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3人は首都へもどった。惑星の裏側だろうが数時間でもどれるので、島に泊まる必要はなかった。 あの白い会議室で、トーダは地図を解析機にかけた。「ウノの言う島からアテヒトの流れ着いた村への海流を辿ろう。その海流の行き先のどこかにエトーがいる。」「生きている、と思ってる?」 アテヒトがつぶやくと、トーダは一瞬の間を置いてうなずいた。「サオ・ハも?」 トーダとデンもサオ・ハの方を振り返った。 サオ・ハは何も言わなかった。 しばらく経ってからつぶやいた。「わたしにはまだ何も感じられない。ただ・・。」「...
Planet | 2009.08.07 Fri 09:28
JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(8)「ところで」 玄丈先生が話題を変えるようにきいた。「今日はどのようなご用件でいらっしゃったのですか?」「ほかでもない」 如雪は座り直した。「風の噂によると、道場の経営がかなり苦しいそうじゃないか。だから、よかったら手を貸そうと思ってね」「それはお心遣いありがとうございます。せっかくのお気持ちですが、いまのところそのような必要はございませんので、お気遣いなきように願います」「そうかな?」 如雪はちらりと上眼遣いに玄丈先生を見て...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.07 Fri 06:58
JUGEMテーマ:連載+++久しぶりに再開。過去編です。+++ 走る走る走る。繋がっている手はもうとうの昔に汗ばんでいて、外れないか不安だった。絶えず降り続けている雪は、容赦なく体温を奪っていく。吐く息は白く、雪に足を取られないよう、祈りながら走り続けた。
Le Figuier Commun | 2009.08.06 Thu 18:02
その島は、町と呼べる場所があり、人もけっこういた。 トーダは飛行艇を町はずれに置き、歩いてその町に入った。「飛行場もあるが、最新鋭の機器は目立つからな。」 食事のとれる場所があり、人が集まっていた。 4人はそこで夕食を頼んだ。 やはり比較的エイジア人の顔の多いところだ。「以前にも来たことはあるんだが、なんの収穫もなかったな。」 トーダはそう言って食事に手をつける。 だが、サオ・ハは目ざとくそのトーダの腕の上に手を置いた。「みなで一斉に見ないで、それとなく見て。あっちのテーブルの男がこっちを...
Planet | 2009.08.06 Thu 08:18
JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(7) 如雪の話を黙ってきいていた玄丈先生は静かに口を開いた。「そうでしたね。あなたらしい率直な答えだと思いましたよ」「当たり前だ」 如雪の短い言葉には怒気がこもっていた。「湛山先生はおれに質問された。たとえ、その技が人を殺す仕事の一部に使われてもかと。それで、おれはこう答えたんだ」 ――それでも構わないと思います。技はいちばん評価されるところで使われることが幸せだと思います。 如雪はそう言うと、下を向いたまま黙り込んでしまっ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.06 Thu 06:50
「死って、ただ体が死ぬことだけじゃない。心だって死ぬ。」 今度はエイジアが黙った。「『ジン』っていうのはただ穏やかな優しいだけのものじゃない。人間に喜びと輝きを与えるものだ。」「そうなんだ。」「例えばこの湖を見ても、何も感じなくなったとしたら、それはその人は生きているといえるんだろうか?」 エイジアは外を見るためにゆっくりと顔を上げた。「そういう人が増えているんだ。」 デンも添えた。「だけど、そんなたいそうなことがたったひとつの宝物くらいで解決するのかい?」 サオ・ハは微笑みを浮かべた。「そ...
Planet | 2009.08.05 Wed 10:04
JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(6) この話の内容はこういうことであった。 ――宋の国に代々麻を水に晒して商売している家があった。商売がら、その家にはひびやあかぎれの妙薬をつくる秘伝が伝わっていた。旅人がそれを聞きつけて、薬の製法を百両で買いたいと申し出た。 そこで主人は一族を集めて相談した。「我が家は代々、麻を晒す商売をしてきたが、儲けときたら年に五、六両がいいところだ。ところが薬の製法を売ればたちまち百両の儲けになる。どうだろう、思い切って話にのろうじ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.05 Wed 08:19
JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(5)「私はマニュアル方式はとりません」 玄丈先生は静かに自分の意見を述べはじめた。「私たちが相手にするのは人間です。人間は一人ひとり違います。マニュアルですべて対応できるとは思いません。ですから、弟子を教育するに当たっては、あらゆる問題に対処できる勘を育てるしかない、と私は思っています」 如雪はそっぽを向いて聞いていた。玄丈先生はそれに構わずつづけた。「ですから、私は自分がやってみせるだけで何も教えません。弟子が質問しても...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.04 Tue 09:24
ユーニスはエイジアの驚愕と不安を落ち着かせようと、低い声で制した。「あなたの意志がなければこれは共有できません。あなたが許可したから、共有できたのです。安心して。勝手にあなたの心や記憶に立ち入ることはなんびとも出来ないのです。人間の意志、決定はどんなに時代が進んでも犯しがたいものです。」 エイジアは脱力したように座った。「やはり、きみはエトーとごく近い間柄だったようだ。」 トーダが再び納得するようにうなずいていた。「何があったんだろうな?天変地異か、それとも・・追っ手か・・。」 デン...
Planet | 2009.08.04 Tue 08:16
格納庫を出て真直ぐの突き当たりは、明るい透き通った壁だった。 そこの前まで来ると自然にそれは開いて、天井のない自然光の取り入れられた美しい吹き抜けが目前に広がった。地下深くまで蟻の巣のように層になって、多くの人々が行き交い、何かしているのが見える。目を上げれば緑に囲まれた青い空がぽっかりと見える。 一同は吹き抜けのテラスのようなところに立った。 するとそれは何の振動もなく高速で降下し始めた。 止まったところで吹き抜けを取り巻く回廊を歩き、ひとつの部屋へと入った。 真っ白い壁だけの部屋で、ユ...
Planet | 2009.08.03 Mon 08:23
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