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恒川光太郎『夜市』

恒川光太郎『夜市』  この本には、『夜市』『風の古道』の2作品が収められている。どちらも人間が異界に迷い込む話だ。『夜市』は妖怪や鬼など異形の者たちが、怪しげなものを売買する市。市に入ったら最後、何かを買わないかぎり永遠に外に出ることはできない。いずみの同級生、裕司は夜市に行った経験があった。当時小学生だった彼が夜市で買ったものは野球の才能。売ったものは自分の弟だった。裕司はいずみを連れて弟を買い戻しに行く。『風の古道』では、人間には見えない神々の道『古道』に小学生が迷い込む。彼はこの世界で...

わくわくビブリオテーク | 2017.03.11 Sat 02:18

ドストエフスキー『罪と罰』

ドストエフスキー『罪と罰』  貧乏学生が金貸しの老婆を殺めてしまう、あの有名な小説。主人公のラスコーリニコフという名前は、ロシア正教の分離派に由来するらしい。ロジオン・ラスコーリニコフは実家からの仕送りで細々と暮らす貧しい法学徒。父親はすでに他界しており、母親は少ない年金で暮らしている。かわいい妹のアヴドーチャ(ドゥーニャ、ドゥーネチカ)は、ロジオンを支援するために自らを犠牲にして不誠実な男に嫁ごうとしていた。その日センナヤ広場をうろついていたラスコーリニコフは、ある計画を実行することを決...

わくわくビブリオテーク | 2017.03.10 Fri 04:16

潟湖(ラグーン) by ジャネット・フレイム

単行本 白水社 (2014/11/27) 19 x 13.6 x 2.2 cm ISBN-10: 4560099065 ISBN-13: 978-4560099063 内容紹介 祖母の秘密、精神病院での日々、クリスマス・イブの思い出……みずみずしい記憶と懐かしい感覚に満ちた、半自伝的な24の物語。生誕90年、ニュージーランドを代表する作家による珠玉の短篇集。 JUGEMテーマ:小説全般

Book Castle -my list- | 2017.03.09 Thu 19:50

小説の森で − 2.文学としての小説

  さて、天下の最高学府の堂々たる文学士・坪内逍遥様が、人情世態などを描くという   庶民小説に手を染めた時、世間の驚きはいかほどだっただろうと想像すると面白い。文   化とは常に、旧来の常識(思い込み)を打ち破って進化するものだという好例だろう。      逍遥は、小説とは『人情世態を模写し、人の心目を悦ばしめ、且その気格を高尚にす   る』芸術だと言った。そして二葉亭四迷がその模写の意味をさらに深め、...

銀河の旅人 | 2017.03.09 Thu 11:02

『君の膵臓をたべたい』の著者の新作は、タイトルがズレてる?

『君の膵臓をたべたい』の著者による新作が3月22日に発売されます。 タイトルがまたまた、ユニークです。かっこがズレてます。そのまま読めば「かくしごと」。内容は、青春小説のようですね。出版社が発表している内容紹介は以下のとおりです。 きっと誰もが持っている、自分だけの「かくしごと」。みんなには隠している、ちょっとだけ特別なちから。別になんの役にも立たないけれど、そのせいで最近、君のことが気になって仕方ないんだ――。クラスメイト5人の「かくしごと」が照らし出す、お互いへのもどかしい想い。ベストセラ...

Book Bulletin Board =話題の本の情報= | 2017.03.09 Thu 08:53

伊藤計劃『虐殺器官』

伊藤計劃『虐殺器官』  米軍特殊部隊員クラヴィス・シェパードは、世界各地で起こった虐殺の主導者『第一階層』たちを暗殺している。ジョン・ポールは、つねに暗殺のターゲットに指定されていた謎の人物だ。クラヴィスは、ジョン・ポールを追ってプラハに潜入し、彼の恋人であるルツィアに接触する。ルツィアは、言語を人間が生存適応によって獲得した『器官』であると言う。ジョン・ポールとは何者なのか? ジョン・ポールいわく、『虐殺の文法』を使えば、とある価値判断に関わる脳の機能部位の活動が抑制されるというのだが、...

わくわくビブリオテーク | 2017.03.08 Wed 00:24

古森の秘密 by ディーノ・ブッツァーティ

単行本 東宣出版 (2016/7/26) 17.4 x 11.6 x 1.6 cm ISBN-10: 4885880904 ISBN-13: 978-4885880902 内容(「BOOK」データベースより) 精霊が息づき、生命があふれる神秘の“古森”。森の新しい所有者になり、木々の伐採を企てる退役軍人プローコロ大佐は、人間の姿を借りて森を守ってきた精霊ベルナルディの妨害を排除すべく、洞窟に閉じ込められていた暴風マッテーオを解き放つ。やがてプローコロは、遺産を独り占めするために甥のベンヴェヌート少年を亡き者にしようとするが…。聖なる森を舞台に、生と魂の変容のドラマを...

Book Castle -my list- | 2017.03.07 Tue 19:35

米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』

米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』  1960年から数年間、プラハのソビエト学校に通っていた弘世志摩(シーマチカ)は、ソ連崩壊後、思うところがあってモスクワへと飛ぶ。彼女には、忘れられない教師がいた。オリガ・モリソヴナは学校のダンスの教師。彼女のダンスは惚れ惚れするほど美しいが、ひどく口が悪く、いつも相手を大げさに誉めることで逆に貶すという反語法を用いていた。大人になった志摩は、ロシア外務省資料室でオリガの雇用記録を見つける。彼女は、ソビエト学校の教師としては珍しく、現地プラハで採用された...

わくわくビブリオテーク | 2017.03.07 Tue 19:18

ダーク・ヒロイン by 矢野 奈々

単行本 彩流社 (2017/3/7) 20 x 13.6 x 2.6 cm ISBN-10: 4779122961 ISBN-13: 978-4779122965 発売日: 2017/3/7 内容(「BOOK」データベースより) 金髪・青い目、女性の鑑として好まれた「フェア」なヒロインに対し、黒やブルネットの「ダーク」な髪や目のヒロインたちに託されたものとは何か?魔性、妖艶、知性、情熱、そして自立―ヴィクトリア朝を代表する女性作家ジョージ・エリオットによるダークの表象と彼女が描こうとした理想の女性像を探る。 JUGEMテーマ:小説全般

Book Castle -my list- | 2017.03.07 Tue 12:11

アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』

アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』  人類が宇宙に飛び立ったその日、オーバーロードの宇宙船群は現れた。高度な文明を有する彼らは、各都市の上空に滞在し、人類をゆるやかに統治し始める。その結果、人類はより文明的になり、戦争や犯罪が根絶された。そんな平和な時代が続くなか、アテネではある異質な子供が生まれる。一体彼らは何者なのか? 何の目的で地球にやって来たのか? 最後の人類が見た地球の姿とは? 面白かったので一気に読んでしまった。

わくわくビブリオテーク | 2017.03.07 Tue 05:46

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