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闘神伝説BRUSTER【生き方を忘れた男】

※本作は物語進行の都合上反社会的描写を含みます。闘神伝説BRUSTER【生き方を忘れた男】         真白いカンバスに流れる雲の影。その輪郭を写し取ろうとしても、それは淡い波のようにゆっくりと、筆先から逃げるように流れ、そして何処かへ行ってしまう。  終わらない旅を急ぐ白雲。  男は空を仰いで、顔に何の表情も刻まぬまま、宇宙より注ぐ七色の光に織りなされた空の青を眺めた。雲は雨のしずくとなって、遠い海へと注ぐだろう。そして太陽に熱されて、再びあの空と交わるのだろう...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.11 Fri 14:52

【In the Sphere〜落ちてきた少年(5)・完結】

 それはようやっとテーブルを買った日の、翌日のことだった。新しい木の匂いがするテーブルにはじめに載ったのは、朝食の暖かい皿ではなく、さよならという言葉だった。それ以外字を知らないような、ぎこちない綴りの別れの言葉。  アルスはただ、何かに憑かれたように、街中を、夜になるまでひた走った。 そうしているうち、自分が何をしているのかかわらなくなって。  どうしてこんなにもずたずたに引き裂かれているのかもわからない心を胸に、感覚のなくなった足で部屋に戻った。  静かな部屋。 真夜中の。 見慣れた部...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.10 Thu 12:37

アースルーリンド 『過去の幻影の大戦』 18 血塗られた戦場 35

やっぱり今日は、人数???が多いせいか 時間かかりました…(涙) こんなに形が無いのに、やっぱり飛び魔(イレギュレダ)はキモチ悪かった…。 塗っても。 上がり確認の時も。 凝視しないように描きました。 ディスバロッサはそれでもまだ、後方に居た。 狂凶大猿(エンドス)が神聖呪文で倒されるのに、呻く。 が内の『闇の第二』は囁く。 『数はこちらが圧倒してる。 いずれ奴らの気力も尽きる。 『光の結界』の中で、幾ら我とて狂凶大猿(エンドス)らを救う、余分な力等使えぬ』 ディスバロッ...

アースルーリンドの騎士 | 2011.11.07 Mon 14:33

【In the sphere〜落ちてきた少年(4)】

※※※ 「好きな人がいるんだ」  そんなことをデュストールが言ったから、アルスは耳を疑った。 「へえ。聖者様も、恋したりすんだ」  意地悪く言ってみせると、彼は少し傷ついたように目を伏せた。 でもそれは一瞬で、アルスの言葉などなかったように彼は続けた。 「その人の息子を、捜してる。その人を、一人にしたくないから」  子持ちの年上女が好きなのか? いや、それより… 「お前さ……それ、変じゃねえか?」「どうして、変なんだ?」  首をかしげるいつもの仕草。瞬かれた、デュストールの瞳。 そこにはいかなる作...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.07 Mon 10:37

【In the Sphere〜落ちてきた少年(3)】

※※※  デュストールは一文無しだった。持っていたのは、笛と、最低限の旅の道具。どこから来たのか聞くと、森からだと言った。アルスには意味が分からなかった。歩いてきたのかと聞くと、違うと言った。それ以上、聞いても答えは返ってこなかった。どうやら言いたくないらしい。 まあ、そんなことはなんでもいいのだ。治安の悪いこの街で、子供である彼を独り放り出すわけにはいかないのだから。  アルスは着替え用に服を貸してやった。サイズが大きすぎて余計に子供っぽい風体になってしまったが、今まで家族を持ったことのない自...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.06 Sun 20:46

【In the Sphere〜落ちてきた少年(2)】

※※※  風は漆黒。 その中、月の光が翻る。  はて、自分は夢でも見ているのかと、アルスは目をこすった。  今宵は新月。月は出ていない。染みだらけの漆喰と床の酒瓶の林立を影と化して浮かび上がらせるは、わずかな星明かりと獣湯ランプの胸のむかつく臭いの灯り。  でも、見たのは確かに月だと思った。夜の中に浮かび上がる、この頼りない透けた色彩は。それに、この静けさは何だろう? 小うるさい女達のおしゃべりも、柄の悪い男達の馬鹿笑いも、何一つとして聞こえない。客の視線はただ酔ったように溶けて、夜の天蓋に注...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.05 Sat 23:08

【In the Sphere〜落ちてきた少年(1)】

闘神伝説BRUSTER【In the Sphere〜落ちてきた少年】   雨が降りそうだと思ってかざした手に、何故か涙が落ちてきた。なぜそんな風に思ったのだろう。今日は晴天。いい天気だ。降ってくるなら、多分天気雨か涙しかない。 アルスは微苦笑に口元を歪めた。いつからそんな空想癖がついたものか。朝も晩も、春嵐が始終窓をガタガタさせるから、やかましくて苛々しているのかもしれない。少し疲れているのかな。そんなことを考えながら、窓に鍵をかける。見ると、向かいの窓に、小さな影がせわしく動く、いつもの様子がのぞけた。...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.05 Sat 23:01

闘神伝説BRUSTER【エルティアナ】(8)・完結

※※※ 暗い部屋の中に、一人の男が椅子に腰かけていた。天井には主のいない数多の蜘蛛の巣。そこで男は、ただ椅子にぐったりともたれかかり、無表情で微動だにせず、ただ何もない場所を見つめていた。 転がる、幾本もの錆びたナイフ。 そのすべてに、大量の血液がこべりついていた。  そのほかにはなにもない。そこは人が暮らす場所ではなかった。 長い、長い、気の遠くなるような長い間……決してやってこない死を待っている場所でしかなかった。   そこに、訪れた者があった。 男はゆっくりと顔を上げた。 開け放たれた扉から...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.05 Sat 09:39

闘神伝説BRUSTER【エルティアナ】(7)

 その刹那。 何かが風を切った。  触れ合った唇が、硬直する。  耳に残る不吉な振動の感触。 肌を刺す空気が一瞬にして凍り付いた。  アルセイスは、口内に広がった血液の味にカッと目を見開いた。 「エ…ルティアナ…?」  アルセイスはかすれ声を振り絞った。   エルティアナの赤い唇。 その唇がそんなにも赤いのは……。  愛しい少女の唇からは、一筋の赤い糸がつたい、流れ落ちていた。 瞳の、涙と共に。 「おのれ、アルセイス殿下を殺めんとする白い妖魔め!」「我が皇国を呪い、滅亡を招いただけでは飽きた...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.05 Sat 09:35

闘神伝説BRUSTER【エルティアナ】(6)

「今夜……どうするの」「どうしようか……」  答えも見つからず、ただ二人で歩くだけ。歩きながら、エルティアナは空を見上げた。 日が落ちれば、それは来る。エルティアナには何故かそれがわかった。 どんな形か、そんなことまではわからない。 だがそこで、全てが終わる気がしていた。 「もう、歩けない。僕はここにいたい」「……ここには何もないぞ。風よけもない。ここで眠ったら風邪をひく。おぶってやるから、あの岩陰まで行こう」「おんぶはいいよ。恥ずかしいもん。あそこまでなら歩ける」  そしてエルティアナとアルセイ...

三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2011.11.04 Fri 18:45

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