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「せっかくピザの作り方を教わったし、設楽君はああ言ってたけど……あなたは俺が包丁を持つってことを、とても許しそうには見えませんね」 「そうだね。啓介が僕の為に一生懸命料理を覚えようとするという、その行為に感動しそうだけど」 「その言い方!どうせ料理自体には全く期待はしてないってことでしょう?」 宮嶋の小さな憤慨に、是枝は楽しそうに笑った。 「何で啓介が料理をする前提なんだい?あの2人は元々2人とも料理をするようだから、智一君は負けん気を出して頑張るんだろうけど、僕はやりたい...
真昼の月 | 2019.06.03 Mon 08:03
「2人の趣味なんだろうね。実用的で、良い趣味だ」 是枝が頷きながら、洗った皿を宮嶋に渡していく。宮嶋も「そうですね」と頷きながら、受け取った皿を拭いていく。 ちなみに、皿を洗うのが是枝なのは、家事に関しては本当に大雑把な宮嶋に皿を洗わせるつもりが、是枝の中には毛頭無いからだ。まだ友人の所有物である食器を割られてはかなわない。 「あのデザートピザも美味しかったねぇ」 「ええ。慎也、ああ見えて甘い物好きだから、デザートピザは欠かせないんでしょうね」 オレンジを輪切りにして、生地の発酵...
真昼の月 | 2019.06.02 Sun 08:12
「いや、これは店を出せるレベルだよ!」 「褒めすぎだよ、是枝さん!ソースは出来合なんだから!」 最初のピザはマルゲリータだった。大竹が釜から取り出すと、すぐに設楽が切り分ける。良いコンビネーションだ。 宮嶋もマルゲリータを口に入れ……思わず「おいしい!」と唸った。 「石窯の炭火焼きだもん、香ばしくておいしさ3割増しだよ。せっかくこんな良い物があるんだから、2人も活用しないと!」 「いや、これは設楽君が作るから、こんなにおいしいんじゃ……」 最初から弱音を...
真昼の月 | 2019.06.01 Sat 08:05
「ほら、生地に照りが出てきただろ?そしたら丸くまとめて……あ、違う。もっと端っこが出ないように綺麗に丸めて。違う違う、この辺もっとぴっちりくっつくように……摘まんでくっつける感じで」 「こ、こう?」 「そう。そしたらボウルに入れて、濡れ布巾……塗らしたキッチンペーパーでも良いから、上に掛けて、ラップして、30分から1時間くらい置いて、一次発酵。冬は段箱にお湯入れたペットボトルとかと一緒に入れておいて、少し暖かくしてあげること。発泡スチロールの箱とかゲット...
真昼の月 | 2019.05.31 Fri 08:02
「レストランで親しい人だけ呼んで、誓い合えば良いだけの話だろ!?どうせ式に来るのだって、慎也と設楽君くらいだろうし!そんな恥ずかしい式になる筈がないじゃないか!」 「京都では同性婚を挙げてくれるお寺があるらしいよ」 「ああ、仏式か。それも良いかもな」 「だからやめろって!!」 ムキになる宮嶋が可愛くて、こうして笑い合えるのが楽しくて、いつまでもくだらない話をしまくった。設楽も大竹も是枝もゲラゲラ笑って、こんなに笑ったのも久しぶりかもしれない。 「もう!そういう事を言うんなら、式なん...
真昼の月 | 2019.05.30 Thu 08:11
「じゃあ式を挙げる時は招待するから、絶対来てくれよ。いつ頃が良いかな。そういえば智一君は国試の準備があるよね?試験が終わってからの方が良いかな」 急に浮かれた声でたたみかけてきた是枝に、今度ポカンとするのは設楽の方だった。 「え?あの、是枝さん?」 「まぁ、そうすると式は少し先になるけど、準備期間が長い方が楽しみも増えるよね。啓介、式はどこで挙げたい?やっぱり、定番なのはハワイかな」 「いやあの……斎和さん……?」 急に目を輝かせ、とんでもない発言をする是枝...
真昼の月 | 2019.05.29 Wed 08:02
「ごめん、設楽君。ごめん、慎也」 うっすらと涙の浮かんだ瞳はしっかりと設楽を捉え、それから大竹に向かった。 「どう謝っても、俺のしたことは消えないけど、でも、謝らせて欲しいんだ。本当に、申し訳ないことをして、ごめん……」 宮嶋の震える頬を見て、設楽はそのまま視線を大竹に移し、それからもう1度宮嶋を見た。 「……俺は一生、あのことは許せないし、許さない」 「っ!」 設楽の固い声に、宮嶋の肩がビクリと震えた。 だって、アレは慎也の人間性を踏...
真昼の月 | 2019.05.28 Tue 08:03
「慎也君が智一君のご両親にご挨拶に伺うと言っていただろう?それに刺激された……という訳ではないんだけど、僕たちも式を挙げようかと思っているんだ」 「え?」 その台詞に誰より驚いた顔をしたのは、宮嶋だった。 式?式だって?確かにさっき結婚しようとは言われたけれど、でも式なんて聞いてないぞ……? 「ちょ…待って下さい、斎和さん。そんな事、さっき言わなかったじゃないですか」 「でも結婚しようって言っただろう?海外で小さな式を挙げようか。2人だけでも良いんだ...
真昼の月 | 2019.05.27 Mon 08:01
◇◇◇ ◇◇◇ 2人で絡まり合うように横になって、大竹と設楽は名前のつけられない気持ちに充たされていた。気持ちを重ねた幸福感。今ここにお互いがいるという充足感。初めて洞窟から出てきた後のような、眩しさも感じる。 だが、きゅうと小さな音が鳴って、その空気がどこかにするすると逃げてしまう。2人はそっと目を見合わせた。 「ごめん、おなか減った」 可愛らしく設楽が首を竦めると、大竹は笑い出しそうに目を細めた。 「朝も昼も食ってないもんな。下行くか?」 設楽はその提案に一瞬だけ考えるよ...
真昼の月 | 2019.05.26 Sun 08:06
慎也が好きだった。好きで、好きで、好きで、でも、慎也に嫌われたくなくて。親にも愛されなかった自分が誰かに愛される筈なんかなくて、もしも慎也に好きだと言ったら慎也も俺から離れてしまうと思っていた。もしも慎也に拒絶されたら、今度こそ自分は生きていられない。そう思った。 それでも、傍にいたかった。慎也の傍にいたかった。だって、慎也は初めて自分でも人を好きになれると教えてくれた人だから。 そうしてその執着や独占欲がこじれてこじれて、彼を────『慎也』を奪われたと思った。 ただの恋ならば、...
真昼の月 | 2019.05.25 Sat 08:16
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