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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ワセトの提案はすぐにでも実行された。二人は馬に乗って隣国に簡素に入るつもりだったがアンテは三頭立て馬車を用意し絢爛豪華な新婚旅行を贈ったのだった。 「アンテのやつ。こんなに派手にしてどうする。おおかた近隣諸国への示しを付けようとしたのだろうが・・・」 むすっとカエムが言う。アフェラも深いため息をつく。 「私もたしたい娘でないのに・・・」 「そんなに卑下することはない。アフェラ姫のような歌姫ならば自慢してもいいほどだ」 「愛ある家庭の娘ならね・・・」...
星空のスピカ | 2016.02.25 Thu 22:11
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「やっぱり星は降らないわね」 ミズキがこそっとアンテに言う。 「政略結婚だからな。仕方あるまい」 式をカエム以外誰が執り行うのかと誰もが疑問に思っていたがもう一人星読みがいた。カエムの双子の弟ワセトだった。アンテは涼しい顔をしている。 「次から次へと秘密が出るわね」 「すまないな。この国もたいしたことではないという事だ」 「別に期待してないわよ。これから良くしていけば良い話でしょ?」 コソコソ王と王妃が話しているとそばにいるユリアスがこほん、と咳払...
星空のスピカ | 2016.02.24 Wed 21:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 女三人の後宮暮らしは楽しかった。アフェラはこの国の風習が面白くシュリンに何度も質問して困らせた。それに乗じてミズキも質問攻めにする。彼女は王妃としての責務があり仕方なく覚える必要があったのだがアフェラはたんに好奇心から質問しては困らせていた。 「もう。お二人とも質問じゃなくて仕事をしてください! また夕餉を自分たちで作る羽目になりますよ」 「だって〜。こっちのほうが面白いもの。夕餉つくりは歓迎するわ」 ミズキがじゃじゃ馬ぶりを発揮するとアフェラも負...
星空のスピカ | 2016.02.23 Tue 21:42
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「これから行く星の宮は正妃専用の宮だ。そこにシュリンもいる。しばらく女官の行儀見習いという名目で入ってもう。品定め期間というところだ。カエムには正式に同盟を結ぶ折にあってもらおうと思っている。そなたには懐かしい顔ぶれがそろっているからしばらくは安心してもらえると思う」 アンテは早めに足を動かしながら隣にいる姫君に声をかけた。 アンテは普通に平和にしていたいのだが最近フレーザー国が簒奪をもくろんでいるという情報が流れてきている。手は早めに打っておきた...
星空のスピカ | 2016.02.22 Mon 19:48
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ヤースミンの丘にネフェルは来ていた。 母と乳母とホルスとよく来ていた秘密の花園。泣いていた。自分の兄が他の誰かにとられると知っていたがこんなにつらいとは思わなかった。 おまけにホルスとのことも否定された。すべてを失ったような気がしてネフェルは心がからっぽだった。 「ネフェル!」 「ネフェル様!」 ホルスが探し当てたのだろう。アンテとともに馬に乗ってやってきた。 会いたくなかった。涙でぐしょぐしょの顔を見られたくなかった。 急ぎユリアスの馬にのり立ち去ろうと...
星空のスピカ | 2016.02.21 Sun 19:15
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 星の宮に盛大な音をたてて走る少女がいた。 「兄様!」 叫びながら少女は人馬宮に入ってきた。 「式を挙げたって本当なの?」 「もう。戻ったのか?」 アンテはごく自然に妹、ネフェルに声をかけていた。 「星降りは半年以上も前だよ」 「本当に星降りがあったの?」 いかがわしげに尋ねる。そしてそばにいたミズキに視線をやる。 「ふーん。この方が正妃様なのね。どれぐらいの身分の方かしら?」 不機嫌そうにミズキを上から下へと見る。 「ただの異国の舞妓ですわ。ネフェ...
星空のスピカ | 2016.02.20 Sat 18:29
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 右大臣家と星の宮の生活も慣れてきた。たまに市で食材を買って帰るときもある。 食事つくりにシュリンは満足していた。ユリアスはすぐに抱きつきたがるが、うまい具合にシュリンはさけていた。その抱き癖にもいい加減慣れてきた。いっそそのまま抱かれてみたらどんな感じだろうと思うが怖くてできなかった。 そんな中メルがそっと紙を渡してきた。 「メル? 何か言いたいことがあるの?」 紙には今日がユリアスの誕生日と書かれていた。 「ほんとなの? じゃ、うんと盛大にお祝いしないと...
星空のスピカ | 2016.02.18 Thu 00:11
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「ただ今帰りました」 城郭内の右大臣宅に帰宅するとシュリンはさっそく夕餉の準備に取り掛かろうとしてまたもやメルに豪華絢爛の衣装に変えられた。女官衣装のほうが使いかっていいのにと思いながら。 「今日はどんな食材があるの? やっぱり買い物が必要ね。大旦那様は魚と肉ならどちらがお好み?」 てきぱきと動きながらシュリンは必要な情報を手に入れていく。女官癖とでもいうか。メルもその手腕に内心驚きながらもうちの旦那様もいい奥様をいただいたものだと思っていた。正確には式はあ...
星空のスピカ | 2016.02.16 Tue 21:43
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの シュリンはいつもの習慣で夜が明ける前に目が覚めた。 見慣れない天井に昨夜のことがまざまざと思い出される。 そしてあたたかな頭をなでる手。夢にしては妙に現実味があった。だがユリアスがするとは思われなかった。 非現実なことに頭を悩ますよりさっさと女官としてミズキの近くに行きたかった。 自分の女官服を探すが見当たらない。昨夜脱いで寝間着に着替えたはずなのに。 「お起きになされましたか・・・」 「きゃっ」 振り返るとろうそくを持った老女が部屋にいた。 「召使のメルで...
星空のスピカ | 2016.02.16 Tue 00:14
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「お綺麗ですわ。ミズキ様いえ正妃様」 シュリンは深々と礼をした。 「やぁね。今更、正妃うんたらっていう間柄ではないしょう?」 「ミズキ様」 シュリンは涙ぐむ。 「あとはゆっくりとしなさい。この半年この行事のために女官達が一生懸命がんばってくれていたことは知っているわ。今日ぐらいどこか行きなさい」 「もったいない。この行事のために頑張ってきたのですもの。都をめぐる一列をどこからか見ますわ」 「仕事熱心ね。シュリンには次の仕事があるのよ」 「仕事?」 いぶかしげ...
星空のスピカ | 2016.02.14 Sun 19:51
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