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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの フェミは片手に星の欠片を握ったままマドゥとはぐれて時の流れに乗っていた。というとでも思うしかなかった。 ものすごい速度でいろんな世界の窓口を見せられていた。体は宙に浮き星の流れにただ身を任せるままだった。過去も未来も現在も見ていた。自分の世界も見た。違う世界も見た。ミズキが一心不乱に舞いを踊る以前の世界も見ていた。それが正妃だとは知らず。そして毒殺未遂の場面が目に飛び込んできた。自分に重くのしかかる罪を見てフェミは泣いていた。いくら星降りが起...
星空のスピカ | 2016.03.14 Mon 10:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「というわけなんだ…。義兄上もコカ殿に教えを受けたならこの覚え書きはわかるだろう? ただコヘレト山がわからないんだ。」 「コヘレト山か…。アフェラが知ってるかもしれん。叙事詩を知ってるからな。星読みの宮に行けばいい。カエムに言っておくから」 わかった、と言って行こうとするマドゥをアンテは止める。 「待て。カエムに連絡する時間が必要だ。女好きのお前がいきなり行けば殺されるぞ」 「俺にはフェミがいるさ」 「通じる相手か?」 嫌、とマドゥは答...
星空のスピカ | 2016.03.12 Sat 09:03
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの フェミは祖父の鉱物標本をひっくりかえしていた。長年積み重なった資料は膨大でフェミ自身頭がくらくらしていた。 だが、あの光には心当たりがある。あのゆらめく光。祖父も鉱物標本の中で一番の扱いをしていた。幼き日祖父に見せられ虜になった記憶がある。だが祖父は何度言っても一度しか見せてくれなかった。この事態を予測していたのだろうか・・・。祖父の集めたものをひっくり返して何時間もかけて探す。いつの間にか夕餉の時間だと西日が教えていた。 「あら。こんな時間。豆の...
星空のスピカ | 2016.03.07 Mon 13:51
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの マドゥは宮殿の裏の庭でウサギ狩りをしていた。王家所有の森故他人が入ることなく自然豊かだ。狩りにはもってこいだった。そんな森の中をざっざっと進むと一人の少女に出会った。 「お嬢ちゃん。ここで何をしてるのかい?」 いきなりであった少女に臆することなくマドゥは問いかける。 平和主義のアンテと違って義理の弟のマドゥは好戦的な性格だった。先だっても国境警備に行っていたがそろそろ宮殿に戻れと指令がくだって戻ってきたばかりだった。 刺激のない毎日に飽きて王家所有...
星空のスピカ | 2016.03.06 Sun 22:11
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 全員がそろったところでシェリティはジェトの顔をじっと見つめながら剣を渡す。本当に覚えていないのかと問いただしたいがカエムから渡す以外口を閉ざすようにいわれている。 アンテが星の石を渡す。 カエムが何事か古代語をとなると星の石が輝き始める。やがてその光がジェトを包む。そしてどれぐらいたったかジェトの周りから光が消えた。 「忘れ去られた魂を呼び戻した。ジェト、記憶はもどったか?」 問題の本人は黙って首をふる。 「俺。こんな畏れ多い家の方の息子じゃない。...
星空のスピカ | 2016.03.05 Sat 20:55
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「うそ!! ジェトが死んだなんて!!」 ジェトが帰ってこないことをアンテが沈痛な面持ちで知らせるとシェリティは泣き崩れた。見ているミズキたちもつらかった。 「まだ初陣には早すぎた。国境の小競り合いが少し大きくなったぐらいと考えていたが・・・。 再度捜索を行ったらこれが落ちていた・・・」 ジェトの剣をシェリティに見せる。シェリティは奪うと同時に抱きしめた。 「ジェト。ジェト・・・」 大好きなジェトがいない。でもわかる。死んでない。どこかで生きてる。 ...
星空のスピカ | 2016.03.04 Fri 19:06
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 週に一度の逢瀬は当然のごとく次もやってきた。今度はアンテもいた。本当に剣を持ってる。 「約束通り持って来たぞ」 大きな剣を振り振り振って見せる。 「兄上。ありがとー」 ジェトが軽い乗りで剣を受け取ろうとする。 「おっと。まだ私と一戦交えてないぞ」 ええー、とジェトから声が上がる。 「まずは私から一本とってみろ」 ぽいっとジェトの剣を放り投げる。ジェトは受け取ると剣を抜いた。 まっすぐアンテに向かっていく。 カン! 剣戟の音が鋭く鳴る。 力任せのジェトと受け...
星空のスピカ | 2016.03.02 Wed 11:41
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 時間はややさかのぼる。カエムの命令が下りてから七日目の日、久しぶりにジェトとシェリティは星の宮で会った。 先週と何ら変わりのない風貌。だが一つだけ違う点があった。シェリティが女性用の衣装を身にまとっていた。短い髪にはあわない服装。どこかちぐはぐでおもはゆかった。 二人してじっと固まる。次に何をしていいのかわからないのだ。 「ジェトもシェリティも固まらないで。いつも通りでいいのよ」 ミズキが助け舟を出す。ミズキはもう出産を終え長女の世話をしていた。腕...
星空のスピカ | 2016.02.29 Mon 19:36
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの それはそれは小さな光だった。 小さな小さな・・・。 それが希望の光となった。 世を照らす光となった。 人々は喜び歌い舞い踊った。 明るい世界は希望で満ち溢れた。世を照らすモノは思う。もう一対の光はどこへ行っただろうか。行くへ知れずの光を思うが人々の喜びにまぎれていく。 そして光は太陽になった。 「いいんちょ〜。あづいよ〜」 「その呼び名はやめてといってるでしょう?」 心底嫌そうに葵は言う。委員長なんて押し付けられたやっかいごと。 そ...
星空のスピカ | 2016.02.27 Sat 07:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「ん? また星降りか」 アンテは窓から差し込む星の光に一瞬目をやって書類に視線を落としたが一瞬でまた窓の外を二度見した。 「星降り!? 誰が落としている?!」 「あちらは武術訓練場の方ですな」 指南役のユリアスの父親が言う。 「出てくる!!」 アンテは一言叫ぶと執務室を飛び出た。 「王もまだまだ若いですな」 指南役カエサルはほぉっほっと笑って見送った。 「男二人?!」 星の宮から駆け付けたミズキとともに武術訓練場へ向かった先には異母弟のジェトが少年...
星空のスピカ | 2016.02.26 Fri 21:20
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