくらいの曇り空である。 丁度今もロンドンは雨が小降りで、心がとても暗く落ち込ませるようなどんよりとした曇り空であった。 人々はこう思うだろう。鬱陶しい、たまにはからっと晴れた日を増やして欲しいと。しかし、ロンドンの天気は気紛れであり、からっと晴れたと思えばすぐに曇ってしまい、街全体を暗くさせるのだった。 そんな中、克は自家用のジャガーに乗って運転しながらロンドンの空を見上げる。 小降りの雨のせいで車が汚れてしまう――そんな事を考えながらも車を発進...
:+: notebook :+: | 2010.07.13 Tue 09:29
「おい」 理科の授業でそれぞれ仲良しの子とペアになって実験するというものがあったのだが、和則は誰とも組まず一人でやろうとしていたところを郁也が声を掛けたのだった。「お前、一人でやるのか?」「うん、別に一人でも大丈夫だから」 ちょっとぶっきらぼうに答えると、郁也は顔をしかめながら黙った。「郁也がいいなら一緒にやる?」「……ウン」 他の園児達はすでにペアになっていて仲良く実験を始めているのだが、郁也は誰とも組めずぽつんと寂しそうに立っていた。和則は優しい目で郁也を引っ張って机の前に立った。
:+: notebook :+: | 2010.07.12 Mon 09:23
わあわあと叫ぶ園児達に和則はちらっと眉を上げながら様子を見ると、すぐに興味を失って本に目を移す。そんな毎日に保育士が心配して一緒に遊ぼうよ、と声を掛けてくれるが、和則はただ首を振っただけであった。「どうして? 楽しくないの?」「違うよ。僕は本を読むのが好きなだけなんだ」「そう、淋しいな、先生は」「他の園児と遊んだら?」 内心可愛くない子ね、と少し不快感を持った保育士はそう、と言ったきり他の園児達のところへ行ってしまった。和則はうんざりしながら本をまた開いて読み始める。 すると昨日和則...
:+: notebook :+: | 2010.07.12 Mon 09:22
昼ご飯も食べて滝川がのんびりとリビングのソファでくつろぎながら本を読んでいると、一本の電話が鳴り響いたので傍にあった子機を取った。「はい、滝川です」 はっきりとした口調で応対すると、幼稚園からである事が判明したので台所で水仕事をしている圭をちらりと横目で見ながらはい、と返事をした。『非常に申し上げにくいのですがね、お宅の和則君が問題を起こしたのですのよ――』 甲高い声が受話器から漏れる。滝川は息子が問題を起こすような子ではないことに確信をもっていたので適当に返事を促した。『とにかくです...
:+: notebook :+: | 2010.07.10 Sat 11:51
和則の幼稚園生活も順調に送り、圭のお腹もどんどん膨らんでいった。双子なので和則の時より大変で少し動いただけで息切れしてしまうほどであった。「こんなに大変とは思わなかったわ!」「大丈夫?」 夫の滝川も心配してくれて圭の身体を支えながら幼稚園の授業参観に参加するつもりで向かった。 幼稚園の門を潜ると、やはり他の保護者の好奇心の目が一斉に夫に集まったので、圭は少し不愉快な気分になった。 夫がもてるのはいいが、それにちょっかいだそうとする女性もいるわけで、内心ハラハラしているのを滝川は知らな...
:+: notebook :+: | 2010.07.09 Fri 09:28
四月に入ると滝川も忙しくなり、圭のお腹も大きく膨らんでいた。和則は冷静沈着な性格なのかずっと素面のままであった。「和則、大丈夫なの?」 手に引かれて入園式が始まるまでの待ち時間で心配そうに覗き込む母親に、和則はにっこりと笑った。「大丈夫だよ、僕は上手くやるから」「そう……あまり算数が出来る事を自慢に話したら駄目よ?」「分かってるって」 出来のいい息子に少し心配になってきたのだが、当の本人に緊張感も感じ取ることが出来なかった。
:+: notebook :+: | 2010.07.08 Thu 09:42
「和則、本当にいいのか? ここで」 滝川が不安げに息子の顔を見ながら確認するので、和則は顔をしかめていいよ、とぶっきらぼうに返事をした。「本当に?」 圭も心配そうに息子を見下ろす。「別に、どこでも一緒だと思うよ。それより、本屋へ行こう」 和則はにっこりと笑って父親の手を握って引っ張っていく。可愛らしいが、不安は解消されなかった。
:+: notebook :+: | 2010.07.08 Thu 09:40
「んーっんーっ」 静かな部屋にその可愛い声が響き渡ったので、圭は何事かと思って台所から出て声のした部屋に向かう。「何してるの? 和則」「そこにあるプラモデルが欲しいの」 和則が手を伸ばしてタンスの上にある船のプラモデルを取ろうと背伸びしながら頑張っていたので、圭はクスッと笑いながらそれを取ってやる。
:+: notebook :+: | 2010.07.06 Tue 10:17
「兄さん、話があるんですがちょっといいですか?」 長く感じられた沈黙を破った克が、滝川にこう声を掛けた。滝川はピクリ、と反応を示して何だ? と応答する。「ここじゃ、何ですから」 と言った後に玄関に向かう。滝川はそのまま後に続いて向かった。圭は不思議そうに二人を見送り、何事もなかったようにして和則をあやし始める。 玄関の外に出た二人は、そのまま階段を下りて外に出た。
:+: notebook :+: | 2010.07.05 Mon 12:38
いつも人が忙しそうに重たい荷物を持って広い空間を彷徨っているように見えた。 ここは、成田空港であり、家族三人で祖母を迎えに来たのである。息子の和則にとっては祖母とは初対面である。しかし、和則は嬉しそうにキャッキャッとはしゃいで電子掲示板や他のコンピューターなどに関心を持って大喜びしていた。「この子、コンピューター関係にとても関心持つわね?」
:+: notebook :+: | 2010.07.04 Sun 10:58
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