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むかし、あるところに、何事も人に逆らわない質の男がいました。男はやがて女房をもらい、その日暮らしの貧乏な生活を送っていました。 ある年の大みそかの晩、女房は亭主にいいました。「きょうはひとつ頼みがあります。どこを歩いても、破れないわらじを二足作ってください」 亭主は、大みそかの晩だというのに、そんなわらじがなぜ必要なのか疑問に思いましたが、女房がわけを聞かずにどうしてもというので、何事も人に逆らわない質の亭主は、いわれるままわらじをつくりました。 すると女房は、亭主に、わらじを履い...
'ものがたり'散策 | 2019.09.15 Sun 18:09
むかし、あるところに、貧乏なじさまとばさまがいました。じさまはいつも菅の笠をこしらえて、町へ売りに行きました。そして笠が売れると、そのお金で、米や味噌を買って暮らしていました。 ある年の暮れの大みそかのことです。じさまとばさまの家では、正月が来るというのに、餅も魚もありません。じさまは笠を売って正月のものを買うために雪の中を町へ出かけていきました。 「笠はいらんか、笠はいらんか」じさまは一生懸命売り声をあげて歩きました。でも大みそかの町では、米や魚や松飾りを買う人がいても、笠を買う人...
'ものがたり'散策 | 2019.09.08 Sun 18:45
むかし、ある年の大みそかの晩にお姑さんが嫁さんを呼んで、「大歳(おおとし、大みそかのこと)の火は消してはならないものだから、今夜は火種を絶やさないようにしておくれ」といいました。嫁さんは「はい、わかりました」といってひきうけました。 ところが嫁さんが心配になって夜中に起きてみると、囲炉裏の灰の中にいけておいた火種はすっかり消えていました。嫁さんはとほうにくれましたが、「そうだだれか表を通りかかったら火種を分けてもらおう」と思いつきました。 嫁さんは暗闇の中に立って待ちました。するとむ...
'ものがたり'散策 | 2019.09.01 Sun 18:11
むかし、ある海辺の村に、年をとった父親と息子が住んでいました。 年の暮れになったのに、何も食べるものがないので、息子は裏山の木を切って、大みそかの街に売りに行きました。 けれども乾いていない生木なのでちっとも売れません。息子が途方に暮れて歩いていると、向こうから魚売りが来ました。 魚売りは息子の青い顔を見てわけを聞くと、息子は、正月の買い物をしようとたきぎを売りに来たのに、一本も売れないのだと事情を話しました。 すると魚売りは、それなら自分の魚と取り換えてやるといいます。息子はや...
'ものがたり'散策 | 2019.08.25 Sun 18:19
むかし、ある山に、炭焼きごん、という若者が住んでいました。ごんは、炭を焼いては里に売りにいって、暮らしを立てていました。 ある、冬の寒い日のことです。ごんは里へ炭を売りにいった帰り道、山で鬼婆が、吹雪倒れになっているのを見つけました。「ああ、かわいそうに。こんなところで倒れていたら凍え死んでしまうじゃないか」 ごんは鬼婆をおぶって、炭焼き小屋に連れて帰りました。そして、炭焼き窯の前に寝かせて温めてやると、鬼婆はようやく息を吹き返しました。 鬼婆はごんを見ると「おまえがここへ連れてき...
'ものがたり'散策 | 2019.08.18 Sun 18:18
むかし、あるところに、ばあさんがひとり住んでいました。ばあさんはひどい貧乏暮らしで、その日食べるものにも事欠く有様でした。 ある日の夕方ばあさんは、畑仕事を終えて家に帰り、囲炉裏にあたっていました。そこへ綺麗なあねさまがやってきて、ひと晩の宿をたのむなり、戸口に座り込んでしまいました。 ばあさんは、「泊めてやることはたやすいが、御覧の通りのあばら家で、人様を泊めるどころじゃない。それに食べるものなくてな。だからすまないが、どこかよそで泊まっておくれ」といって断りました。 けれどもあ...
'ものがたり'散策 | 2019.08.11 Sun 18:01
久しぶりに、昔話読みました。短いお話です。 むかし、あるところに、弥兵衛という男がいました。 ある日弥兵衛は、山に芝刈りに行きました。山奥に入って芝を刈っていると、すぐそばで蛇が一匹とぐろを巻いて、じっと弥兵衛の仕事ぶりを見ていました。 弥兵衛はそれに気が付くと蛇をあやしみ、木の枝でたたいたり突いたりしました。蛇は傷だらけとなって逃げていきました。 その日からというもの弥兵衛はなんだか元気がなくなりました。女房は心配して温泉にでもいって養生するようにいいました。 そこで弥兵...
'ものがたり'散策 | 2019.08.04 Sun 18:15
むかし、ある山に、おそろしく大きな鬼がいました。鬼は毎晩のように人里に下りてきて、子どもをさらっていきました。 村人たちは、今日こそは我が子がさらわれるんじゃないかと心配していました。そこで、隣村の、岩くだきと、堂せおいと、知恵もんの三人の男にたのんで、鬼退治をしてもらおうということになりました。 岩くだきは、げんこつで岩を砕く腕っぷしの強い男です。堂せおいは、お堂を軽々と背負って歩く力持ちです。知衛もんは力も強いが知恵のある男です。三人は鬼退治をたのまれると、さっそく相談を始めまし...
'ものがたり'散策 | 2019.04.28 Sun 18:23
短いお話です。 むかし、和歌山の男と、名古屋の男と、水戸の男が、三人寄り合って、お国自慢をしました。 和歌山の男は、「うちじゃ、みかんが名物で、さしわたし一尺もある美味しいみかんが取れる」といい「そのうまさに娘がほっぺたを落とす」と自慢しました。 すると名古屋の男は「うちじゃ、大根が名物で、その大きさときたら、馬の鞍の両脇に一本ずつの二本しか運べない、美味しい大根が取れる」といい「沢庵にでもしたら、ばあさんがほっぺたが膨らんで若返った」と自慢しました。 ところが水戸の男は黙って聞...
'ものがたり'散策 | 2019.04.21 Sun 18:13
短いお話です。 むかし、ある村に、たいそうな分限者がいました。屋敷には田畑で働く作男がたくさんいました。ある年の大みそかの晩に、旦那は一人の作男を呼んでいいました。 「あしたは正月だから朝早く起きて川へ行って若水を汲んでこい」すると作男は「若水って何だい、旦那さま」と聞きました。「それはな、元日の朝に年の神様にお供えする水のことだ。おまえは朝起きたら神棚に備えてある包みをもって川に行け。包みには米と塩が入っているから、それをお供えして川を清め、それから若水lを汲んでこい」と旦那はそう教...
'ものがたり'散策 | 2019.04.14 Sun 18:12
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