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JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 叔且(としかつ)が初めて佳苗を家に連れてきたのは、十三年前の暑い夏の盛りだった。 前日に突然「会って欲しい人がいる」と叔且に言われ、 心の準備もなく、桐代には何が起こったのか、把握する事ができなかった。 翌日やってきた佳苗は、白いノースリーブのワンピースを着て、 叔且の後ろであいそ笑いを浮かべていた。 夫の誉次郎(もとじろう)が、家に招き入れなかったら、 塩をまいて追い返したのに。 ――もっとも、実際帰った後に塩をまいたが・・・。 ...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.03.03 Tue 21:33
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 嵯峨桐代は、息子叔且(としかつ)の言っている事が信じられなかった。 いくら孫の玲王(れお)が不登校とはいえ、あの佳苗に会わせようなんて! 「とにかく、カウンセラーの柏倉(かしわぐら)先生と 充分相談した上で決めた事なんだ。 父さんや母さんに不満があるのは、よくわかっている。 でも、決めたことなんだ。」 夕べ、叔且は両親を前にして言い切った。 叔且が親の意見を聞き入れず、自分で勝手に決めるのは、 佳苗と結婚した時以来だ。 あの子は...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.27 Fri 09:33
JUGEMテーマ:恋愛小説映画の帰りに、本屋に寄ったら石田衣良さんの「美丘」を見つけた。帰ったらお仕事の続きだけど本を買うと、なぜかウキウキするので迷わず購入♪さぁ、頑張ってお仕事だっ
*CottonRose* | 2009.02.26 Thu 00:26
「行って来ます」 そう言って、素足のまま真新しいミュールを履いた。 扉を開けると、そこは、思わず手をかざす程の日差しが降り注いでいる。 鞄を持ち替え玄関から一歩出ると、ガチャリと昴の家の扉が開いた。 「おはよう。葉月ちゃん」 「おはよう」 「昨日は、よう眠れた?」 私を見つけた亮が笑顔を見せると、訊いた。 「うん。眠れたかな」 「そっか。俺は全然、眠れへんかった」 「え?本当に?」 「なんや緊張して。ほら、海なんて行くの久々やし」 そう言って、照れたように頬を触る。 右側を歩きなが...
君に綴るもの・・・ | 2009.02.25 Wed 03:09
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから そう、茉莉(まり)に言われるまでもなく、玲王(れお)は佳苗の子供だ。 叔且(としかつ)に言った言葉に嘘はなく、 玲王を母のない子にしたのは、佳苗にも責任があるのだ。 佳苗は右手に目を落とした。 その手を目の前まで持ってきて、指・爪・手の細部を見つめる。 玲王の手はどんな手だろう。 人間はどうしてか、手と足はそっくり肉親の誰かから遺伝するらしい。 手足とも父だったり、母だったり。 手が父で、足が母だったり。その逆だったり。 DNAの不...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.21 Sat 16:12
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 茉莉(まり)とは、叔且(としかつ)と同様 会社の同僚で、同期だった。 叔且との事も応援してくれていたし、結婚式にも来てくれた。 そして、その後の顛末も知っていた。 叔且と別れた後の傷心の佳苗を支えてくれた友人の一人だ。 お互い家庭を持ってからは、しょっちゅう会う事はなくなったが、 時々連絡を取り合っている大切な友人だ。 その茉莉の娘、奈々緒(ななお)も不登校だと言う。 「カウンセリングに通い始めて二ヶ月になるけど、 良くもなく、悪...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.14 Sat 15:34
JUGEMテーマ:恋愛小説 最初から読まれる方はここから 茉莉(まり)と別れてから、 佳苗は目的もなく只ぶらぶらと街の中を歩いた。 街行く人は忙しげで、 何かにせかされているように皆一様に急いでいるように見えた。 そう、誰もが忙しい。 誰もが自分のことで精一杯なのだ。 それは佳苗も同じだ。 新しい生活を守りたい。 夫・拓真(たくま)との生活を壊したくない。 誰だって自分がかわいい。 自分が大切だ。 それは悪い事だろうか。 身勝手な事だろうか。 「ふぅ。」 佳苗はため息をついた。 拓真に話す...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.10 Tue 19:57
JUGEMテーマ:恋愛小説 森弥佳苗は受話器を置いた後、しばらくその場を動けなかった。 「どうした。何かあったのか?」 風呂上りの夫・森弥拓真(もりや たくま)が、 バスタオルで頭を拭きながら聞いてきた。 「いえ、なんでもないの。」 佳苗は笑顔を見せた後、顔を伏せ、少し横を向いた。 「拓真、あのね。」 「なに?」 言えない、と佳苗は思った。 「え・・・と、やだ、ど忘れしちゃった。やあね。」 「なんだよ。そんな年でもないだろう、お・ね・え・さ・ん。」 拓真がちょっとおどけた調子で言ったので、二人...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.02.04 Wed 15:04
こんにちは。 突然ですが、皆さんは離婚式に招待されたことあります? 何それ? 角田光代の『三月の招待状』では離婚式なる、耳慣れないものが 開かれると言うので、驚きと興味で読んでみる事にしました。 帯にあった記載です。 新たな門出を祝う34歳の離婚式。 何を終わらせ、何を変えるのか―。 男女5人の友情と恋愛を描いた長編小説。 もし今私が20歳だったら・・・・・・この人と別れることはかなしくて、 この会場を爆破したかもしれない・・・・・・でも私は今34歳で、今、 なんだかうれしくてたまりません。...
あなたの「幸運引き寄せパワー」をUPさせるヒント | 2009.02.04 Wed 12:36
JUGEMテーマ:恋愛小説 「私に会うことが、本当に玲王(れお)のためになるのかしら?」 「・・・わからない。 だが、帰ってきて三ヶ月、何度となく家に連れ戻し、 話をしようと試みたが、玲王は話を聞こうともしない。 それどころか、暴れるんだ。」 「え?家庭内暴力?」 「認めたくないが。」 少しの間沈黙があった。 「どうして、私に玲王を会わせようと思ったの?」 沈黙を破ったのは、佳苗だった。 「カウンセラーの先生に・・・。 いや、俺が帰ってくる前から父と母が相談していたらしいんだ。 一度だ...
シリウスの泉 「愛の糸」 | 2009.01.30 Fri 18:50
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