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JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(4) 玄丈先生は遠くを見るような眼で、語りはじめた。 ――私が湛山先生から教えていただいた「処」は、主なものとしては、脚に七つ、腕に七つ、腹に五つ、頭に五つ、首に三つです。そのほか側腹や鼻の急処など補助的なところを加えれば五十くらいになるでしょうか。ほかにも無数といっていいくらい、処については教えていただきました。しかし、では数を増やせば整体師としていいのかと言うと、必ずしもそうとは言えないような気がしております。湛山先生の操法を受...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.03 Mon 07:24
昼にもならぬうちに、それはやってきた。 ランバーの十分の一くらいの大きさの飛行艇が2機、村の真ん中に降りて来た。 煙のように静かだった。まるで雲が舞い降りたようだった。 子供達はもの珍しく、歓声を上げて群がった。 やはり音もなく開いた入り口から、人が降りて来た。「エルナハン。」「トーダ。」「彼か?」「そうだ。」 エルナハンと呼ばれた男はエイジアを見た。 エイジアが差し出された手を握り返すと、エルナハンは笑った。「ランバーは後で調整班が来てチューニングする。たぶん持って帰れるだろう。一足先に...
Planet | 2009.08.02 Sun 11:20
トーダは瞳を見開いて、棟の段を降りた。 エイジアの肩に手を置いて言った。「我々と来ないか?」 エイジアはとっさに身を引いた。 トーダは笑顔を浮かべた。「無理もない。理由も分からず知らぬところにゆくのは勇気がいる。」 段に座ると、エイジアにも座るように勧めた。 エイジアはトーダの横に座った。「我々は地図を作っていると言った。それも事実だ。だが、もうひとつ大事な役割がある。」 トーダはシュトに帰る日の朝になってそれを明かした。「この大陸の首都は素晴らしいところだ。なにもかもが進んでいる。だ...
Planet | 2009.08.01 Sat 09:01
トーダは瞳を見開いて、棟の段を降りた。 エイジアの肩に手を置いて言った。「我々と来ないか?」 エイジアはとっさに身を引いた。 トーダは笑顔を浮かべた。「無理もない。理由も分からず知らぬところにゆくのは勇気がいる。」 段に座ると、エイジアにも座るように勧めた。 エイジアはトーダの横に座った。「我々は地図を作っていると言った。それも事実だ。だが、もうひとつ大事な役割がある。」 トーダはシュトに帰る日の朝になってそれを明かした。「この大陸の首都は素晴らしいところだ。なにもかもが進んでいる。だ...
Planet | 2009.08.01 Sat 09:00
JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(3)「あのとき、湛山先生は我々ににどんな質問をされたっけかな」 そう言いながら如雪は首をひねった。そして、昔を思い出そうとでもするつもりか、斜め左上の天井をじっと見つめた。だが、その姿は妙にわざとらしくぼくには映った。「そうだ!」 如雪は突然合点をしたように、自分の左掌を右の拳で叩いた。「質問はふたつあった。ひとつは、整体の処《ところ》についてだった」 ――処とは、野口晴哉の整体用語で、調整の急処、ツボのようなところと理解し...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.01 Sat 08:45
バーン! けたたましいひびきとともに、五頭の空とぶポニーたちがいっせいに天へと駆けのぼってゆきました。ポニーにまたがった子どもたちを目で追いかけながら、観客たちがあつい声援をおくっています。ミスター・グリーンの席のよこで、ポニーの着ぐるみを着た妙ちきりんな男が、マイクにむかってさけびはじめました。「さあ、いよいよ最初の五頭が飛びたったわけですがミスター・グリーン、いったいぜんたい勝敗はどうなるのでしょうかね!」 とつぜん話が自分にふられたものだから、ミスター・グリーンはあわてふためいて、思...
こどものほん | 2009.08.01 Sat 04:44
(ここはもうだめだ。エトーと船へ急げ!)(父さんは!)(大事なものがまだ神居にある。すぐに追いつく。急げ!) 静かで暗い。 (誰もいないのか?) 水音がする。 気がつくと頬を水に濡らしていた。 頬だけではなかった。半身は水の中だ。 板切れの上にかろうじて乗っている。(父さん・・。) エトー?エトーと言ったか? 父さんは何を守ろうとしたのだろう? 微かな音がした。 その音に気づいてエイジアの意識は深いところから甦ってきた。 うっすらと目を開くと、微かな光が見えた。 振り返ると球体がぼうっと薄...
Planet | 2009.07.31 Fri 14:28
JUGEMテーマ:連載第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(2) 如雪はゆっくりとお茶を飲んでから話を始めた。「さっき、道場に来る前、近所をブラブラ歩いてみたんだ。いや、すっかり様子が変わってしまっているな。おれがいたころは、まだ草ぼうぼうの空き地がちょこちょこあったがねえ」「ええ、二十年以上前のことですからね。まわりはすっかり家が建っています」「人も代わった。おれが知っている人間は、もうほとんどいないだろうな」「そうですね。会員さんの代替わりがずいぶん進んでいますから」「湛山先生の世話にな...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.07.31 Fri 08:18
その日の午後遅く、エイジアは砂丘を下った。 そのままになっているランバーは、少しずつ砂に埋もれていた。 何か引っ掛かるものを胸の奥に抱えてしまったエイジアは、なんだかじっとしていられなくなってここに来てしまった。(ジン?なんだろう?それは・・。) だが、トナンの様子ではトーダにそれを聞くことははばかられた。 ランバーに何か手がかりはないだろうかと思ったのだ。 入り口に砂が積もって開きにくくなっていた。 だが、試しに何度か体当たりをしてみると、思いがけず開いた。 真っ暗な船内に入ろうとすると...
Planet | 2009.07.30 Thu 08:50
JUGEMテーマ:連載 第四章 玄丈先生の危機6 玄丈先生と如雪の対談(1) 翌日になっても、晴美の柔らかい腰を抱いた左腕の感触を、ぼくは忘れることはなかった。だが、いつまでもそんな余韻に浸ってはいられなかった。 その日の午後、またしても驚くべき事態が発生したのだ。前ぶれもなく、如雪が玄丈道場にやってきたのである。 たまたま居合わせたぼくは、とにもかくにも如雪を二階の客間「天真《てんしん》の間」に案内した。 この部屋は十二畳ほどの和室で、床の間には立派な掛け軸がかけられていた。 それには、大きな文字...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.07.30 Thu 06:58
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