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星降る国物語3 第一話 蒼い瞳の歌姫

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの   「これから行く星の宮は正妃専用の宮だ。そこにシュリンもいる。しばらく女官の行儀見習いという名目で入ってもう。品定め期間というところだ。カエムには正式に同盟を結ぶ折にあってもらおうと思っている。そなたには懐かしい顔ぶれがそろっているからしばらくは安心してもらえると思う」 アンテは早めに足を動かしながら隣にいる姫君に声をかけた。 アンテは普通に平和にしていたいのだが最近フレーザー国が簒奪をもくろんでいるという情報が流れてきている。手は早めに打っておきた...

星空のスピカ | 2016.02.22 Mon 19:48

星降る国物語外伝後編 星の約束

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ヤースミンの丘にネフェルは来ていた。 母と乳母とホルスとよく来ていた秘密の花園。泣いていた。自分の兄が他の誰かにとられると知っていたがこんなにつらいとは思わなかった。 おまけにホルスとのことも否定された。すべてを失ったような気がしてネフェルは心がからっぽだった。 「ネフェル!」 「ネフェル様!」 ホルスが探し当てたのだろう。アンテとともに馬に乗ってやってきた。 会いたくなかった。涙でぐしょぐしょの顔を見られたくなかった。 急ぎユリアスの馬にのり立ち去ろうと...

星空のスピカ | 2016.02.21 Sun 19:15

星降る国物語外伝前篇 嵐の姫君

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの   星の宮に盛大な音をたてて走る少女がいた。 「兄様!」 叫びながら少女は人馬宮に入ってきた。 「式を挙げたって本当なの?」 「もう。戻ったのか?」 アンテはごく自然に妹、ネフェルに声をかけていた。 「星降りは半年以上も前だよ」 「本当に星降りがあったの?」 いかがわしげに尋ねる。そしてそばにいたミズキに視線をやる。 「ふーん。この方が正妃様なのね。どれぐらいの身分の方かしら?」 不機嫌そうにミズキを上から下へと見る。 「ただの異国の舞妓ですわ。ネフェ...

星空のスピカ | 2016.02.20 Sat 18:29

星降る物語2 第四話 再び降りる星  

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 右大臣家と星の宮の生活も慣れてきた。たまに市で食材を買って帰るときもある。 食事つくりにシュリンは満足していた。ユリアスはすぐに抱きつきたがるが、うまい具合にシュリンはさけていた。その抱き癖にもいい加減慣れてきた。いっそそのまま抱かれてみたらどんな感じだろうと思うが怖くてできなかった。 そんな中メルがそっと紙を渡してきた。 「メル? 何か言いたいことがあるの?」 紙には今日がユリアスの誕生日と書かれていた。 「ほんとなの? じゃ、うんと盛大にお祝いしないと...

星空のスピカ | 2016.02.18 Thu 00:11

星降る物語2 第三話 新しい生活

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「ただ今帰りました」 城郭内の右大臣宅に帰宅するとシュリンはさっそく夕餉の準備に取り掛かろうとしてまたもやメルに豪華絢爛の衣装に変えられた。女官衣装のほうが使いかっていいのにと思いながら。 「今日はどんな食材があるの? やっぱり買い物が必要ね。大旦那様は魚と肉ならどちらがお好み?」 てきぱきと動きながらシュリンは必要な情報を手に入れていく。女官癖とでもいうか。メルもその手腕に内心驚きながらもうちの旦那様もいい奥様をいただいたものだと思っていた。正確には式はあ...

星空のスピカ | 2016.02.16 Tue 21:43

星降る国物語2 第二話 奥様は女官様(やっぱり掲載(^_^;))

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの シュリンはいつもの習慣で夜が明ける前に目が覚めた。 見慣れない天井に昨夜のことがまざまざと思い出される。 そしてあたたかな頭をなでる手。夢にしては妙に現実味があった。だがユリアスがするとは思われなかった。 非現実なことに頭を悩ますよりさっさと女官としてミズキの近くに行きたかった。 自分の女官服を探すが見当たらない。昨夜脱いで寝間着に着替えたはずなのに。 「お起きになされましたか・・・」 「きゃっ」 振り返るとろうそくを持った老女が部屋にいた。 「召使のメルで...

星空のスピカ | 2016.02.16 Tue 00:14

星降る国物語2 第一話 突然の星降り

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「お綺麗ですわ。ミズキ様いえ正妃様」 シュリンは深々と礼をした。 「やぁね。今更、正妃うんたらっていう間柄ではないしょう?」 「ミズキ様」 シュリンは涙ぐむ。 「あとはゆっくりとしなさい。この半年この行事のために女官達が一生懸命がんばってくれていたことは知っているわ。今日ぐらいどこか行きなさい」 「もったいない。この行事のために頑張ってきたのですもの。都をめぐる一列をどこからか見ますわ」 「仕事熱心ね。シュリンには次の仕事があるのよ」 「仕事?」 いぶかしげ...

星空のスピカ | 2016.02.14 Sun 19:51

星降る国物語 最終話 星降る国物語

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの アンテは星の宮に他人が浸入したのに気づいた。ミズキの寝台に近づくとミズキの肩をつかんだ。 「ミズキ。賊が侵入してきた。もしもの時はこれを使え」 そういって小刀を握らせた。 「アンテ?」 不安そうなミズキにアンテは一瞬抱き寄せる。 「大丈夫だ。私がついている」 そういうと入り口の壁に身を潜ませた。 一人…二人…三人…か? アンテは暗闇の中で目測する。 一人目が勢いよく突入してくる。それを一瞬で切り交わす。 ちっ、と小さな舌打ちが聞こえたかと思...

星空のスピカ | 2016.02.13 Sat 19:33

星降る国物語 第三話 暗雲

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの   ある日の早朝。 星の宮に今にも駆け出しそうなアンテの足があった。そのままミズキの部屋に突入する。 「ミズキ!! 早く起きろ。遠出に行くぞ」 「なによ。まだ寝ているのに」 とげとげしい声でミズキがいう。 「遠出したいのだろう? 今から行く」 「今から? まだ朝の何時よ」 「とにかくこれに着替えろ」 ぽんと服が寝台に投げ出された。 「何よ。これ」 「早くシュリンを呼んで着替えろ。時間がない」 「時間〜??」 「シュリン! シュリンはいるか?」 あわただ...

星空のスピカ | 2016.02.12 Fri 22:43

星降る国物語 第二話 星の宮

JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの   この日からミズキの優雅な生活が始まった。今まで何でもこなしていたがここではミズキがしようとする前に女官達が先にやってしまう。自分でできることは歩行と舞だけだった。 舞を見たいと言っていたアンテは一向に現れなかった。  手持無沙汰になったミズキはただ庭を散策する子にした。見たこともない花や樹木が不思議な配置で構成されていた。何度見ても飽きない。この時だけはミズキ付きのシュリンだけがそばにいた。 「シュリン。あなたは何歳なの?」 いつものツンデレを追い...

星空のスピカ | 2016.02.12 Fri 00:33

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