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小泉八重子『句集 幻花』(本阿弥書店)より

    1998年。 「季流」代表。第4句集。 花どきの日本に着く遺骨あり 神と人その境目の虫の闇 霧の山売れて荒縄張られけり 北風に顔を曝して陶器売 向日葵や細身の男老いがたし 春くれば春の顔して古墳守 人容れていよいよ暗き椿山 春灯を滲ませ仮の平和あり 神よりの合図と知らず朴散華 桜蕊降るそれだけの非常口 よく笑ふ児を秋草に委ねけり 紫陽花やわが心身に部屋いくつ 山彦を引き寄せてゐる春田打 幾重にも刃を蔵ひゐて白牡丹 捨て切れぬ物憂かりけり龍の...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.02.06 Wed 10:55

「紫」2019年2月号・2

「紫」2019年2月号 大道無門(「紫」2月号抄)    山崎十生 選・評   おそらくはあをくて固い露の心  渡辺智恵(無門集)   句会での初見では「露の芯」であったような気がする。 語源をたどってゆけば、体の中心や心臓ということになるので 「露の心」と推敲した作者に拍手を送りたい。透明であるのにも 拘わらず白というイメージが強い露の奥深いところには 厳然と青のイメージがあろう。   ひかりから形にもどる木の実独楽 深沢ふさ江(山紫集)       木の実独楽に限らず...

俳句スパイス | 2019.02.06 Wed 08:22

正木渓秋『句集 土(本阿弥現代俳句シリーズ?26)』(本阿弥書店)より

    1991年。 「群峰」同人。 反戦反核詩歌句集に毎年参加とあり、その関係の句も多い。 夕去れば落葉もて来る風ばかり 積量に耐えきて冬の馬の尿 百姓が蛙が黙す空っ梅雨 女郎花高野に深く黄を潜む 藁塚をどっかと据えて月移る 農継ぎてひたすら老いて汗の母 蚊を打って己れの赤き血に染まる 山百合も荷の一つなる朝市女 尻据えて是好日の大南瓜 売られたる露こぼれけり朝の市 痩せ細る杭一本に水温む 大根引く大根はなさぬ土の神 白萩や天上という妻の庵 風花や尼...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.02.04 Mon 11:11

「紫」2019年2月号・1

紫」2019年2月号 龍門集より   水銀の散りゆくごとく秋惜しむ     山崎十生 まっすぐな参道秋は寂びゆけり 冬ざれの野にあり傷に玉ありぬ 星空を微分している夜露かな      渡辺まさる 月光下屋上の上ゴジラの尾   追いかけて師の忌父の忌石蕗明り    鈴木紀子 さみしがりやの木から紅葉の始まりぬ 山やまの重なり合えば遥かなり     関口晃代  女郎花と供に吹かれて赤城山   杜甫恋し屋上花壇末枯るる      若林波留美  片麻痺の腕(か...

俳句スパイス | 2019.02.03 Sun 22:07

俳句ライフ

俳句ライフ   FM Kawaguchi で 紫主宰・山?十生の「俳句ライフ」放送中です。   1月31日放送分より   今週の十生一句 天 落葉銀行利息はお日さまの匂い  空耳兎  地 日向ぼこ此れにも序列あるやうな 千鶴  人 満面に木枯らしを受け持久走   九死     FM Kawaguchi  85.6 MHz 放送時間 木曜日 午前9時より 再放送は 日曜日 午後12時30分より (インターネットでも聴けます)   *番組ではみなさんからの作品募集中です。 ...

俳句スパイス | 2019.01.31 Thu 09:32

句会のご案内

2019年2月の句会予定  *予定は変更になる場合があります。  はじめてのかたは事前に事務局までご確認をお願いします。     2月2日(土)  土曜句会*           午前9時 松山市民活動センター(東松山市)            窓の会             午後1時 サウスピア(武蔵浦和) (自主句会)   2月3日(日)  紫川口句会*           午後1時  川口市立西公民館   2月5日(火) 万年青の会 ...

俳句スパイス | 2019.01.30 Wed 14:11

茨木和生『句集 遠つ川』(禽獣舎)より

  昭和59。「運河」主宰の第2句集。 句集のタイトルは古語の格助詞「つ」にこめられた古代人のおどろき、なげき、うめきのようなものが聞こえてくるような気がするからだと。 俳人仲間の中上健次が題字を書いている。   戻り来て真水を浴ぶる海女のこゑ 分校は大きな巣箱小鳥来る 西国はおかげ晴なり烏瓜 亀甲に日をちりばめて水温む ほととぎす一樹一樹の夜明け来し 蛸突の少年岩を跳びて来る 犬とゐて炭焼夫子も妻もなし 枯山の菩薩顔して日当れり 雨降れり素直に伸びし筍...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.01.29 Tue 11:07

箱井幸子『句集 仕舞袴』(藍俳句会)より

    昭和59。 「藍」同人。 だいたい10年で初句集を出すのが多いようで著者もまた。 平易で読みやすく、センスを感じます。 詩情豊かな句集。 息ためて筆おろしけり霜の声 眉据えて冬の菜を賣る風の辻 恋猫を一喝の胸ゆれどおす 晩学のわが前うしろ露あかり もの干して大寒の空遠くなる さくら草ピアノソナタにたどる坂 連吟の気脈ととのう青すだれ 炎昼のひといろとなり鉾の街 駅弁の箸に近づく薄紅葉 あまりたる卓の片側虫の秋 履物のむきを正して月の客 水影と...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.01.24 Thu 22:04

俳句ライフ

俳句ライフ   FM Kawaguchi で 紫主宰・山?十生の「俳句ライフ」放送中です。   1月24日放送分より(表記は俳句スパイスによる)   今週の秀句紹介 現世(うつしよ)の闇をねじ伏せ鏡餅 (紫・土曜句会 1/5 特選句)   今週の十生一句 天 人恋の待ちくたびれた鏡餅   子芋 地 冬の蝶名前をつけてあげました パンケーキ 人 競ひ合うやうに初霜初氷    むかちょう     FM Kawaguchi  85.6 MHz 放送時間 木曜日 午前9時より ...

俳句スパイス | 2019.01.24 Thu 10:12

森脇美知子『句集 たまゆら』(卯辰山文庫)より

    平成5。 「赤楊の木」同人。 句歴十年で初句集。卒寿なのでこれが最初で最後か。 今年また命ありけり更衣 この小さき身の置きどころなき炎暑 集金の若者ぼそつと来る寒夜 死ぬ時は死ぬがよろしき秋の風 住み替る命なりけり今朝の秋 河豚鍋や命のことは忘れゐし 新涼や髪刈りあげて男さぶ     JUGEMテーマ:俳句 ​

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.01.23 Wed 23:07

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