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艦長室に集まった戦闘幹部達を見回して、イグニスは厳かに言った。 「今すぐ俺が王城に行って、状況を説明し、聖騎士団に救援を頼んでくる。責任は俺が持つ!」 「で、ですが、艦長が今この状況で艦を空けるのは……」 「そうですよ! それに提督が否決した物を、艦長が勝手な行動に出れば、軍律違反となって処罰される可能性があります!!」 幹部達はイグニスを止めにかかったが、イグニスの意志は固かった。 「そんなことを言っている場合か! 魔獣を見た...
真昼の月 | 2026.08.23 Sun 19:50
◇◇◇ ◇◇◇ その報告は突然だった。 第四艦隊所属エルランディア号からの緊急砲と伝言鳥による救援要請。 緊急砲は青、黒、赤。未確認生物発見、敵攻撃あり、至急援軍求む。 伝言鳥に結ばれた手紙の内容は“体長10mを超える蛸状の生物に襲われている。腕は20本以上あり、細い触手状の腕がさらにある。イカの触腕状の物が5対。粘液を吐き出すが、金属が粘液に触れると即座に霧散す。至急応援頼む” 最初、その救援要請が来たとき、あまりにもでかい蛸に遭遇して、艦内が浮き足立っている...
真昼の月 | 2026.08.09 Sun 19:45
「だって兄上、こんなすごい物があるなんて御前会議で報告したら、これ、すぐに取り上げられちゃいますよ? 第四艦隊に配備されるの、ずっと先のことになりますよ?」 敵の砲弾を回避できる魔石。こんな物があれば、まず配備されるのはもちろん王城と王都の城壁。次に国境近辺の重要拠点に据えられるだろう。海軍に回ってくるのはずっと後だ。 そして、もし海軍に配備されるとしても、その順番は必ず第一艦隊からだ。たった今、王太子であるエマシアスも言ったではないか。『何故、第四艦隊から?』、と。 第一艦隊の総...
真昼の月 | 2026.08.02 Sun 12:17
◇◇◇ ◇◇◇ 「ユアンシェン、海軍からの報告を聞いた。お前の意見を聞きたい」 海軍元帥である第二王子ユアンシェンの元に、陸軍元帥である王太子、エマスアスが訪ねてきたのは、昼食を終えてこれから執務を始めようという時だった。訪問の予告もなしに現れた兄は、普段はそんな無作法をする男ではない。余程のことかとユアンシェンはその場にいた幕僚達を全て退室させた。 「それで兄上、どうしたのですか?」 そんな無作法にも関わらず、のんきな顔で立ち上がるユアンシェンに、エマシアスはピンときた。 ...
真昼の月 | 2026.07.26 Sun 20:06
◇◇◇ ◇◇◇ ヒューイは一人、備品庫に向かっていた。先ほどウォースの軍艦が境界水域に姿を見せ、こちらを挑発してきたが、何事もなくやり過ごし、少しだけほっとした。そろそろ次の補給船が来る頃で、どうせウォースとやり合うのなら、補給が終わってからの方が良い。 「まぁ、そんなこと言ってたって、あっちが来ちゃえば戦うしかないけどな……」 弾薬や帆、ロープなどは専用の保管庫で管理されているが、モップだとかバケツだとか盥だとかというよう...
真昼の月 | 2026.07.19 Sun 19:54
「でもあいつはガキのくせに体使ってのし上がろうなんて、根性のくそ曲がったガキ何だぞ! だいたい艦長も艦長だよ。あんなガキ相手にさぁ。変態かよ!」 ダリルの強い口調に、男達は逆に嘲るような表情を浮かべた。 「は? なに? ダリル、艦長のオンナになりたかったの?」 「な!?」 俺が、艦長のオンナに!? 見当違いにもほどがあるだろう!? ダリルが口元を震わせると、男達は余計に面白がって囃し立てる。 「ああ、自分が選ばれなかったから怒ってるんだ?」 「艦長がヒューイを好きになったのは、...
真昼の月 | 2026.07.12 Sun 19:21
こんな場で、お前らそんな話をよくも本人の前でするな!? っていうか、ここにお前らの可愛いヒューイもおりますが!? お前ら言いたい放題かよ!! 可哀想に、イグニスの隣でヒューイも小さくなってるだろ!? だがもちろん、奴らはそんなこと気にしない。長い付き合いで、板の上で苦楽を共にしてきた仲なのだ。階級にも身分にも開きはあるけど、オーリュメール号の戦闘幹部達は家族も同然。 そうして家族だと見た時に、イグニスは決して家長ではないのだ。 そう、家長はもちろんデーリッヒ副艦長だ。仕事となれ...
真昼の月 | 2026.07.05 Sun 20:02
◇◇◇ ◇◇◇ 艦長とその従卒が付き合っているのではないか。その噂が艦内を巡って久しい。 決して表立ってその様子を見せないようにとヒューイから言われ、イグニスも大分顔を繕ってはいるが、その甘々な雰囲気はじわりじわりと当たりに漂っているし、一度立った噂は元には戻らない。ましてや恋バナである。男ばかりの艦内ではあるが……いや、男ばかりの艦内であるからこそ、その手の話は根強いのだ。 それが面白くないのは、もちろんダリルである。だが、ダリルが周りの...
真昼の月 | 2026.07.05 Sun 20:02
◇◇◇ ◇◇◇ 別に誰かが言い出した訳でもないけれど、ボルドー艦長とその従卒が付き合い始めたんじゃないかという噂は、あっという魔にオーリュメール号を駆け巡った。 まぁ、それはそうだろう。ヒューイは今まで通りの態度を見せているが、そのヒューイを見る艦長の様子が明らかにおかしいのだから。 いや、もちろん艦橋にいる艦長はいつも通り凜々しくてかっこいい。おかしなところなんてなさそうに見える。 でもダメだ。例えばヒューイと一緒に歩い...
真昼の月 | 2026.06.28 Sun 18:30
こんな場で、お前らそんな話をよくも本人の前でするな!? っていうか、ここにお前らの可愛いヒューイもおりますが!? お前ら言いたい放題かよ!! 可哀想に、イグニスの隣でヒューイも小さくなってるだろ!? だがもちろん、奴らはそんなこと気にしない。長い付き合いで、板の上で苦楽を共にしてきた仲なのだ。階級にも身分にも開きはあるけど、オーリュメール号の戦闘幹部達は家族も同然。 そうして家族だと見た時に、イグニスは決して家長ではないのだ。 そう、家長はもちろんデーリッヒ副艦長だ。仕事となれ...
真昼の月 | 2026.06.28 Sun 18:30
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