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JUNE/BL/ML

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JUNE/BL/MLなど言われる、男×男などの同性愛要素を含む創作小説テーマです。
※ R-18作品には必ず分かるように明記しましょう。
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光のさす方へ 145

 ◇◇◇ ◇◇◇  結局、ヒロは担ぎ込まれてから5日後に退院して自宅に戻った。どうやら重田の言うことを桐生はすんなりと受け入れたらしい。3日でも大丈夫だったんじゃないかとちらっと思ったが、自分を心配してくれてるであろう桐生に、そんな事を言う訳にもいくまい。  自分の部屋に戻ると、タカシは心配しすぎたせいか、ヒロの顔を見て安心したせいか、涙でぐしゃぐしゃになった顔で「お帰りなさい、あにきぃいぃ」と泣きじゃくった。  しっかりしているように見えて、こいつはこないだまで中坊だったのだ。 「心配か...

真昼の月 | 2018.12.24 Mon 08:07

光のさす方へ 144

「できるなら、真っ当な道に戻してやりたいと思ってたこともあった。うちの力を使えば、モーターレースの世界に戻してやることもできるんじゃねぇかと伝手(つて)を探してみたりな。だが、お前はまだ危なっかしいからもう少ししっかりしてからなんて自分で自分に言い訳してる内に、状況がどんどん動いて、お前がオヤジの盃をもらうことになって……」  どこかやるせない顔でそんなことを言う桐生に、ヒロが不安そうな顔をする。まるでこのまま捨てられてしまうのかと心配する仔犬のようだ。  そんなヒロに、桐...

真昼の月 | 2018.12.23 Sun 08:05

光のさす方へ 143

「兄貴には、他に大事な人がいるんだって分かってます。それでも俺は」 「待て。何だそれは」  ほろりと浮き上がってきた涙を見つめ、桐生が顔を歪め、慌ててヒロの言葉を遮った。 「ちょっと待て。話が変わってきたぞ。好きな奴?俺にか?」 「え……違うんですか?」 「誰だそりゃ。他に好きな奴?俺はそんな奴見たことも聞いたこともねぇぞ」 「だ……だって、俺のこと、さくらって……。俺にだって駈としか呼ばせないし……」 「そりゃお前が駈以外の奴に抱かれ...

真昼の月 | 2018.12.22 Sat 08:05

ロミオとジュリエット 24

                     登場人物プロフィールはこちら                      主人公東郷の邸宅 私は、結に予告した通り、自分はバイセクシャルであり、バレエダンサー道ノ瀬結と交際していることを認めた。 ブラオミュンヘンの、ファンへのお知らせSNSでのことである。 監督である私がサッカー話題を好きにつぶやく、公式SNSほどの重要性はないSNSでである。 さらりと書いたつもりが、あっという間に、100万もRTされた。 覚悟していた通り、世間は蜂の巣をつついた...

大人のためのBL物語 | 2018.12.21 Fri 13:49

光のさす方へ 142

「遊びなら、お前に手を出すな、だとよ」 「遊び……?」  ヒロの顔色が一瞬赤くなり、それからさぁっと青くなる。 「あのバカ……!すいません、兄貴!」  慌てて謝るヒロに、桐生はもう1つ追加する。 「それから、こうも言われた。お前はあの子の呪いで駈を好きだと思い込んでいるんだそうだ」 「え……」  その言葉に、ヒロは何か思い当たったのだろう。一瞬視線を彷徨わせてから俯こうとした。  だが、後頭部を掴む桐生の手が、それを許さない。 「……...

真昼の月 | 2018.12.21 Fri 08:02

光のさす方へ 141

「ふふ…、兄貴さん、面白い方なんですね」 「あんた程じゃねぇよ」  呪いだの何だの、何の冗談だっつーのと笑い飛ばしてやると、風子は微笑みながら、喉を詰まらせるようにして頬を震わせた。 「う…ううっ」  バックミラーには風子のつむじが映っている。  顔を伏せ、口元を覆い、風子は泣き続けた。  細く華奢な肩。あの小さな体で、この子はどれだけの物を抱えてきたのだろうか。  実の兄を愛してしまったばかりに、自分の心に夜叉を住まわせてしまった女。        夜叉か。そ...

真昼の月 | 2018.12.20 Thu 08:01

光のさす方へ 140

 ◇◇◇ ◇◇◇ 「あの時、私は正気を無くして……、自分で自分のことを刺そうとしたみたいなんです。もちろん、ヒロちゃんが止めてくれたんですけど……。ヒロちゃんはそんな私を見て、分かったって。分かった、俺達は運命共同体だって。お前の運命を俺が引き受けるから。俺も駈が好きだから、駈を必ず繋ぎ止めるからって」  風子の目にはみるみる涙が浮かんできた。  駈とヒロは、本当に仲の良い親友だった。子供の頃、いつも風子はそんな二人を夫婦のようだとからかった。駈とヒロがお父さんとお...

真昼の月 | 2018.12.19 Wed 08:02

光のさす方へ 139

「やめろ、風子。大丈夫だ!大丈夫だから……!」 「ダメだよ!だって、このままだと駈ちゃんをあの女に取られちゃうんだよ!どうして!?どうして私じゃダメなの!?私の方が駈ちゃんを好きだわ!!私の方が駈ちゃんを愛してるのに!それなのに、どうして!?兄妹だから?だったらこんな血、いらないのに……!!」  ナイフを握る風子の腕を、ヒロは握って離さなかった。 「落ち着け!落ち着いてくれ、風子!」 「あんな女……!あんな女なんか……!そうよ、あんな、あ...

真昼の月 | 2018.12.18 Tue 08:03

光のさす方へ 138

 兄は、本当に愛する人の替わりにあの女を抱く。  誰でも良いのだ。ただ、女であるなら。  ヒロの目につく場所で、ヒロに分かりやすいように、ヒロへの気持ちを吐き出させてくれる、都合の良い女。それでも、決してそれに気づかない、バカな女。  何故、その女なのだ。何故、私ではないのだ。私が妹だからか。私があなたと同じ血を持って生まれてきたからか。  あなたは自分の気持ちを隠すことに必死で、決して私の気持ちには気づかない。  どうして?  どうして?  あなたが生まれた時から、あなたは私の...

真昼の月 | 2018.12.17 Mon 08:01

光のさす方へ 137

 ◇◇◇ ◇◇◇  子供の頃から、風子の世界は兄で占められていた。  旧態依然とした両親や親戚。会社の社長やその周囲の大人達。  時が止まったような世界の中で、兄だけが明るい光だった。  兄と、サーキットで会う兄の親友。この二人と一緒にいる時だけが、幸せだと感じられる時間だった。  家に戻れば、母や祖母は風子に旧家の女としての役割を押しつけてくる。学校に行っても、小さな田舎のことだ、周りにいる連中は父の勤める会社関係の子弟が多く、小さな社会の人間関係に、風子は押し潰されそうだった。  そ...

真昼の月 | 2018.12.16 Sun 08:02

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