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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの マドゥは宮殿の裏の庭でウサギ狩りをしていた。王家所有の森故他人が入ることなく自然豊かだ。狩りにはもってこいだった。そんな森の中をざっざっと進むと一人の少女に出会った。 「お嬢ちゃん。ここで何をしてるのかい?」 いきなりであった少女に臆することなくマドゥは問いかける。 平和主義のアンテと違って義理の弟のマドゥは好戦的な性格だった。先だっても国境警備に行っていたがそろそろ宮殿に戻れと指令がくだって戻ってきたばかりだった。 刺激のない毎日に飽きて王家所有...
星空のスピカ | 2016.03.06 Sun 22:11
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 全員がそろったところでシェリティはジェトの顔をじっと見つめながら剣を渡す。本当に覚えていないのかと問いただしたいがカエムから渡す以外口を閉ざすようにいわれている。 アンテが星の石を渡す。 カエムが何事か古代語をとなると星の石が輝き始める。やがてその光がジェトを包む。そしてどれぐらいたったかジェトの周りから光が消えた。 「忘れ去られた魂を呼び戻した。ジェト、記憶はもどったか?」 問題の本人は黙って首をふる。 「俺。こんな畏れ多い家の方の息子じゃない。...
星空のスピカ | 2016.03.05 Sat 20:55
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「うそ!! ジェトが死んだなんて!!」 ジェトが帰ってこないことをアンテが沈痛な面持ちで知らせるとシェリティは泣き崩れた。見ているミズキたちもつらかった。 「まだ初陣には早すぎた。国境の小競り合いが少し大きくなったぐらいと考えていたが・・・。 再度捜索を行ったらこれが落ちていた・・・」 ジェトの剣をシェリティに見せる。シェリティは奪うと同時に抱きしめた。 「ジェト。ジェト・・・」 大好きなジェトがいない。でもわかる。死んでない。どこかで生きてる。 ...
星空のスピカ | 2016.03.04 Fri 19:06
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 週に一度の逢瀬は当然のごとく次もやってきた。今度はアンテもいた。本当に剣を持ってる。 「約束通り持って来たぞ」 大きな剣を振り振り振って見せる。 「兄上。ありがとー」 ジェトが軽い乗りで剣を受け取ろうとする。 「おっと。まだ私と一戦交えてないぞ」 ええー、とジェトから声が上がる。 「まずは私から一本とってみろ」 ぽいっとジェトの剣を放り投げる。ジェトは受け取ると剣を抜いた。 まっすぐアンテに向かっていく。 カン! 剣戟の音が鋭く鳴る。 力任せのジェトと受け...
星空のスピカ | 2016.03.02 Wed 11:41
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 時間はややさかのぼる。カエムの命令が下りてから七日目の日、久しぶりにジェトとシェリティは星の宮で会った。 先週と何ら変わりのない風貌。だが一つだけ違う点があった。シェリティが女性用の衣装を身にまとっていた。短い髪にはあわない服装。どこかちぐはぐでおもはゆかった。 二人してじっと固まる。次に何をしていいのかわからないのだ。 「ジェトもシェリティも固まらないで。いつも通りでいいのよ」 ミズキが助け舟を出す。ミズキはもう出産を終え長女の世話をしていた。腕...
星空のスピカ | 2016.02.29 Mon 19:36
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの それはそれは小さな光だった。 小さな小さな・・・。 それが希望の光となった。 世を照らす光となった。 人々は喜び歌い舞い踊った。 明るい世界は希望で満ち溢れた。世を照らすモノは思う。もう一対の光はどこへ行っただろうか。行くへ知れずの光を思うが人々の喜びにまぎれていく。 そして光は太陽になった。 「いいんちょ〜。あづいよ〜」 「その呼び名はやめてといってるでしょう?」 心底嫌そうに葵は言う。委員長なんて押し付けられたやっかいごと。 そ...
星空のスピカ | 2016.02.27 Sat 07:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「ん? また星降りか」 アンテは窓から差し込む星の光に一瞬目をやって書類に視線を落としたが一瞬でまた窓の外を二度見した。 「星降り!? 誰が落としている?!」 「あちらは武術訓練場の方ですな」 指南役のユリアスの父親が言う。 「出てくる!!」 アンテは一言叫ぶと執務室を飛び出た。 「王もまだまだ若いですな」 指南役カエサルはほぉっほっと笑って見送った。 「男二人?!」 星の宮から駆け付けたミズキとともに武術訓練場へ向かった先には異母弟のジェトが少年...
星空のスピカ | 2016.02.26 Fri 21:20
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ワセトの提案はすぐにでも実行された。二人は馬に乗って隣国に簡素に入るつもりだったがアンテは三頭立て馬車を用意し絢爛豪華な新婚旅行を贈ったのだった。 「アンテのやつ。こんなに派手にしてどうする。おおかた近隣諸国への示しを付けようとしたのだろうが・・・」 むすっとカエムが言う。アフェラも深いため息をつく。 「私もたしたい娘でないのに・・・」 「そんなに卑下することはない。アフェラ姫のような歌姫ならば自慢してもいいほどだ」 「愛ある家庭の娘ならね・・・」...
星空のスピカ | 2016.02.25 Thu 22:11
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「やっぱり星は降らないわね」 ミズキがこそっとアンテに言う。 「政略結婚だからな。仕方あるまい」 式をカエム以外誰が執り行うのかと誰もが疑問に思っていたがもう一人星読みがいた。カエムの双子の弟ワセトだった。アンテは涼しい顔をしている。 「次から次へと秘密が出るわね」 「すまないな。この国もたいしたことではないという事だ」 「別に期待してないわよ。これから良くしていけば良い話でしょ?」 コソコソ王と王妃が話しているとそばにいるユリアスがこほん、と咳払...
星空のスピカ | 2016.02.24 Wed 21:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 女三人の後宮暮らしは楽しかった。アフェラはこの国の風習が面白くシュリンに何度も質問して困らせた。それに乗じてミズキも質問攻めにする。彼女は王妃としての責務があり仕方なく覚える必要があったのだがアフェラはたんに好奇心から質問しては困らせていた。 「もう。お二人とも質問じゃなくて仕事をしてください! また夕餉を自分たちで作る羽目になりますよ」 「だって〜。こっちのほうが面白いもの。夕餉つくりは歓迎するわ」 ミズキがじゃじゃ馬ぶりを発揮するとアフェラも負...
星空のスピカ | 2016.02.23 Tue 21:42
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