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JUGEMテーマ:ショート・ショート 七柱の高い塔に取り囲まれた街だった。七柱の神が守護する街でも会った。それぞれの塔は地上からの高さと同じだけ地下にも伸びていて、だから七柱のデーモンが守護する街でもあった。どうしてあたしはそんなことを知っているのだろう。きっと誰かから聞いたのだ。誰からだったかしら。ああ、多分ロボットの誰かだ。この街には、たくさんのロボットが住んでいる。この街は彼らのための街なのだ。とても手が長いロボットで、両手は立っていても普通に地面に届く長さをしている。それ...
pale asymmetry | 2020.02.02 Sun 21:30
JUGEMテーマ:ショート・ショート 七つ年下の妹は、宝石だった。宝石だったから、常に彼女の枕元には宝石箱が置かれていた。その箱はもともとオルゴールだったけれど、今はその能力を失っている。トレードオフで、宝石箱の機能を手に入れたのだ。その宝石箱を置いたのは、誰だったかしら。母だったかしら、それとも祖母だったかしら、あるいは曾祖母だったかもしれない。祖母も曾祖母も私が生まれる前にすでにこの世界から去っているから、もし祖母か曾祖母がその箱を置いたのならば、それは私が生まれる前のことに...
pale asymmetry | 2020.02.01 Sat 20:38
『プリンセス・ティレイサ』1はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』2はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』3はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』4はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』5はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』6はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』7はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』8はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』9はこちら。 プリン...
チームSECHS! | 2020.02.01 Sat 09:42
JUGEMテーマ:ショート・ショート 七歳になったばかりの次女は、私の祖母が、つまり彼女にとっては曾祖母が残したオルゴールがお気に入りのようだ。気がつくと大抵、ベッドの上でその箱と向かい合い眺めている。蓋を開けたり閉じたりしている。何度そうしても、音楽が響くことはない。壊れていて、もう音を奏でることが出来ないオルゴールなのだ。それでも、彼女は愉しそうに眺めている。そして時々踊り出したりする。まるで透明な音楽を捉えているように。もちろん音楽は皆透明だけど、そういう意味ではない。私に...
pale asymmetry | 2020.01.31 Fri 19:26
JUGEMテーマ:ショート・ショート 自販機の下に猫が二匹並んで潜り込んでいる。一匹は黒猫、もう一匹は雉虎だ。恐る恐るといった感じで、鼻先だけを自販機の裾から突きだして、上目遣いに世界を観察している。自販機の前を人が通りすぎるたびに、その靴の動きを目で追ったりしている。相似形の振る舞いで。強い北風に揺すられる街路樹に冬の残忍さを感じながら、僕は車の運転席に座り、ぬくぬくとした場所からそれを眺めていた。自販機の下の薄闇に、そこに据え付けられた眼差しに世界が収束していく様子を。 ...
pale asymmetry | 2020.01.29 Wed 21:43
JUGEMテーマ:ショート・ショート 犬と歩いていた。あたしの犬と。中型の黒い犬、いろいろな血がミックスされた結果優しすぎる顔立ちをした犬。その顔立ちからは想像できないくらい殺傷能力の高い犬。以前に一度だけ、殺されそうになった。でもあたしも一度だけ殺しそうになったことがあるから、あたしと犬の仲は上々だと思う。 空は青く雲は適度に漂っている。絵に描きたくなるような空だけど、決して誰にも描かれることのない空だ。それくらい平凡な空だ。陽光は強そうに見えるのに、北風に薄められて地上に...
pale asymmetry | 2020.01.27 Mon 20:56
JUGEMテーマ:ショート・ショート 大型のショッピングモールなんかの広く薄暗いパーキングで、その隅の方の壁なんかによく解らない扉を見かけたりすることがある。薄汚れた壁と同じように汚れた金属の扉。壁と全く同じ色にしておいてくれれば気にならないのに、少しだけ表情が違う色彩をしていたりするのだ。もちろん意味のない扉ではないだろう。例えばスタッフ専用のエリアへの扉なのかもしれないし、あるいは単に物置の入り口なのかもしれない。電気系統の制御盤のようなものが納められているのかもしれないし、...
pale asymmetry | 2020.01.24 Fri 21:02
JUGEMテーマ:ショート・ショート 雫の音を頬に感じて目が覚めた。音を聞いたわけではなく、雫が頬に触れるのを感じたのでもない。雫が落下したときの音が、その波紋が音として、私の頬に触れたのだ。左の頬、その小さな一点が、落ちてきた雫を快く受け入れるために水面になる。頬に落ちる直前に、雫から音の波が全方向に放たれ、その音が描いた紋様が私の水面に転写される。そんなイメージを感じた。気持ち良かった。私は眠りの中層を漂いながら、気持ち良いと感じていた。感じているだけなら良かったのに、これは...
pale asymmetry | 2020.01.23 Thu 20:27
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「あなたの横顔が麒麟でも私は構わないわ」 夕食後、食器を片付けたダイニングテーブルで、僕たちは並んで座っていた。僕は文庫本を読み、彼女はタブレット端末を覗き込んでいた。と思っていたら、いつの間にか僕に目を向けていた。 「僕がキリンでも?」 僕の返答に、彼女は激しく首を振る。 「違う、違う。今、偶蹄目のキリンを想像したでしょう?」 「うん」 「そうじゃなくて、私が言ってるのは霊獣の麒麟の方よ」 「ああ、鸞と対になってるほうの麒麟...
pale asymmetry | 2020.01.22 Wed 20:48
JUGEMテーマ:ショート・ショート 最初は、ボストンの大学構内だった。三人の学生が手を繋いで輪を作り、「Here we go」の掛け声で一斉にジャンプした。ただそれだけ。それだけで終われば、何の意味もない。世界とは全く繋がりを持たない戯れ事だ。けれど彼らはそれをゲームにすることにした。そのために、彼らはルールを決めた。ルール1、メンバー全員で両手をつなぎ合わせて輪を作ること。ルール2、「Here we go」の掛け声でメンバー全員が同時に跳ぶこと。そしてルール3、メンバーは丸腰であること。彼らはこ...
pale asymmetry | 2020.01.16 Thu 21:12
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