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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「やぁ、よく来たね」 シャインとフェリアナが来ると、彼はシャインを今にも抱きしめんばかりに来訪を喜んだ。フェリアナ一人のときとは大違いだ。 「ちょうどよい時に来たね。今から食事にしようと思っていたのだよ」 食事と聞いてシャインは瞳をきらめかせた。 やはりこのシャインには恋愛感情など持ち合わせていないとフェリアナは心中で断言した。当の本人はまったくそういう気持ちではなかったが。むしろ、可能性のない恋愛で悩むより食べることに集中力を注...
星空のスピカ | 2016.07.04 Mon 20:25
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 王都に到着したシャインは喜びと驚きの声を上げた。 「王都ってすごい・・・」 そこにはずらっと並んだ露店と浮かれはしゃぐ人々でいっぱいだった。 「今日は何の日か忘れたの?」 小馬鹿にしたような視線をシャインに向けてフェリアナはため息をついた。 「え? 何かの日?」 露店にすでに引き寄せられそうなシャインは上の空で答えた。 「今日は創造神エンヤの誕生祝祭日よ」 その言葉にシャインは不思議そうにフェリアナを見た。 「創造神なのに誕生日...
星空のスピカ | 2016.07.04 Mon 00:14
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 銀のしずく 金のかがやき 2004/06/27訂正2007/05/25 第三話 聖なる力 「もう耐えられないっ」 フェリアナは宿屋の食堂でがたんといすから立ち上がった。 「これ以上、こんな安宿にはいられないわっ」 フェリアナの癇癪玉飛び出し、周りのものはひそひそとささやきあったり、逆に野次を飛ばすものもいた。だが、シャインはなれたものでただひたすら食欲を満たしている。 何度も同じ台詞を聞いていれば抗体も出来よう。 「俺は別...
星空のスピカ | 2016.07.03 Sun 06:58
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの そんなこんなで始まった旅道中だが、そもそもうまくいくはずがなかった。なにしろ、フェリアナは異端扱いされども里を出て稼ぐようになると貴族級の生活をしてきおり、金銭感覚が狂っている。他人にかかわる時だけせこくなる。一方シャインは伝え続けられた伝説の剣を家に生まれたはいいが、生活は中の下である。重箱の隅をつつくような生活をしてきたのだ。唯一の楽しみは食事。シャインのアイデンティティはそこだけによっていることが多い。これだけ生活スタイルが...
星空のスピカ | 2016.06.29 Wed 21:29
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「さぁさぁ。アキ。こちらですよ」 「はい」 陰ではなんとでも言えるがいざ面と向かっては少女趣味のおばさんとはいえない。これでも現王妃なのだから。 何度目かわからないドレスの仮縫いをしながら亜紀は王妃に尋ねる。 「そんなに女の子がほしかったのですか?」 「もちろんよ。念願の娘ですよ。娘」 嬉々として段取りを運ぶ王妃は満面の笑みだ。 「でも・・・まさか・・・」 ある事実を思いついて口が止まる。 王妃の顔に影がかかる。 「そうね...
星空のスピカ | 2016.06.22 Wed 16:30
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 2004/06/20 光と闇交わりし時、世界の裁きは起こる。 彼女の名前はフェリアナ。 闇の一族の末裔。世の影で世界を動かすために戦う少女。 彼女は今日も戦っていた。 世を騒がす妖魔と。 戦いながらじれったそうにフェリアナは額から前髪を払った。 汗が額に浮かぶ。 だが、踊りのようなテンポいい戦いの中でも彼女の顔は憂いに満ちていた。 戦いは戦いしか産まない。人の負の感情は永遠に続き。そのたびに妖魔が増えていく。 だけど...
星空のスピカ | 2016.06.20 Mon 17:05
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 亜紀とフィナンスはいつもの泉に来ていた。 静かな時間が心を穏やかにさせていく。 すべてのことが終わり二人ともほっとしていた。 ファラ国のことも何もかも忘れて二人きりで甘い時間を過ごしていた。 「ねぇ。フィー」 亜紀はたずねる。 「なんだい?」 「来たのが私でなかったら好きにならなかった?」 反対を言えば違う人間だったらどうなのということだ。 「いや。俺は初めてここで亜紀を見てから一目でとりこになったと思うよ。それほど亜紀はきれい...
星空のスピカ | 2016.06.20 Mon 15:58
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 男は木箱をあけて琥珀色の指輪を愛おしそうになでた。ぴかりと指輪が光る。 「ついにこの時が来た。三つの指輪を私のものに」 眠っている亜紀はぱっちりと目をあけた。天井が見慣れない。ああ。ここはファラ国だと認識する。なにやら外が騒がしい。 思うや否やばん、と大きな音をたてて扉が開けられた。衛兵が入ってくる。 「何? ロールは?」 亜紀は真っ先に尋ねていた。この宮殿を一切預かっているのはロールだと昨日フィナンスが言っていた。 「ここ...
星空のスピカ | 2016.06.19 Sun 18:42
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ファラ国へ通じる道はファンダ峠しかない。もっとも翼馬なのでどこでもひとっとびだがフィラ山脈は標高が高い。一番低いのが唯一のつなぎであるファンダ峠である。そこを通ってフィナンス達はファラ国へと向かっていた。 ファラ国はフィラ山脈をはじめとする盆地で成り立っている。季節が春夏秋冬とありさまざまな季節が体験できる。サンダールとは一風変わった地域である。また果実がおいしいところでも有名である。亜紀はフィナンスから教えてもらったことを反芻しなが...
星空のスピカ | 2016.06.18 Sat 20:13
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 亜紀は宮殿のテラスでフィナンスとこそこそ隠れて指輪をつきあわせていた。フィナンスの王の指輪、亜紀の王妃の指輪。この二つがそろえば次の指輪、世界の指輪のありかがわかると思ったのに指輪は一向にその気配を見せなかった。 「おかしいわねぇ。フリィナクの言い方だとこの二つの指輪がそろえばわかるはずなんだけど」 フリィナクの名を出したとたん亜紀の心がちくり、と傷んだ。かわいそうなフィリナク。本当は優しい人だったかもしれないのに。生まれた境遇であんな最後を迎...
星空のスピカ | 2016.06.17 Fri 19:13
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