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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの サンダーラ国一番美しいといわれる森の中を皇太子フィナンスは有翼馬エンカを駆けさせていた。あるときは空を飛び、あるときは大地をふみしめる。爽快な気持ちがフィナンスを満たしていた。木漏れ日がさしてくる。湖のほとりにくるとフィナンスはあるものをみつけてエンカを静かに止まらせた。 少女はまぶたを閉じて眠っていた。両手足を広げて安心しきったように眠っていた。見たこともない不思議な服装に身を包んで。黒い髪の毛が地面に広がっていて印象的だった。きっとそのまぶたを...
星空のスピカ | 2016.06.01 Wed 11:02
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの またエドとアイラはナントを逆戻る。そして王都をすぎてさらに東へ向う。長い旅の中アイラの中では緊張が破裂しそうなぐらい高まっていた。 あの人がお母さん? 馬車に乗っていたあのはかなそうな美人の貴婦人サリナ・・・。アイラとは似ても似つかぬ人物だった。それに名前が違う。戸籍に入っていたのはアリア。彼女はサリナ。どうして彼女が水鏡に映ったのか・・・。真相はまだ明かされていなかった。 幌馬車がパーヴの駅に着いた。降り立つエドとアイラ。そのアイラの表情は...
星空のスピカ | 2016.05.31 Tue 21:41
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの アイラの毛布を作っていた店はつぶれていた。だがその店の関係者がいるとの情報をエドはつかんできた。その人間のいる村へと急ぐ。 「ちょっと。ちょっと待ってよ。そんなに早く歩かないで!」 ぜいぜいと息を切らしながらアイラはエドに抗議する。 「悪かった・・・」 上の空でエドは答える。 「って聞こえてないわね〜」 アイラはつかつかとエドに歩み寄ると背伸びして両耳をひっぱった。 「いってー。何するんだよ!」 「ってエドが何も聞いてないからでしょ! もうちょ...
星空のスピカ | 2016.05.30 Mon 22:38
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの アイラは長い栗毛の髪の毛をさらっと払いのけて外の空気を吸った。幌馬車の中はずっと満員で新鮮な空気などろくに吸えなかったからだ。もっともナントに着く頃には客はほとんどいなかったが。生活レベルの低いナントには出稼ぎに出て行くものはいても入ってくる人間は少なかった。よそ者が来たという目でみられる。自然とナントの人間の口は堅くなっているようだ。そこからどうやってアイラの身元を割り出すか問題だった。 「ねぇ。なんか場違いじゃない? 私たち。すごい目でみられている...
星空のスピカ | 2016.05.24 Tue 21:58
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「それではいってらっしゃいませ」 城の玄関でウェンがかしこまって言う。村には何のてがかりもなかった。再び二人は旅に出ることにした。 「うん。いってきます。ママのこと・・・」 ほんの一瞬泣きそうになったアイラは言葉を詰まらせた。また母親を泣かせるようで出て行きたくなかった。母親はひとりでいい。でも真実も知りたい。心の中でアイラは葛藤を繰り返していた。 「万事大丈夫でございます」 めったに笑わないウェンが微笑む。 その微笑でアイラはようやく安心した。この...
星空のスピカ | 2016.05.15 Sun 06:07
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 夕方、エドウィンは街はずれに来ると棒を一切れ持ってきた。アイラは何が起こるかは大方、予想はついていたが、自分を守るように知らず知らずのうちに荷物と自分の体を両手で抱きしめていた。 「おし。いっちょできあがり」 「誰かに見つかったらあの世行きよ?」 人間は自分たちと違うものを見ると恐れるか排除しようとする。アイラたちは身を隠すこと身に着けていた。 「ここはこの時間帯になると誰も来ない。それだけは確信できる」 「どうして?」 妙に確信を持って言うエド...
星空のスピカ | 2016.05.14 Sat 08:47
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「ふぅ」 亜麻色の長い髪をふりはらってアイラは小さながれきのすみに腰をかけた。 またひとつ街を出てきて新しい街にたどり着いた。 恋に破れて一人長い目的もない旅に出たアイラ。 母親代わりである妖精の女王は悲しげな瞳をしたがどうしても世界を見てみたいというアイラの願いをかなえて了承した。 今でも忘れられない恋人の影。足音、ゆれる髪の感じ、何から何までアイラの中でぐるぐるまわっていた。鋭い心の痛みはやがて鈍い痛みへと変化したがそれでも何かの拍子に飛び出て...
星空のスピカ | 2016.05.12 Thu 20:43
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「いざ、参ろうか」 太陽神ラーが立ち上がって壁に手をつくと扉が浮かび上がった。扉を押し開ける。 そこは先ほど千秋がいた天だった。だがそこにはわからないものが存在していた。 燃える木。 ただ枝支だけが蒼い炎に包まれていた。 「これが神?」 とまどって千秋がつぶやく。 旧約聖書ばりの木ってあるんだとなんとなくデジャヴに陥りながら千秋は思う。 「何ゆえともにおる。お前たちはともにいることを禁じた。私に刃向かう気か」 ってけんか売ってんのあんたじゃあにのと...
星空のスピカ | 2016.05.11 Wed 21:37
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 迷路のような神殿に千秋はヒステリーを起こす。 「どうなってるのよ!」 「チアキ様こちらです」 古い記憶をたどりながらカルマはひた走る。だてに240才ではない。千秋は必死にあとを追う。次第に光が差し込むようになってきた。どこをどう走っているのかわからぬまま突然カルマが立ち止った。まばゆい光が千秋を襲う。光になれた頃ようやく瞼を開けるとそこには神々しい光あふれた重厚な扉があった。カルマと一緒に押し開ける。その向こうにはガラスのような透明な階段が果てしなく空へ向い...
星空のスピカ | 2016.05.10 Tue 21:14
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの はじめに一つの光があった。光の神は娘と息子を作った。神は娘に天を支配させた。息子は娘の傍らにいた。やがて人々は息子の光を望むようになった。息子の光の方が明るかったからである。息子が天に登るようになると人々は歌い舞い踊った。娘はやがて忘れられるようになり地下に隠れるようになった。息子は娘の存在を忘れて行った。娘の涙をみた神は交互に世を支配するようにした。だが娘の涙は止まることはなかった。息子と一緒にいられないからである。月の世新月は嘆きを激しくした娘...
星空のスピカ | 2016.05.08 Sun 15:26
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