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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの はぁ、と青空を見上げて冴子はため息をついた。 ぱっとしない容姿、目立たない性格。いちじるしく埋没した個性。さえないとはまさにこのことだろう。 だが、そんなさえない冴子すら恋はする。 サッカー部の諸星先輩にあこがれているのだ。そっとフェンスの外から見ることしかできないがそれでも冴子は満足していた。 「よぉ。さえない冴子ちゃん。また来たのか?」 幼馴染で腐れ縁の康平がフェンスの向こう側から声をかけた。 「なによ。あんたなんてお呼びじゃないわよ」 ...
星空のスピカ | 2016.04.04 Mon 18:32
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 太郎と出会ってから都は旅を続けた。同じような道をてくてく歩く。歩く人数がだんだん増えていく。やはり「黒の森」、そこが救いの場所になるのか。だが、同時に危機感を都は持っていた。大勢が集まるところだけが真実ではない。都だけに知りえた真実だった。なぜなら・・・・。 なぜなら。 都には力があったからだ。サイコキネシス。そういえば通じるであろうか。都は手に触れず物を動かすことができた。そして聞こえないはずの声を聞く能力。テレパシー。ただ人の...
星空のスピカ | 2016.04.03 Sun 18:21
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの はじめに一つの光があった。光の神は娘と息子を作った。神は娘に天を支配させた。息子は娘の傍らにいた。やがて人々は息子の光を望むようになった。息子の光の方が明るかったからである。息子が天に登るようになると人々は歌い舞い踊った。娘はやがて忘れられるようになり地下に隠れるようになった。息子は娘の存在を忘れて行った。娘の涙をみた神は交互に世を支配するようにした。だが娘の涙は止まることはなかった。息子と一緒にいられないからである。月の世新月は嘆きを激しくした娘...
星空のスピカ | 2016.03.26 Sat 08:52
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 第一章 灰色の乙女 明日、入学式を迎える藤原都はなげやりな気持ちでスーツを広げていた。今頃うまくいけば第一志望への大学への希望に胸膨らんでいるところはずだった。夜が更けていくとともに段々、情けなくなってくる。それなりに勉強したはずだった。模試もいい結果だった。でも結果は女子短大。別に短大を卑下しているわけではない。それでも行きたいところに行きたかった。地獄の受験から解放されて華のように広がるキャンパルライフを送る予定だった。それなのに・・・。 ...
星空のスピカ | 2016.03.25 Fri 14:26
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 次の日、葵は寝ぼけ眼で瞼を開けて見慣れない天井にはっと我に返った。 自室ではない。カルマに案内された客間の一室だった。天井の幾何学模様が美しい。 「お寺みたい・・・」 ぼそっとつぶやくと自然に昨日来ていた制服を探す。 「ない・・!! 私の制服はどこ?!」 「おや?お目覚めですか?」 扉の隙間からカルマが顔を出した。 「私の制服はどこ?!」 かみつかんばかりに葵が言う。 「そう心配せずともこちらで預かっていますよ。こちらでは用意した服を着てい...
星空のスピカ | 2016.03.20 Sun 15:17
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 黄金色(きん)の子供 プロローグ 核兵器。それはなんと恐ろしいものだろうか。あれほど核防止策を練っていたのに一つ使うと次々と紛争は現れ、核は恐ろしいほど使われていった。それにより人口は激減した。緑は枯れ、荒涼した土地に変貌した。恐ろしいまでの事件の後、人々は気づいたがすでに遅かった。放射能を浴びすぎた人々と世界は変貌を遂げた。今まで夢物語であった魔術が使えるようになったのだ。人々は狂喜した。それが悪魔のわなとも知らずに。いつしか魔術と機械のおりまざっ...
星空のスピカ | 2016.03.20 Sun 12:00
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの スカイブルー〜序章 それはそれは小さな光だった。 小さな小さな・・・。 それが希望の光となった。 世を照らす光となった。 人々は喜び歌い舞い踊った。 明るい世界は希望で満ち溢れた。世を照らすモノは思う。もう一対の光はどこへ行っただろうか。行くへ知れずの光を思うが人々の喜びにまぎれていく。 そして光は太陽になった。 「いいんちょ〜。あづいよ〜」 「その呼び名はやめてといってるでしょう?」 心底嫌そうに葵は言う。委員長なんて押し付けられた...
星空のスピカ | 2016.03.16 Wed 16:43
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの フェミは片手に星の欠片を握ったままマドゥとはぐれて時の流れに乗っていた。というとでも思うしかなかった。 ものすごい速度でいろんな世界の窓口を見せられていた。体は宙に浮き星の流れにただ身を任せるままだった。過去も未来も現在も見ていた。自分の世界も見た。違う世界も見た。ミズキが一心不乱に舞いを踊る以前の世界も見ていた。それが正妃だとは知らず。そして毒殺未遂の場面が目に飛び込んできた。自分に重くのしかかる罪を見てフェミは泣いていた。いくら星降りが起...
星空のスピカ | 2016.03.14 Mon 10:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「というわけなんだ…。義兄上もコカ殿に教えを受けたならこの覚え書きはわかるだろう? ただコヘレト山がわからないんだ。」 「コヘレト山か…。アフェラが知ってるかもしれん。叙事詩を知ってるからな。星読みの宮に行けばいい。カエムに言っておくから」 わかった、と言って行こうとするマドゥをアンテは止める。 「待て。カエムに連絡する時間が必要だ。女好きのお前がいきなり行けば殺されるぞ」 「俺にはフェミがいるさ」 「通じる相手か?」 嫌、とマドゥは答...
星空のスピカ | 2016.03.12 Sat 09:03
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの フェミは祖父の鉱物標本をひっくりかえしていた。長年積み重なった資料は膨大でフェミ自身頭がくらくらしていた。 だが、あの光には心当たりがある。あのゆらめく光。祖父も鉱物標本の中で一番の扱いをしていた。幼き日祖父に見せられ虜になった記憶がある。だが祖父は何度言っても一度しか見せてくれなかった。この事態を予測していたのだろうか・・・。祖父の集めたものをひっくり返して何時間もかけて探す。いつの間にか夕餉の時間だと西日が教えていた。 「あら。こんな時間。豆の...
星空のスピカ | 2016.03.07 Mon 13:51
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