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JUNE/BL/ML

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JUNE/BL/MLなど言われる、男×男などの同性愛要素を含む創作小説テーマです。
※ R-18作品には必ず分かるように明記しましょう。
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きれい。[2]

     放課後、剛毅は図書館に向かって走っていた。図書委員は昼休みと放課後5時まで交代で、カウンター業務と図書の整理を行う。昼休みは一人勤務だが、放課後は二人一組だった。日直と重なったせいで、時間に遅れてしまっていた。  白いペンキがひび割れて、ところどころ浮いていたり、かなりのボロではあるが造りはしっかりした木造の重厚な扉を開けて中に入ると、カウンターの中から隣のクラスの図書委員、迫田辰巳が身を乗り出して大声を出す。  「おっせーよ。熊崎!」  人影まばらとはいえ、図書館中...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.26 Fri 16:36

きれい。[1]

 月曜日。今日は図書当番の日だ。  熊崎剛毅は、4時限の終業のチャイムとともに教室を飛び出した。剛毅の昼食はいつもパンで、毎日購買部へ買いに行く。早くいかないと、混み合って遅くなってしまうから、悠長には構えていられない。図書当番のときはお昼の開室時間までに食べ終わらないといけないから。  剛毅は急いで購買に駆け込むと、玉子サンドとカレーパン、あんドーナッツという三大人気商品とコーヒー牛乳を素早く選び取る。おばちゃんにお金を払って振り向くともう長蛇の列だった。  欲しかったパンを全部買えて、...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.25 Thu 16:16

君の名前

   君の名前の形に、唇が動く。  君の顔も、しぐさも、肌のぬくもりも、もう思い出すことをやめた。  それなのに、ふとしたなんでもない瞬間に、無意識に唇が形づくる、君の、名前――。      「航平?」  瑞穂が不思議そうに、航平の顔を覗き込む。  何度も呼ばれていたのだろうか。ぼんやりしていた航平が、我に帰る。  「あ…、ごめん。何」  「疲れた? 運転代わろうか」  瑞穂を車で東京に送っていく途中の、山間の小さなパーキングエリア。高速道路と反対側のフェンスに、持...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.24 Wed 17:58

fragile[16]完結

   次の日の朝、美果と別れ、瑞穂は一人でホテルを出た。  タクシーで海沿いの道を走る。変わらない、あのとき二人で見た風景。窓の外、どこまでも続く海を、瑞穂はひとり、ただぼんやりと眺めていた。  妹は、彼に会えという。会って気持ちを伝えろと。――でも、瑞穂には彼に伝えるべき言葉が見つからなかった。今、彼に会って、何を言えばいいのだろう。会いたいという気持ちよりも、怖いと思う気持ちの方が強かった。  彼と過ごしたのは、ほんの3、4ヶ月のことで、会わずに過ごした日々は、もう10年以上になる。彼...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.23 Tue 10:26

fragile[15]

   「瑞穂さん、ちょっといいかしら」  学会に出掛ける前夜、自室で明日の用意をしていた瑞穂の部屋に、珍しく華名子が訪れた。  「どうぞ」  瑞穂は、何事だろうと不思議に思いながら母を招きいれる。  「なんだか、瑞穂さんのお部屋に入るのも久しぶりね」  そう言いながら、にこにこと部屋の中を見回す。子供の頃からずっと使っている東南の角にある小さな洋室。もともとシンプルで飾り気のない部屋だったが、細々としたものはクローゼットの中に仕舞われ、ベッドと机とパソコン、本棚があるだけの殺風景な部...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.22 Mon 12:03

fragile[14]

   七里ヶ浜。こんな季節に来るのは初めてだった。昔見た、夏の海とは全然違う。  「おにいちゃん、そろそろ帰ろ! 寒くなってきちゃった」  ぼんやり海を眺めていた瑞穂に、寒そうに肩を竦めた美果が声をかける。誰もいない真冬の海。ロマンチックではあるが、見ているだけでも寒々しく、風も強かった。  「…ん、そうだな」  コートを車に置いたままで美果よりも薄着だった瑞穂だが、言われてやっと自分の身体が冷え切っていることに気付く。  「こっからは、私が運転するね〜」  車に向かいなが...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.21 Sun 14:38

fragile[13]

   「どうしたんだね、これは」  往診に来た岡田は、瑞穂の傷口を見て顔をしかめる。  「ちょっと…、階段から落ちそうになって、反射的に手すりを掴んじゃったんです」  適当な言い訳で言葉を濁す瑞穂に、華名子の主治医である岡田がため息を吐く。  「今日は、抜糸をしようと思ってたんだが…。次回だな、これでは」  傷口が開くところまでいっていないが、傷の一部が赤く腫れて血の滲んだ痕がかさぶたになっている。岡田は消毒をして薬を塗ると、手早く新しい包帯を巻きつける。  「三日後にま...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.20 Sat 15:58

fragile[12]

   瑞穂は、庭に面したリビングの扉を、音をたてないように気をつけて、そっと開く。パジャマ姿のまま、庭用のサンダル穿きでポーチを抜けて西側へ降りてゆくと、庭で放し飼いにされているアラシとハヤテが、何事かと寄ってくる。  「静かにね。なんでもないから、吠えちゃダメだよ…」  瑞穂は唇の前で人差し指を立てて、小声で彼らに囁いた。侵入者には、大きく吠えて威嚇しろと躾けられている彼らだが、瑞穂には従順でよく懐いている。彼らは尻尾を振って大人しく、瑞穂の後に従ってついてきた。  点在する...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.19 Fri 10:27

fragile[11]

   「瑞穂さん!」  家に着くと、華名子が待ちかねたように瑞穂に駆け寄ってきた。  白い包帯に包まれた瑞穂の左手の痛々しさに、母の顔が泣き出しそうに歪む。  「おかあさん…。ごめんなさい、心配掛けて」  目を伏せて、呟くように言った瑞穂を華名子は思わず抱き寄せていた。  自分より背の低い母に抱き寄せられ、こんな風に母に抱きしめられるのは、何年振りだろう。と、瑞穂はぼんやり考えていた。命に関わる怪我ではないけれど、一生残るであろう大きな傷に、心を痛めている母の気持ちが伝わってく...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.18 Thu 12:21

fragile[10]

     脈打つ度に疼く左手の痛み。熱を持って何倍にも腫れ上がっているような感覚に、目を覚ました瑞穂は、ぼんやりと左手の方に視線を巡らす。  白い包帯に固く覆われた左手。無意識に動かそうとして、激しい痛みが走った。思わず声が漏れる。  「瑞穂! 動かしちゃだめだ」  すぐそばに、覗き込む伊豆の顔があった。  「航平…、ここ…」  言いながら周りを見渡して、気付く。ここは病院で、どうやら自分は病室のベッドに横たわっているらしい。伊豆のナイフが左手を切り裂いて――、そのあ...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.07.17 Wed 11:38

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