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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「えー!? 転校?!」 しのぶ子の声が教室に響いた。 うん・・・とゆいるはさびしげにうなずく。もうすぐ冬休みと言う頃になってゆいるの父の転勤がまた決まったのだ。 「せっかく依童もうまくなってきてるのに・・・」 「でも一人じゃ生活できないし・・・」 悲しそうにゆいるは言う。 「柳に話したの?」 しのぶ子が一番大事なことを切り出すとそのしのぶ子の手にぽとり、としずくが落ちた。ゆいるの涙であった。 「ゆ・・・ゆいる」 泣き出してしまったゆいるに...
星空のスピカ | 2016.05.02 Mon 07:14
「先生〜」 ひょろひょろと関口が手を上げた。今は表の部活動、文芸部である。 「今年の文化祭はどうするんですか〜?」 「そうだな。三島由紀夫でもしたまえ」 そこへしっかりとした松島の声の突込みが入った。 「三島は今、センシティブすぎます。今取り上げるのはいかがかと・・・」 そうか、と安易に子松は納得する。 「では無難なところで夏目漱石あたりでもしたまえ。では散会」 げーっとしのぶ子はゆいるにぼやく。 「知ってた? 吾輩は猫であるのネコ、最後は自殺するんだよ。酔っ払ってさ〜。あんなの研究...
星空のスピカ | 2016.05.01 Sun 13:33
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの しのぶ子はゆいるに顔を真っ赤にして謝った。 「ごめん。ゆいる。子松がゆいるのことばかり言うのが気に入らなかったの。なんでもゆいるが一番であたしは一番下だったから・・・」 「そんなことない。子松先生はいつだってしのぶ子を大事に思っていたよ。あんなにくだけて話すんだもの。きっと子松先生はしのぶ子が好きだってずっと思っていた」 その言葉を受けてしのぶ子は目を見張る。 「わかってなかったのはあたしだけ・・・ってこと?」 さぁ、とゆいるは答える。 「し...
星空のスピカ | 2016.04.27 Wed 01:02
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「さぁ。ラジオ体操だ!」 子松は殺生石飛び乗りパフォーマンスを負えた次の日、盆の日に各部屋を起こしにかかった。教師にかかれば男子も女子もない。容赦なく起こしにかかる。松島だけは身なりを整えすっと出てきた。丈は寝不足のようだ。悪夢にうなされたらしい。きっと田中の御先使いが行ったに違いないとゆいるは確信した。 「大丈夫? やなぎ君。顔色悪いよ」 「うん。なんだかあんまり眠ってないみたいだなぁ」 顔色を悪くしても丈はのほほんと答える。あくまでもマイペー...
星空のスピカ | 2016.04.25 Mon 20:10
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「先生〜。夏休みも部活あるんですかぁ?」 気弱な関口が珍しく口を開いた。 オフコース!と子松は答える。 「今年は特別サービスだ。ゆいる君歓迎セレモニーとして那須温泉に行くぞ!」 「おんせんー? またー?」 部員の全員の声がはもった。 「いいじゃないか。暑いときに熱い温泉。通の入り方ではないか」 「ってどこが通だか」 「何かいいたいかね。しのぶ「子」君」 「いえ。何も言ってません」 「では盆休みの14、15、16に行くぞー!」 気合入れての声...
星空のスピカ | 2016.04.24 Sun 20:17
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「すでに依童新聞はチェック済みだ」 そんなものがあるんだ、とゆいるは心の中で思う。 「彼らが我が校の依童をする生徒たちだ」 その言葉を受けて来客の三人は松島たちを見た。黒髪の少女が口を開く。 「あんたたちで役にたつん?」 出てきた言葉は関西なまりだった。意表をつくコントラストにゆいるとしのぶ子はあっけとられたが丈はともかく松島も冷静にその言葉を受け止めた。 「失礼ね。名前も名乗らないでその言い方はないのではないかしら?」 松島がちくり、と反...
星空のスピカ | 2016.04.23 Sat 19:07
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「先生〜。これ以外ほかにすることないんですかぁ〜」 飽き飽きとした声でゆいるは子松に訴えた。入部して早二週間。そろそろ学校にも慣れ、部活にも慣れてきた。だが、部活では相変わらず御先使いのタマをじゃらすことだけ。子松は自発的に動くのが我が部のモットーとか何とか言って指導には当たらなかった。ゆいるは持参のネコじゃらしで毎日タマを遊ばせていた。ゆいるだけでなくとも飽きるだろう。まぁ、それはそれで楽しいのだが・・・。 「ゆいる! 子松に先生なんて付けちゃだめよ!...
星空のスピカ | 2016.04.20 Wed 22:57
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの VIVIDRenai5 「どうなるんだろうね・・・」 ぽつりと冴子が言葉を落とす。 「なるようになるさ」 平然と康平が答える。 「康平は自分が変身しないからいいんだよ!!」 冴子は怒りを含んだ声で康平に言葉を放つ。 「怖かったんだから・・・」 冴子が必死で涙をこらえる。嗚咽がでそうになる。 「ごめん。冴子。いい加減な答えして。だけど俺冴子のためなら・・・」 そこでロッカーに行きついた。 「やっと帰れた」 涙を引っ込めて冴子がほっとしたように言う。 「そうだな...
星空のスピカ | 2016.04.20 Wed 10:49
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 神様ご光臨 「ちゃっちゃとやれよ。しのぶ子」 「うるさい。子松」 「うるさいとはなんだ。しのぶ子!」 明らかに「子」を強調して子松は言う。しのぶ子は相手にするのをやめて依童に専念することにした。 しのぶ子と子松がであって一年半、始終こんな感じである。出会いは入学式当日であった。はらはらと桜の花びらが落ちる中、しのぶ子は緊張して教室にいた。退屈な入学式を終え教室に皆集まっていた。 ガラッとドアを開けて入ってきたのは担任となる教師だった。...
星空のスピカ | 2016.04.18 Mon 21:30
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 雨がしとしと降る六月。折口しのぶ子はぼけーと窓の外を見ていた。朝のホームルームほど退屈なものはない。だが、この日は違った。それが何を意味するのかまだしのぶ子本人にもまたその当の本人にもわからなかったが。ガラッとドアが開いて担任が入ってきた。 「かったるーい」 「何か言ったか、しのぶ子」 明らかに子を強調して担任、子松一彦は言った。子松は甘いマスクを利用して普段は二枚目教師をしているが実際は違う。それは文芸部の部員だけが知っている秘密だ。 「言ってませーん...
星空のスピカ | 2016.04.17 Sun 20:07
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