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平成21。 「霜林」「風雪」同人。 第4句集。 蔵王堂の屋根浮くほかは花の雲 放ち矢のごと疾走す駒くらべ ひぐらしやそり身にくだる寺の磴 波裏に真珠の育つ月あかり 白萩や声に句碑読む夕あかり あたたかや還暦の子と掌をつなぎ 夫の忌や書架の天金冴え返り 花売に胡蝶つきゆく白川路 茅葺のその名も美山夏つばめ こともなく読めて書けぬ字文化の日 燕...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.12.09 Mon 22:37
11月は駒場東大前駅に吟行に行きました。 葩さんが遅れるので、まずは駅前の喫茶店で時間調整。 日本人形がたくさんあるお店でした。 今日の主な見どころは日本民藝館です。 民藝運動は茶器を上手物(うわてもの)とすると生活に使われる雑器、下手物(げてもの)にこそ「用の美」がある、という思想で、何気ない日常の中から俳味を見出す俳句と似たものです。 今回は俳句のトレーニングとして器をみたとき、自分なら何を盛り付けるか、とイメージしてもらいました。 ...
小金井句会記 | 2019.12.05 Thu 17:20
平成1。 「霜林」所属。第2句集。 俎に母の音して日の永き 山葵田に水の音たつ天城越 美濃尾張分けて余寒の一夜城 よろめきしとき梅にほふ社家の橋 奥嵯峨に庭師日永の石談義 旅を恋ふ句帖の余白雨蛙 ここよりは霧かよふのみ神居滝 城門の秋風を身に弓稽古 鰯焼くきのふの浪をまなうらに 月さして一茶旧居に窓ひとつ ケルン立ち流るる霧の芯となる まはし剥く林檎やけふを忘れたく 竹生島指呼に冬立つ番所あと 主なき揺椅子冬も海向きに 折紙を指覚えゐし日...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.11.28 Thu 21:09
平成3。 「脈」主宰。第3句集。 ヒヤシンス厨に妻の誕生日 冷蔵庫の奥より臓腑摑み出す 冬浪を見る癌である筈がない 一望の函館の灯に雪降れり 霧ふかき背に声をかけ八合目 目つむれば枯芝に日の聚まれる 釣竿もひとも動かず水の秋 奈落にて落葉の終始見てをりぬ 天を染め灘に溺るる寒落暉 顔に雪つけたる津軽馬に会ふ 口紅は赤い銃弾初鏡 残雪を四囲に白亜の発電所 地にとどく枝垂桜の吐息かな 白靴を手に妙齢が瀬を渡る 緑陰にスピード違反検問所 ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.11.19 Tue 22:34
平成1。 「雲母」同人。第1句集。 枯萩に日はやすやすととゞまれり 園児らの唇すこし開く夏景色 穀倉に米ぎつしりと夏が来る 見たきものだけ見て寒の故郷かな 話す間もひかりの殖ゆる朴の花 吾亦紅風に現はれ雨に消ゆ 何處からとなくひかりさす春の瀧 萍の下のうきくさ夏ふかし 争へる人のうしろの秋日和 おんな見るやうに秋日の洲をのぞく 味噌蔵へ雀の出入り一葉忌 図書館に空席のある梅日和 子の読める書の影が地に初つばめ 禽園に抜け道のある四温かな ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.11.11 Mon 23:25
昭和54。 第1句集。 盲人であり俳人。教会も出てくるので、キリスト教徒でもあるよう。 自らの障害を詠まれる句は、やはりリアリティーがある。 風鈴の句も上手い。 盲人に手をかしそそぐ甘茶かな 形よく描けし眉毛や初鏡 着飾つて看護婦やさしお元日 夫はホ句妻は歌詠み梅ぬくし 秋の日の片頬暑き厨ごと 暁けの月あると聞くのみほととぎす 手さぐりに活ける小菊の色をきく 菊日和神を信じて疑はず 長き夜や目の開きたるはやはり夢 見えずとも吾も月の出待つ一人 ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.11.07 Thu 21:39
1990年。 日野草城門下。 無季も多く、俳句というより関西弁の川柳が多い。 ぼやき連慷慨連がおでん屋に きつねうどんすする水洟すすりあげ 春眠に何やら刻む音コトコト 理髪師に首を預ける目借時 西日きびし同窓名簿に戦死戦死 焼べるより菊は悲鳴に似たる香を 河童忌や文学なんてみな嘘ぱち へぼ胡瓜にへぼ茄子お前もへぼ俳人 並んで買う鯛焼尻尾まで餡が 忘年会なんぼ酔うても軍歌はNO 雑煮餅もぐもぐがたがた総入歯で 蝶の雌雄の識別眼もち貧文士 ツーダンで...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.10.28 Mon 21:28
平成19。 「俳句作家」「草苑」同人。第3句集。 鼻すじの彩とりどりの残り鴨 救世観音半歩踏み出す青葉光 枯色となりおおせたる七変化 紫の筋目の滲む白菖蒲 大輪の牡丹一揺れして開く 百済仏すつくと立ちし菊明り 奥宇陀の色深めゆく柿簾 紅梅に照り白梅に翳りけり 一湾を囲む湖北の遅桜 幼な名で吾を呼ぶ声魂祭 黒南風や隠しマリヤの寸足らず 縄文の夜空もかくや芦を焼く 糸蜻蛉蓮の花影より生る 晩鐘の響く果まで芦枯るる 三川の大淀となる花堤 葭...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.10.21 Mon 22:42
JUGEMテーマ:俳句 今日は福岡までの車窓を楽しみました。 電車の揺れの心地よさはなんとも言えないです。 トトントトンと安定の揺れ 思い立って駅のスタンプも集めてみたりして 駅員さんに声かけるにも勇気がいりました(進歩) 紅葉も木犀の香りも電車からだとなんかトクベツ感 プラスαがありますね。 天気予報が外れて晴れを期待したら途中雨に見舞われて 重だるい木犀の香りはすこし憂鬱でしたが 車窓から...
音の葉の色は | 2019.10.20 Sun 04:02
九月は夢坊人さんの提案で御嶽の渓流沿いを散策しようという話になりました。 酒造や美術館もあったのですがあいにくこの日は休みだったので、急遽、ピエールさんの車で御嶽山の神社まで行くことに。 ケーブルカーから見る景色は絶景です。 頂上にある御嶽山神社はヤマトタケルを道案内した犬(ニホンオオカミ)を祀ってます。車内にもかわいい犬を連れたおじさんがいました。もしやヤマトタケルでしょうか。 迫力のある狛犬は長崎の平和祈念像を作った彫刻...
小金井句会記 | 2019.10.18 Fri 11:26
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