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第六部 11.

 「一体、どうしよう――っていうの?」 身体を克から離れようとやや斜めに傾けて、克のほうに向き合った。「そのままの意味ですよ」「何を、するの」 恐ろしげなものを見たような声の震え方に克は鼻で笑った。そして母さん、と呼んだ。

:+: notebook :+: | 2010.07.16 Fri 09:25

第六部 10.

  一体、何が起こったのか把握出来ないでいる圭は、ただただ立ち尽くしたまま克の唇と舌に弄ばれるだけであった。 ねっとりと絡みつくその舌に苦しくなって息継ぎをすると、思ったよりその息の音が大きく耳に響いてきたので恥ずかしくさえ思った。克はどう感じたのだろう、と彼の瞑っている目をじっと凝視する。 彼の手が圭の腰に回され、ぐいっと彼の身体に寄り添うようにしてくっついた。誰も来ないのが幸いなのかそれとも不運なのか圭には分かりかねた。 目を瞑ると、あの頃の克を思い出される――そんな懐かしい気持ちにさ...

:+: notebook :+: | 2010.07.16 Fri 09:23

第六部 9.

  梓達が帰って行くと、夫婦は双子の名前を考えるのに本を開いたり語呂合わせを確かめたり、心配な時は姓名判断の本を開いたりしたので、和則が退屈し始めた。 算数の本を全部読み終わってしまったので、夫婦の会話に参入しようと母親の傍に歩み寄る。「名前、まだ決められないの?」 和則がきょとんとした顔で妹の顔を覗き見てどう呼ぼうか決めかねていた。圭は和則の頭をそっと撫でてやり、まだ決めてないのよと言いながら名付け本を閉じた。「そういえば昔あやねという女の子がいたわね。幼稚園の時に。わたし、あんな可愛...

:+: notebook :+: | 2010.07.16 Fri 09:22

君の嘘

JUGEMテーマ:恋愛小説      君がする約束など守られたためしがない のに。その瞳で君はまた嘘をつく。「かならずよ」とその唇が囁く。僕は仕方なく笑うけれど、虚しく力なく頷くだけ。君は笑顔で「ごめんなさい」と言う。僕 は「また今度でいいさ」と繰り返す。僕がこのゲームから降りない限り、それは続くんだ。 #twnovel

あの日ぼくらは此処にいた | 2010.07.15 Thu 21:35

性愛にっき-11-

真一のお腰にまたがって、お尻を浮かせている二十歳の亜希子。仰向いた真一のお顔に、お顔をすりよせ、舌先をからませている亜希子。「うううっ、ああっ!」下から、ぶっすり、一気に勃起おちんぽ、挿しこまれて、亜希子、絡んだ舌をはずしちゃう。「ああっ、ああっ、あああっ!」おっぱい、乳首、揉みモミされるまま、ぶっすり突かれて、抜かれて、突かれます。亜希子、お顔をのそけらせて、ぎゅっと快感に顔をしかめちゃう。「ふううん、ほら、ほら、ほらっ、あっこぉ!」ぺたん、ぺたん、挿しこまれて、亜希子のお股に真一のお腰が...

あっこの愛の部屋 | 2010.07.14 Wed 11:03

第六部 8.

  イギリスの首都、ロンドンはいつも鬱陶しいくらいの曇り空である。 丁度今もロンドンは雨が小降りで、心がとても暗く落ち込ませるようなどんよりとした曇り空であった。 人々はこう思うだろう。鬱陶しい、たまにはからっと晴れた日を増やして欲しいと。しかし、ロンドンの天気は気紛れであり、からっと晴れたと思えばすぐに曇ってしまい、街全体を暗くさせるのだった。 そんな中、克は自家用のジャガーに乗って運転しながらロンドンの空を見上げる。 小降りの雨のせいで車が汚れてしまう――そんな事を考えながらも車を発進...

:+: notebook :+: | 2010.07.13 Tue 09:29

第六部 7.

 「おい」 理科の授業でそれぞれ仲良しの子とペアになって実験するというものがあったのだが、和則は誰とも組まず一人でやろうとしていたところを郁也が声を掛けたのだった。「お前、一人でやるのか?」「うん、別に一人でも大丈夫だから」 ちょっとぶっきらぼうに答えると、郁也は顔をしかめながら黙った。「郁也がいいなら一緒にやる?」「……ウン」 他の園児達はすでにペアになっていて仲良く実験を始めているのだが、郁也は誰とも組めずぽつんと寂しそうに立っていた。和則は優しい目で郁也を引っ張って机の前に立った。

:+: notebook :+: | 2010.07.12 Mon 09:23

第六部 6.

  わあわあと叫ぶ園児達に和則はちらっと眉を上げながら様子を見ると、すぐに興味を失って本に目を移す。そんな毎日に保育士が心配して一緒に遊ぼうよ、と声を掛けてくれるが、和則はただ首を振っただけであった。「どうして? 楽しくないの?」「違うよ。僕は本を読むのが好きなだけなんだ」「そう、淋しいな、先生は」「他の園児と遊んだら?」 内心可愛くない子ね、と少し不快感を持った保育士はそう、と言ったきり他の園児達のところへ行ってしまった。和則はうんざりしながら本をまた開いて読み始める。 すると昨日和則...

:+: notebook :+: | 2010.07.12 Mon 09:22

第六部 5.

  昼ご飯も食べて滝川がのんびりとリビングのソファでくつろぎながら本を読んでいると、一本の電話が鳴り響いたので傍にあった子機を取った。「はい、滝川です」 はっきりとした口調で応対すると、幼稚園からである事が判明したので台所で水仕事をしている圭をちらりと横目で見ながらはい、と返事をした。『非常に申し上げにくいのですがね、お宅の和則君が問題を起こしたのですのよ――』 甲高い声が受話器から漏れる。滝川は息子が問題を起こすような子ではないことに確信をもっていたので適当に返事を促した。『とにかくです...

:+: notebook :+: | 2010.07.10 Sat 11:51

第六部 4.

  和則の幼稚園生活も順調に送り、圭のお腹もどんどん膨らんでいった。双子なので和則の時より大変で少し動いただけで息切れしてしまうほどであった。「こんなに大変とは思わなかったわ!」「大丈夫?」 夫の滝川も心配してくれて圭の身体を支えながら幼稚園の授業参観に参加するつもりで向かった。 幼稚園の門を潜ると、やはり他の保護者の好奇心の目が一斉に夫に集まったので、圭は少し不愉快な気分になった。 夫がもてるのはいいが、それにちょっかいだそうとする女性もいるわけで、内心ハラハラしているのを滝川は知らな...

:+: notebook :+: | 2010.07.09 Fri 09:28

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