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視線の先で、銃口が自分に向かっていた。 「……時村さん、チャカをぶっ放すには、上の許可がいるって、最初に言われませんでしたか?こんなことして……破門されますよ?」 「はっ!お前ら二人の口を封じりゃ無かったことになんだろ!」 ヒロは時村の目をまっすぐに見つめた。時村も、ヒロをまっすぐに見つめ返す。 その時村の顔が、不意に歪んだ。 「……ヒロ、お前が悪いんだぜ。お前は俺の下にいりゃ良かったんだよ!」 時村の叫び声を聞いても、ヒロの顔色は変わら...
真昼の月 | 2018.12.03 Mon 08:07
◇◇◇ ◇◇◇ 窓の下に草が生えていたのは幸いだった。コンクリートやアスファルトとは違って、足にかかる負担はずっと少ない。 ヒロは着地の時に膝をついたが、すぐに立ち上がって、風子を助け起こした。 「大丈夫か?」 「大丈夫。それより、早く逃げないと」 「ああ」 子供の頃、鬼ごっこでも隠れん坊でも、一番得意だったのは風子だった。ヒロや駈についていきたくて、男の遊びも率先してやってきた風子は、そこらの女と同じに考えて良い相手ではない。 料理屋の中からドタバタと騒がしい音がする。店の人...
真昼の月 | 2018.12.02 Sun 08:03
登場人物プロフィールはこちら 主人公東郷の邸宅 その日、私は、ブラオミュンヘン会長のシュタイナーの執務室にいた。 W杯優勝4回のドイツの輝かしいサッカーの歴史の中で、初めての日本人監督を誕生させたのが彼だ。 初めての日本人監督、それが私だ。 シュタイナー氏は、私にとっては、代わるものがないほどの大変な恩人である。 「辞任の話をしに来たのか。」シュタイナー会長は...
大人のためのBL物語 | 2018.12.02 Sun 07:22
「生意気なんだよ!溝口の時に、さっさとしっぽ巻いて逃げると思ったのに!それがなんだよ!本家のガキ味方につけて……!」 「溝口……どうしてそれを……!?」 あの時。溝口に襲われたヒロを助けたのはオヤジだ。その場にいた金町と桐生には事情は通っているし、毎日見舞いに来てくれていた衛も大体の事は知っているようだが、本家の幹部ですら、このことを知らない者もいる。それほどきっちりと、箝口令が敷かれているのに。 目を見開いたヒロの顔を見て、時村が嘲るように笑った...
真昼の月 | 2018.12.01 Sat 08:02
ヒロが時村を真正面から見つめた。今迄の、どこか時村に遠慮したような顔ではない。それは、栄次や衛の護衛をこなす、武闘派の顔だ。 「どこからって、お前、ずっとタカシと一緒にバイクや車の持ち主当たってたんだろ?でもよ、盗難車だろ?その持ち主当たっても、仕方ないんじゃねぇの?」 「いえ。襲撃に使われた車輌のうち、7台について今調べていますが、その中の所有者5人は同じバーの常連です。金に困っていて、仕事を探していた。俺は5人のうち4人の顔に見覚えがあります。1人はフルフェイスを被ってたので顔ははっ...
真昼の月 | 2018.11.30 Fri 08:05
◇◇◇ ◇◇◇ 風子に話をつけ、その日のうちに時村に風子を会わせることにした。 「だったら良い店予約しなくちゃ!」と張り切った時村が用意した店は、広い庭を持った料理屋のの2階の座敷だった。 酒の席だからと、タカシは事務所に置いてきた。この広い部屋に、時村とヒロと風子、3人で席に着いている。 風子は緊張した面持ちで、時村にきちんと頭を下げた。 「奥園風子です。時村さんはヒロちゃん……いえ、桜沢の兄貴さんってお聞きしています。不束者ですが、桜沢共々、今後と...
真昼の月 | 2018.11.29 Thu 08:01
ここは「ここが世界の果てだとしても」シリーズ、「光のさす方へ」の目次です。 「ここが世界の……」シリーズ目次はこちらになります。 ※(R)がついているページは、R指定、(※)が就いているページは暴力シーンの含まれるページです。 一応このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方、生理的に受け付けない方が間違えて読まないように、印を付けておきました。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけお読み下さい。 ※ 章立てはしていませんが、大体の目安にサ...
真昼の月 | 2018.11.28 Wed 12:28
◇◇◇ ◇◇◇ 先日、時村は自分の女性関係を散々笑いものにされたにも関わらず、相変わらず風子のことにもご執心のようだった。 「ヒロ、お前の可愛い風子ちゃんをさ、早く俺にも紹介しろよ」 今日もヒロが射撃場で銃の手入れをしていると、時村がわざわざ顔を出し、ヒロを見つけてはしゃぎだした。 時村はヒロの苛ついた顔などにはまったく頓着せずに、いまだにこうして風子に会わせろと言ってくるのだ。 「時村さん、何でそんなに風子に会いたいんすか」 「だって、お前の嫁だろ?ちゃんと兄貴分の俺に紹介する...
真昼の月 | 2018.11.28 Wed 12:27
別に女に潔癖、というわけではないが、あんな話を聞いた後でこんな話をされるのはとにかく不快だ。その気になれば、一瞬で時村のことを床に這わせることができるヒロだ。不意にその誘惑に駆られたが、確かに時村には世話になっているし、時村が自分を弟分として可愛がってくれているのも本当だ。 ……今迄、時村に対してこんな風に思うことはなかった。時村は風子のことさえなければ、良い兄貴分だと思っている。だが、風子が絡むと、この男は途端にしつこくなるのだ。 「なぁ、一度会わせろよ。そんで、もし俺...
真昼の月 | 2018.11.28 Wed 08:06
登場人物プロフィールはこちら 主人公東郷の邸宅 週刊Bezで、私が載った号が、わざわざ日本から国際航空便で送られて来た。 差出人は、週刊Bezの諸橋幸司。 謹呈のシールが貼られている。 結の所にも送ったのか。 結に電話をしたら、留守電になっている。舞台かもしくはリハ中か。 マネージャー楠本氏のナンバーを押す。 「楠本です。監督ですか!」 「この度は、週刊誌の件で、ご面倒をおかけし誠に申し訳なく思ってお...
大人のためのBL物語 | 2018.11.27 Tue 10:20
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