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吉本和子『句集 寒冷前線』(深夜叢書社)より

  1998年。 無所属。 吉本隆明の妻で、ばななの母。 句歴2年で句集を上梓。 吉本ばなな、黒田杏子、水原紫苑らが寄稿。   春愁や虚空(そら)に動かぬ飛行船   脳幹に静かにつもる桜花   香を辿り返し見にゆく沈丁花   卒業歌より始まりし幾別離   五感みな溶けて桜の海に入る   光陰は矢なれどしばしこの駘蕩に   渺々と落花眠るも夢に落花   立葵おのもおのもの空を持つ   遺書もなき自死もあるら...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.18 Fri 08:48

『松崎鉄之介集(自註現代俳句シリーズ?期36)』(俳人協会)より

  昭和53年 「濱」同人   冬の霧アルミの如き日かかれり   雀らと同じ地隙に(ちげき)に冬ごもる   壕を出て枯野の夕日一身に   ノルマ終へず共に焚火にうづくまる   かばねにかける乾草(かんそう)のみが凍てずあり   木の芽雨母に従ひ得ぬ縁談   浴衣の胸ややにはだけし師と夕餉   炎天の身を支へをり膝頭   神無月夕日をうけて山坐る   雪の湯の横顔兵のきびしさに   亡き妻の植...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.17 Thu 20:22

高屋窓秋『句集 白い夏野』(龍星閣)より

  昭和11年 第1句集   頭の中で白い夏野となつてゐる   露の玉朝餉のひまもくづれざる   雑草の露のひかりに電車くる   いま人が死にゆくいへも花のかげ   ちるさくら海あをければ海へちる   目にいたし穂麦のひかり海よりも   やはらかき小径とおもふ月あかり   月光をふめばとほくに土こたふ   山鳩よみればまはりに雪がふる   飛びし蛾の黄の残光を闇放つ   蛾の来ぬ夜嵐吹き荒れ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.16 Wed 19:52

『改造文庫 句集虚子』(改造社)より

  昭和5年   <春> 春立つや六枚屏風六歌仙   春寒の人の在らざる火燵かな   旅せんと思ひし春も暮れにけり   行春や到るところに遅桜   此村を出でばやと思ふ畦を焼く   花種の嚢破れて函の中   曲水や椿も流れ来たりけり   葛城の神臠はせ青き踏む   ふらこゝに二人乗りけり花の中   春風や闘志抱きて丘に立つ   陽炎に包まれ遊ぶ子供かな   春雨や忽ちくもる鷹が峯 &...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.14 Mon 22:14

『毛塚静枝集(自註現代俳句シリーズ十期12)』(俳人協会)より

  平成13年 「濱」同人   磨きあげ冬の鏡の傷を知る   母の日を病む子の視野の中出でず   鳥曇泣顔は子に見せられず   母に吹き母に届かぬシャボン玉   合掌して更に涼しくなりにけり   春愁大人も抱きて縫ひぐるみ   川岐れともに月光奪ひあふ   一灯に母子の浄土白障子   洗はれて月光を被る水観音   ケーキ売り尽してよりのクリスマス   父病めば泣くところなし秋の暮   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.11 Fri 20:43

『増補改訂版 寺山修司俳句全集』(あんず堂)より

  1999年   ・『花粉航海』より   暗室より水の音する母の情事   母を消す火事の中なる鏡台に   便所より青空見えて啄木忌   一塊の肉となる牛家族の冬   書物の起源てのひら閉じひらき   方言かなし菫に語り及ぶとき   遠花火人妻の手がわが肩に   この家も誰かが道化揚羽高し   旅に病んで銀河に溺死することも   桃太る夜は怒りを詩にこめて   葱坊主どこをふり向きても故郷 ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.10 Thu 20:27

第420回 坐忘会 令和8年 長月句会

JUGEMテーマ:俳句   開催日 : 令和8年9月6日(日) 場  所 : 本部道場 剣道場会議室 参加者 :  14名    8月も終わる頃、道場の元気過ぎる草々が気になり、涼しい時間帯に草取りをしました。  洞戸道場から頂いた杉苔も半分を地植えし、少しずつ整えていった週末の事です。土曜座禅会が終わると、私の心が歌い始めました。  (♪いつものように幕が開き〜、光舟さんの草刈り機の音〜、届いた調べは〜、玄人跣がありました〜♪)  その後、所用を済ませて道場に戻ると、あ...

座禅修行だより | 2026.09.07 Mon 16:59

『荒井正雄集(自註現代俳句シリーズ六期30)』(俳人協会)より

  平成2年 「濱」同人   ちかぢかと銀河室生へ渡りけり   孤の蟻や男闘はねば寂し   雪に説く新刀は先づ切れてこそ   大露や刻たつぷりと今日のあり   幣を執る氏一系や白しやうぶ   おだやかな死をほめ合うて虫の夜   雲に鳥子の消息は妻を経て   初富士の天つ袴として立てり   竹さ揺るさへ冬麗の谿のこゑ   塀塗つて立夏一日よごれけり   諸菩薩のみだれず侍せり涅槃変   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.09.06 Sun 19:50

中村草田男『句集 火の島』(龍星閣)より

  昭和14年 「萬緑」主宰 第2句集   妻二タ夜あらず二タ夜の天の川   晩夏光バツトの函に詩を誌す   灯蛾は夜々減れど戦報相つげり   燭の灯を煙草火としつチエホフ忌   池の中冬木の影は底知れず   妻抱かな春昼の砂利踏みて帰る   優曇華やしづかなる代は復と来まじ   あかんぼの舌の強さや飛び飛ぶ雪   萬緑の中や吾子の歯生え初むる   せんなさに冬日の砂を蹴てもみし   撫でゝあ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.08.30 Sun 19:00

佐久間慧子『句集 文字盤』(角川書店)より

  平成8年 「かつらぎ」同人 第3句集   クリスタルグラスの膚水中花   首立てて何かあるらし夕田鶴は   春の雪美文のごとく降りにけり   画展見るごとく鉾町めぐりけり   母の日の重き花束とどきたる   賽ころは天より降らせ絵双六   ひざまづく床板固し受難節   月明のわが脱ぎしもの照らすなり   釣り呆けゐて一夏を痩せゐたる   太き五指膝に置きたる閻魔かな   国貞の女に遠し初...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.08.27 Thu 20:12

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