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ざぶーん、ざぶーんと波しぶきが船と衝突して音を立てている。 少し肌寒い空気が肌にひしひしと伝わり、気持ちが良かった。沖が近いせいか波のうねりが強まってきている。遠くを見渡すと、北の方にうっすらと灯台がそびえたっているのが見えてきたので皆はおおはしゃぎでもうすぐだ! と野次馬がどんどん引き寄せていく。
:+: notebook :+: | 2010.06.22 Tue 09:24
高らかに鳴り響く教会の鐘がゆっくりと優雅に振っている。 こぢんまりとした教会の中には、質素な結婚式が挙げられている。 教会の扉が開かれ、美しいウェディングドレスをまとった女性と女性の父親が入場してきた。招待客は一斉に拍手を始め、新婦の入場を見守る。
:+: notebook :+: | 2010.06.21 Mon 09:52
「あ、和也もう来てたんだ?」 ドアをガラガラと音を立てながら開けるとベンチに滝川が座っていたのを視界の中に捉えたのでホッとして病室に足を踏み入れた。「水羊羹盛ってくれたんだ」 滝川がありがとう、とお礼を述べてお盆を受け取る。「はい、どうぞ」「ありがとう」 彼はまっすぐに父親に水羊羹が盛られたガラスの皿をこぼさないようにそっと渡した。滝川和則は嬉しそうに水羊羹を眺め、綺麗な色だねえと感心しながら一切れを口にぽいと放り込む。 口をもぐもぐと動かせながらしきりに頷く。
:+: notebook :+: | 2010.06.20 Sun 11:41
梓にそう突きつけられて意外そうな表情で彼女を見つめる。梓はじっと滝川の目を据えていたが、圭に呼ばれたので元気よく返事をして台所へ駆けて行った。「……分かってるよ」 滝川はそう呟いてくしゃっと髪の毛を掻き揚げる。 圭はベーコンを焼いて目玉焼きの上に乗せてテーブルに運んだ。「よし、あとは紅茶ね……っと」 不意に後ろから滝川に抱きつかれ、ドキリとさせられた。梓は顔をしかめて二人のラブラブなところを見せ付けられて少しばかり不愉快な気分になる。
:+: notebook :+: | 2010.06.20 Sun 11:39
梓は落ち着かない様子でリビングルームにある黒のソファに腰掛けて、圭の作っているお茶を待ちながらテレビを見る。そっと滝川と圭の様子を見ると、二人は楽しそうに話をしながらお茶の用意をしている。 この二人には年月を重ねた信頼関係もあり、お互い理解し合っているように見え、梓は思わず下唇を噛んだ。「出来たわ、梓ちゃんお待ちどうさま」 お盆に紅茶カップを載せて運んできた圭は梓の手前にあるガラス張りのテーブルの上にそっと置く。
:+: notebook :+: | 2010.06.17 Thu 20:39
どうして――! 納得いかない! あたしの方が魅力的なのに! 和ちゃんは……どうして はだしのままで飛び出て来たので、足に痛覚がし始める。コンクリートはこんなに硬いものか、と思わされ足の裏は所々傷が出来て血がじんわりとにじみ出ている。「誰か――教え、て」 ぜえぜえ、と激しい息切れのために呼吸が苦しく、道端で座り込む。
:+: notebook :+: | 2010.06.16 Wed 21:32
圭はそっと彼を見上げると、そこには険しい顔がある――まるで復讐に燃えた孤独な戦士のように。「……あなたは悪くないわ。わたしが、勝手に克を家に上がらせてしまったから」 冷静に話し掛けるが、滝川はそれすらも聞こえてないように思われた。圭は滝川の腕を引っ張ってやめて、と促す。「はーっ……」 彼の大きなため息が静かなリビングルームにぽっかりと浮かぶように出て来る。しんと静まり返ったリビングルームはその無残さを語っているような物悲しげな雰囲気を帯びていた。
:+: notebook :+: | 2010.06.16 Wed 11:14
翌日の夕方、圭は信じられないものを目のあたりにする。それは新聞の芸能ニュース欄に自分と克の事が報道されたものである。 ――まさか、一緒にいるところを見られたにしてもここまで出鱈目を書かれるなんて! 自分の愚かさを呪う。どうしてこんな事になると予想しなかったのか――それとも克の思惑なのか? 彼女は混乱してしまう。 その時に電話が鳴り始める。気を取り直して電話に出る。「はい、穂積です」『あんたが穂積圭? いい気になんないでよ! 克様はわたし達のものなんだから――』
:+: notebook :+: | 2010.06.15 Tue 09:54
桐野さんの作品を読むのはなかなか体力がいるのだけど、手持ちの本も少なくなってきて、どうかな〜と思いながら読み始めました。ここのところ心身共に弱っているもので(._.)最初は現代の男女の恋愛ものだと思っていたのですが、時代が遡り登場する男女。その4人の心情が交錯し、淡々と語られていく。4人それぞれの過去と現在(生きている今の思い)の思いが語られ、女性ならではの心と体の繋がりを求めたり、男性ならではの体の繋がりを求めたり、それぞれに共感できる部分はありました。最初は質視点で浪子ってなんて女だ!と思っ...
kuuの読書感想 | 2010.06.14 Mon 18:05
「おねが、い……克……」 唇を離すと圭はそう言って身体をよじらせる。克の手によってブラウスのボタンを外され、ブラジャーが露わになる。その純白の下着は光を受けてより一層白く映えている。 克は圭の胸元に口付けをして舌を出して鎖骨辺りを舐め始める。その彼の吐息がかかったところに敏感になり、彼女の口から喘ぎ声が漏れる。「克……やめ――」 力なく弱々しい声で抵抗しながらも克を制しようとする。 彼は素早く圭の背中に手を回してブラジャーのホックを外す。「いやっ……! やめてぇ!」 その叫び声も空しくリビングル...
:+: notebook :+: | 2010.06.14 Mon 09:28
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