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そりゃ設楽と自分では立場が違うが、特に食べるものでこういう風に差をつけられると、何となく面白くない。 俺だって慎也の食の好みくらい把握してるんだけどな、と、対抗意識が首をもたげ……この感覚には覚えがあると気づいた。何だろう。自分は昔、この気持ちを味わったことがある。そう、もっとずっと、幼い頃に……。 それがいつのことで、この感覚がなんなのか確認しようとしていると、設楽の声がかかって、宮嶋は現実に引き戻された。 「そういえば、明日は何をするんですか?」 ...
真昼の月 | 2019.04.17 Wed 08:04
「じゃあ、帰りは俺が運転する」 啓介が意を決したように言うと、大竹が「え?」と片眉を上げた。 「今日は慎也がずっと運転してるから、帰りくらい俺が運転する。……この山道の運転にも、馴れておいた方が良いだろうし」 言い訳のように付け足すと、大竹は「へぇ」と口元を緩めた。 「是枝さん、聞きましたか?啓介もずいぶん前向きになってきたみたいですよ?」 「そうだね、嬉しいよ」 2人が納得したようにそう言うと、宮嶋は「そうじゃない!」と噛みついてくる。 「でも、帰りは...
真昼の月 | 2019.04.16 Tue 08:07
「これ使えるかなぁ!せっかくだからピザ焼こうよ!」 「今からか〜?」 のそのそとTシャツの上に半袖のシャツ引っかけて、1階に降りる。庭には是枝もいて、2人であちこちチェックしていたらしい。 宮嶋はリビングで、手持ち無沙汰にソファに座って雑誌を捲っていた。 「慎也、何か飲む?」 「ああ、4人分、庭に持ってきてくれ」 「……了解」 宮嶋の返事を聞いてから庭に降りる。宮嶋の複雑な顔には、敢えて気づかないふりをしておく。 大竹が庭に出ると、設楽が上気した顔で近づいてきた...
真昼の月 | 2019.04.15 Mon 08:01
……自分でも分かっている。ありもしない仮定をこじつけて、いつまでも自分でごねているなんて、非生産的で愚かしいことだ。それでも、宮嶋は同じ事を何度でも考え続けてしまうのだ。 是枝が、太い溜息をつく。その溜息に非難めいた物を感じて、宮嶋の体がビクリと震えた。 「啓介。君の中の複雑な想いを、私も少しは分かっているつもりだ。だが、君だって、きちんと気持ちの整理がついていないんじゃないのかい?」 是枝の言葉に、宮嶋は何か言い返そうとして……それに言い返すべき言葉を持...
真昼の月 | 2019.04.15 Mon 08:00
……自分でも分かっている。ありもしない仮定をこじつけて、いつまでも自分でごねているなんて、非生産的で愚かしいことだ。それでも、宮嶋は同じ事を何度でも考え続けてしまうのだ。 是枝が、太い溜息をつく。その溜息に非難めいた物を感じて、宮嶋の体がビクリと震えた。 「啓介。君の中の複雑な想いを、私も少しは分かっているつもりだ。だが、君だって、きちんと気持ちの整理がついていないんじゃないのかい?」 是枝の言葉に、宮嶋は何か言い返そうとして……それに言い返すべき言葉を持...
真昼の月 | 2019.04.14 Sun 08:04
「俺は別に、別荘を買っちゃダメだって言ってる訳じゃないんだぞ?買いたきゃ買えばいいさ。そんなの斎和さんの自由だし。でも、それは斎和さんの買い物であって、俺を関わらせるなって言ってるんだよ。勝手に買って、勝手に使えば良いんだよ。そんな金持ち臭いもの」 「……買っても使わなきゃ余計に勿体ないだろ」 呆れたように大竹が返すと、宮嶋はグッと詰まり、是枝は「そうだろう!?」と身を乗り出した。 「いや!俺が行かなくたって、斎和さんは勝手に使うだろ?別荘を欲しいのは斎和さんなんだから!」 ...
真昼の月 | 2019.04.13 Sat 08:08
◇◇◇ ◇◇◇ 部屋に入ると、大竹はもう窓を開けて部屋に風を入れていた。ベッドはセミダブルが2台で、「何の嫌がらせだよ!」と設楽は余計に眉を顰めた。 「いや、これであからさまにダブルでも気まずいだろ」 「も〜!」 設楽はボスンとベッドに座って、そのままこてんと横になった。大竹は設楽の隣りに座ると、設楽の頭をクシャクシャに混ぜ返す。 「ま、俺も去年はあいつらとお泊まり頑張ったんだから、設楽君もガンバッテ」 「……心がこもってない……」 「じゃあ、思い知れ?」 ...
真昼の月 | 2019.04.13 Sat 08:01
ここは「結晶」シリーズ「赤く光る海」の目次です。 結晶シリーズ目次はこちらになります。 ※ 章立てはしていませんが、大体の目安にサブタイトルをつけています。それから、話の切れ目がページの途中に来ているときもありますので、ご了承下さい。 ※ 名簿を作りました。良かったら参考にしてください。 「赤く光る海」 夏休み直前、是枝に「河津の別荘を見に行かないか?」と誘われた設楽と大竹と宮嶋。設楽と宮嶋は断固反対するが、大竹は気乗りのようで……...
真昼の月 | 2019.04.13 Sat 03:11
「いや、設楽君。去年慎也が座った針のムシロに、君まで座ることはないよ?無理矢理行きたくもない旅行に連れて行かれて貴重な夏休みを無駄にすることはないんだから、断って良いんだよ?むしろ、断らせてあげるのが普通だからね?」 宮嶋が半分本気で、半分は自分のために、そうしてちくりと皮肉も混ぜ込んで言えば、是枝と大竹は全く耳に入っていないような顔をする。 設楽は設楽で苦虫を噛みまくったような顔だ。 くそう。確かに去年のがやり過ぎだったのは認めるけど、でもこんな風に仕返ししなくても良いじゃないか...
真昼の月 | 2019.04.13 Sat 03:11
「いや、設楽君。去年慎也が座った針のムシロに、君まで座ることはないよ?無理矢理行きたくもない旅行に連れて行かれて貴重な夏休みを無駄にすることはないんだから、断って良いんだよ?むしろ、断らせてあげるのが普通だからね?」 宮嶋が半分本気で、半分は自分のために、そうしてちくりと皮肉も混ぜ込んで言えば、是枝と大竹は全く耳に入っていないような顔をする。 設楽は設楽で苦虫を噛みまくったような顔だ。 くそう。確かに去年のがやり過ぎだったのは認めるけど、でもこんな風に仕返ししなくても良いじゃないか...
真昼の月 | 2019.04.12 Fri 08:34
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