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JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 週に一度の逢瀬は当然のごとく次もやってきた。今度はアンテもいた。本当に剣を持ってる。 「約束通り持って来たぞ」 大きな剣を振り振り振って見せる。 「兄上。ありがとー」 ジェトが軽い乗りで剣を受け取ろうとする。 「おっと。まだ私と一戦交えてないぞ」 ええー、とジェトから声が上がる。 「まずは私から一本とってみろ」 ぽいっとジェトの剣を放り投げる。ジェトは受け取ると剣を抜いた。 まっすぐアンテに向かっていく。 カン! 剣戟の音が鋭く鳴る。 力任せのジェトと受け...
星空のスピカ | 2016.03.02 Wed 11:41
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 時間はややさかのぼる。カエムの命令が下りてから七日目の日、久しぶりにジェトとシェリティは星の宮で会った。 先週と何ら変わりのない風貌。だが一つだけ違う点があった。シェリティが女性用の衣装を身にまとっていた。短い髪にはあわない服装。どこかちぐはぐでおもはゆかった。 二人してじっと固まる。次に何をしていいのかわからないのだ。 「ジェトもシェリティも固まらないで。いつも通りでいいのよ」 ミズキが助け舟を出す。ミズキはもう出産を終え長女の世話をしていた。腕...
星空のスピカ | 2016.02.29 Mon 19:36
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの それはそれは小さな光だった。 小さな小さな・・・。 それが希望の光となった。 世を照らす光となった。 人々は喜び歌い舞い踊った。 明るい世界は希望で満ち溢れた。世を照らすモノは思う。もう一対の光はどこへ行っただろうか。行くへ知れずの光を思うが人々の喜びにまぎれていく。 そして光は太陽になった。 「いいんちょ〜。あづいよ〜」 「その呼び名はやめてといってるでしょう?」 心底嫌そうに葵は言う。委員長なんて押し付けられたやっかいごと。 そ...
星空のスピカ | 2016.02.27 Sat 07:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「ん? また星降りか」 アンテは窓から差し込む星の光に一瞬目をやって書類に視線を落としたが一瞬でまた窓の外を二度見した。 「星降り!? 誰が落としている?!」 「あちらは武術訓練場の方ですな」 指南役のユリアスの父親が言う。 「出てくる!!」 アンテは一言叫ぶと執務室を飛び出た。 「王もまだまだ若いですな」 指南役カエサルはほぉっほっと笑って見送った。 「男二人?!」 星の宮から駆け付けたミズキとともに武術訓練場へ向かった先には異母弟のジェトが少年...
星空のスピカ | 2016.02.26 Fri 21:20
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ワセトの提案はすぐにでも実行された。二人は馬に乗って隣国に簡素に入るつもりだったがアンテは三頭立て馬車を用意し絢爛豪華な新婚旅行を贈ったのだった。 「アンテのやつ。こんなに派手にしてどうする。おおかた近隣諸国への示しを付けようとしたのだろうが・・・」 むすっとカエムが言う。アフェラも深いため息をつく。 「私もたしたい娘でないのに・・・」 「そんなに卑下することはない。アフェラ姫のような歌姫ならば自慢してもいいほどだ」 「愛ある家庭の娘ならね・・・」...
星空のスピカ | 2016.02.25 Thu 22:11
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「やっぱり星は降らないわね」 ミズキがこそっとアンテに言う。 「政略結婚だからな。仕方あるまい」 式をカエム以外誰が執り行うのかと誰もが疑問に思っていたがもう一人星読みがいた。カエムの双子の弟ワセトだった。アンテは涼しい顔をしている。 「次から次へと秘密が出るわね」 「すまないな。この国もたいしたことではないという事だ」 「別に期待してないわよ。これから良くしていけば良い話でしょ?」 コソコソ王と王妃が話しているとそばにいるユリアスがこほん、と咳払...
星空のスピカ | 2016.02.24 Wed 21:22
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 女三人の後宮暮らしは楽しかった。アフェラはこの国の風習が面白くシュリンに何度も質問して困らせた。それに乗じてミズキも質問攻めにする。彼女は王妃としての責務があり仕方なく覚える必要があったのだがアフェラはたんに好奇心から質問しては困らせていた。 「もう。お二人とも質問じゃなくて仕事をしてください! また夕餉を自分たちで作る羽目になりますよ」 「だって〜。こっちのほうが面白いもの。夕餉つくりは歓迎するわ」 ミズキがじゃじゃ馬ぶりを発揮するとアフェラも負...
星空のスピカ | 2016.02.23 Tue 21:42
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 「これから行く星の宮は正妃専用の宮だ。そこにシュリンもいる。しばらく女官の行儀見習いという名目で入ってもう。品定め期間というところだ。カエムには正式に同盟を結ぶ折にあってもらおうと思っている。そなたには懐かしい顔ぶれがそろっているからしばらくは安心してもらえると思う」 アンテは早めに足を動かしながら隣にいる姫君に声をかけた。 アンテは普通に平和にしていたいのだが最近フレーザー国が簒奪をもくろんでいるという情報が流れてきている。手は早めに打っておきた...
星空のスピカ | 2016.02.22 Mon 19:48
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの ヤースミンの丘にネフェルは来ていた。 母と乳母とホルスとよく来ていた秘密の花園。泣いていた。自分の兄が他の誰かにとられると知っていたがこんなにつらいとは思わなかった。 おまけにホルスとのことも否定された。すべてを失ったような気がしてネフェルは心がからっぽだった。 「ネフェル!」 「ネフェル様!」 ホルスが探し当てたのだろう。アンテとともに馬に乗ってやってきた。 会いたくなかった。涙でぐしょぐしょの顔を見られたくなかった。 急ぎユリアスの馬にのり立ち去ろうと...
星空のスピカ | 2016.02.21 Sun 19:15
JUGEMテーマ:ファンタジー恋愛もの 星の宮に盛大な音をたてて走る少女がいた。 「兄様!」 叫びながら少女は人馬宮に入ってきた。 「式を挙げたって本当なの?」 「もう。戻ったのか?」 アンテはごく自然に妹、ネフェルに声をかけていた。 「星降りは半年以上も前だよ」 「本当に星降りがあったの?」 いかがわしげに尋ねる。そしてそばにいたミズキに視線をやる。 「ふーん。この方が正妃様なのね。どれぐらいの身分の方かしら?」 不機嫌そうにミズキを上から下へと見る。 「ただの異国の舞妓ですわ。ネフェ...
星空のスピカ | 2016.02.20 Sat 18:29
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