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JUGEMテーマ:連載 夕涼みの最中、ひぐらしが鳴きはじめた。鐘を控えめにうちならすような、どこか悲しげな響きがこだまする。はっとして顔を上げると、窓からの風が頬を撫でた。その風は明らかな清涼を帯びていて、熱を持った肌を冷やした。 ――夏も、もう終わりか。 実感して、わたしは言いようのない虚脱感に襲われた。終業式が終わったときのあのなんだってできると思えた開放感はどこへ行ってしまったのだろう。不快指数の高さまでもが愛おしかったこの季節はもう終わってしまうのだ。 わたしの夏への憧憬は、今年もまた消化不...
何かいろいろ形容しがたい。 | 2009.08.22 Sat 12:05
事態の収拾に追われたユーニスがようやく議会を開いたのは事故から5日目だった。 アテヒトは議場に入ってすぐにピリピリとした空気を感じた。「我々のシステムはこうも脆いものなのか?」「違う。想定外のことが起きたんだ。今までの二千年はこれでやってきたじゃないか。」「想定外、ということがあること自体がすでに脆いんだ。だから根本的なことに早く向き合うべきだったんだ。」「なんとかしないと、これで済まないぞ。」 言葉が飛び交っている。「そうやって怖れをあおるな。何も戦争が起きたわけじゃない。もっと冷静にな...
Planet | 2009.08.22 Sat 12:04
JUGEMテーマ:連載第五章 玄丈先生と如雪の対決1 戦略チームの旗揚げ(4) ほかにもいろいろなことが話題に上った。 ――スキャンダル記事を誰がなんの目的で書いたのか。 ――なぜ如雪が融資話を自らもってきたのか。 ――なぜ如雪が免許皆伝の書に興味を示したのか。 しかし、議論は堂々巡りであった。推理はいくらでも立てられるが、いずれも確かな根拠はなかった。 加藤さんは腕を組みながら話をじっと聞いていたが、やがて腕を下ろした。「まあいいだろう。今日の議論はそれまでにしておこう。今後の方針だが、まずは今日の議論...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.22 Sat 09:55
議会が終了して、アテヒトはひとりでエレベーターを下り、首都の森を歩いた。 森の湿り気のある空気は、アテヒトのほてった頭を冷やしてくれるようだった。 少し暮れかけて夕映えが緑をやわらかく照らしていた。 歩いて、歩いて、尽きるところまで歩いた。 そこは崖になっていた。 広く遥か地平まで見渡せる。 続く緑の海の渚で、アテヒトは自分の中に言葉にならないものが落ち、それを迎えて何かが湧いて来ているのを感じていた。(・・・。) それが何かを感じながら星が出てきた空を見上げた。(・・じゃあ、わたしはジン...
Planet | 2009.08.21 Fri 10:23
JUGEMテーマ:連載第五章 玄丈先生と如雪の対決1 戦略チームの旗揚げ(3) しばらくして、加藤さんが到着した。「みんな、どうしたんだい。しんみりした顔をして」 加藤さんはそう言ってぼくたちの顔をひとながめしてから声をあげた。「では作戦会議を始めよう。活発な議論を頼むよ。翔太君、君が司会をしてくれ。どこからやっていこうかね?」「これまで得られている断片的な情報を、ジグソーパズルをするように、ひとつひとつつなげていくことにしましょう」 翔太が言った。「よし」 ぼくがブリーフィング役を買って出た。「で...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.21 Fri 09:10
JUGEMテーマ:連載 第五章 玄丈先生と如雪の対決1 戦略チームの旗揚げ(2) 戦略チームの最初の会議は、十一月二十日、道場二階の奥の和室、天真の間で行われた。 加藤チーフが到着するまで少し時間があったので、その間、返済期限があと十日ほどに迫っている玄丈先生の個人債務がどうなっているかが話題に上った。 そのとき、晴美が一通の手紙をぼくたちに見せた。差出人は高橋慶一という中年の男性会員であった。手紙にはこんな内容が書かれていた。 ――玄丈先生には、母のことですっかりお世話になりました。母...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.08.20 Thu 09:55
翌日ユーニスは迅速に議会を召集してくれた。 その場にはドラゴもバギも呼ばれた。「では、議会を開く提言をしてくれたサタ・アテヒトからまず。」 ユーニスはアテヒトを指名した。「わたしは今まで“お客さん”で、“見物人”でした。このことの意味がよくわかっていなかったからです。ですが、自分の問題だとわかったので向き合う必要が出てきました。誰ひとりこのことから逃れることは出来ないとわかったんです。この惑星に生きているものすべて。そうでしょう?」 トーダやエルナハンがうなずいた。「ひとのこころが首都の機器に...
Planet | 2009.08.20 Thu 08:48
JUGEMテーマ:連載小説の中で過剰な表現や少々グロイ表現があるかもしれません。年齢制限はしたくはありませんので、そこは自己責任でお願いします。
*SKULLNIGHT* | 2009.08.20 Thu 02:07
JUGEMテーマ:連載小説の中で過剰な表現や少々グロイ表現があるかもしれません。年齢制限はしたくはありませんので、そこは自己責任でお願いします。
*SKULLNIGHT* | 2009.08.20 Thu 01:53
ドラゴの部屋を出てロビーを通りかかったとき、声をかけられた。「アテヒト!」「トナン。」「議会に出ていなかったね。」「ああ。ユーニスの指示でちょっと出てた。」 トナンはアテヒトを手招きした。 アテヒトが近づくと、トナンは小声になった。「実は、バギがおかしい。」「えっ?」 ドラゴとともに首都にやってきた熊男のバギのことだ。「おかしいって何が?」「不審な動きをしている。首都のあちこちに出没してる。」「それってどういうこと?」 トナンは首を振った。「わからないから、追っていた。単なる物珍しさで見物...
Planet | 2009.08.19 Wed 09:05
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