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JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから あんな子じゃなかったのに。 叔且(としかつ)は、本当に良い子だったのに。 叔且は小さい頃から利発な子で、 誉次郎(もとじろう)と桐代はいつも目を細めて、叔且のやる事なす事喜んだ。 誉次郎は教師という職業柄もあり、息子には厳しさをもって臨んだが、 叔且はそれによく答え、父の期待を裏切らなかった。 本来あるべき反抗期も、よそ様ほど激しく感じる事もなく、 叔且は父の母校の大学に進学した。 ただ、母方の桐代の家系に似たのか、父とは同じ道を歩...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.03.13 Fri 00:25
JUGEMテーマ:恋愛小説最近、よく本読みますとも!中学生になってから、あんまり読まなくなったけどアニメでハマッて、ラノベから始まったんだけど図書館ってラノベの予約多いじゃん、で、待ってるのって苦手だからね(´・ω・`)現代小説を読むようになりました。でも、本との出会いって貴重だと思う。小出舞るいさんの作品とか著書名すら知らなかったのに図書館に行くようになって、本と出合って。自分の中で素晴らしいって思える作品に出会えて。wwまだオチしらん(^o^)あと1章分くらい・・・これから読んだらまた書く!んじゃ、かな
つんみみ@がちゃ | 2009.03.12 Thu 23:15
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 叔且は誉次郎・桐代夫婦の一人息子だった。 二人とも戦中に誕生しているが、末の娘と末の息子だったおかげで、 父親が戦争にかり出される年齢ではなかった。 誉次郎が年の離れた兄を戦地で亡くした以外は、 家族は戦後も生き抜き、 空襲の時も危うく戦火を逃れ、家も無事だった。 また、当時としては裕福な家庭環境だったのだろう。 桐代も誉次郎も名のある大学を出ていた。 桐代は大学四年の時、親の勧めに従って、 当時中学の教員をしていた誉次郎と見合いし、...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.03.07 Sat 23:53
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 叔且(としかつ)が初めて佳苗を家に連れてきたのは、十三年前の暑い夏の盛りだった。 前日に突然「会って欲しい人がいる」と叔且に言われ、 心の準備もなく、桐代には何が起こったのか、把握する事ができなかった。 翌日やってきた佳苗は、白いノースリーブのワンピースを着て、 叔且の後ろであいそ笑いを浮かべていた。 夫の誉次郎(もとじろう)が、家に招き入れなかったら、 塩をまいて追い返したのに。 ――もっとも、実際帰った後に塩をまいたが・・・。 ...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.03.03 Tue 21:33
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 嵯峨桐代は、息子叔且(としかつ)の言っている事が信じられなかった。 いくら孫の玲王(れお)が不登校とはいえ、あの佳苗に会わせようなんて! 「とにかく、カウンセラーの柏倉(かしわぐら)先生と 充分相談した上で決めた事なんだ。 父さんや母さんに不満があるのは、よくわかっている。 でも、決めたことなんだ。」 夕べ、叔且は両親を前にして言い切った。 叔且が親の意見を聞き入れず、自分で勝手に決めるのは、 佳苗と結婚した時以来だ。 あの子は...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.27 Fri 09:33
JUGEMテーマ:恋愛小説映画の帰りに、本屋に寄ったら石田衣良さんの「美丘」を見つけた。帰ったらお仕事の続きだけど本を買うと、なぜかウキウキするので迷わず購入♪さぁ、頑張ってお仕事だっ
*CottonRose* | 2009.02.26 Thu 00:26
「行って来ます」 そう言って、素足のまま真新しいミュールを履いた。 扉を開けると、そこは、思わず手をかざす程の日差しが降り注いでいる。 鞄を持ち替え玄関から一歩出ると、ガチャリと昴の家の扉が開いた。 「おはよう。葉月ちゃん」 「おはよう」 「昨日は、よう眠れた?」 私を見つけた亮が笑顔を見せると、訊いた。 「うん。眠れたかな」 「そっか。俺は全然、眠れへんかった」 「え?本当に?」 「なんや緊張して。ほら、海なんて行くの久々やし」 そう言って、照れたように頬を触る。 右側を歩きなが...
君に綴るもの・・・ | 2009.02.25 Wed 03:09
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから そう、茉莉(まり)に言われるまでもなく、玲王(れお)は佳苗の子供だ。 叔且(としかつ)に言った言葉に嘘はなく、 玲王を母のない子にしたのは、佳苗にも責任があるのだ。 佳苗は右手に目を落とした。 その手を目の前まで持ってきて、指・爪・手の細部を見つめる。 玲王の手はどんな手だろう。 人間はどうしてか、手と足はそっくり肉親の誰かから遺伝するらしい。 手足とも父だったり、母だったり。 手が父で、足が母だったり。その逆だったり。 DNAの不...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.21 Sat 16:12
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 茉莉(まり)とは、叔且(としかつ)と同様 会社の同僚で、同期だった。 叔且との事も応援してくれていたし、結婚式にも来てくれた。 そして、その後の顛末も知っていた。 叔且と別れた後の傷心の佳苗を支えてくれた友人の一人だ。 お互い家庭を持ってからは、しょっちゅう会う事はなくなったが、 時々連絡を取り合っている大切な友人だ。 その茉莉の娘、奈々緒(ななお)も不登校だと言う。 「カウンセリングに通い始めて二ヶ月になるけど、 良くもなく、悪...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.14 Sat 15:34
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 茉莉(まり)と別れてから、 佳苗は目的もなく只ぶらぶらと街の中を歩いた。 街行く人は忙しげで、 何かにせかされているように皆一様に急いでいるように見えた。 そう、誰もが忙しい。 誰もが自分のことで精一杯なのだ。 それは佳苗も同じだ。 新しい生活を守りたい。 夫・拓真(たくま)との生活を壊したくない。 誰だって自分がかわいい。 自分が大切だ。 それは悪い事だろうか。 身勝手な事だろうか。 「ふぅ。」 佳苗はため息をついた。 拓真に話す...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.10 Tue 19:57
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