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JUGEMテーマ:ショート・ショート 最終のバスの発車時刻になったので、僕らは歩き出した。別にその時刻に歩き始めなくても良かったのだけど、丁度その直前にコーヒーを飲み終えたので、「じゃあ発車時刻に合わせて出発してみても良いんじゃない」って相棒が言ったのでそうしたのだった。さっきまで結構強く降っていた雨があがったというのもあったから。僕らは本当はバスに乗って、大陸を東へと向かうはずだったんだ。けれどその長距離バスはステーションにやってこなかった。どうやらバスは運休になったらしい。そ...
pale asymmetry | 2020.03.02 Mon 21:17
JUGEMテーマ:ショート・ショート 大粒の雨が、真っ直ぐに降っている。水滴が妖精のように感じるほどの大粒の雨が。きっとこの妖精たちが、世界中に悪戯を仕掛けているのだろう。この頃の世界を見ていると、そう感じてしまう。厄介なのは、妖精たちは悪なのかと考えたとき、どちらかと言えば私たちの方が悪なのではないかと思えてしまうことだ。つまり私たちは罪人で、散々傷つけた者たちからしっぺ返しを喰らっているのでは、などと思えてしまったりする。そうであったとしてもなかったとしても、世界の現状に何か...
pale asymmetry | 2020.03.01 Sun 21:18
『プリンセス・ティレイサ』1はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』2はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』3はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』4はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』5はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』6はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』7はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』8はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』9はこちら。 『プリンセス・ティレイサ』10はこちら。 プリンセス・ティレイサの...
チームSECHS! | 2020.03.01 Sun 00:00
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「ハローハロー」 細いラインに僕は声を注入する。 「ハローハロー」 細いラインから、君の声が返ってくる。 「不思議な感じだね」 約二メートルの距離にある君の横顔を見つめながら、僕は言う。僕は問いかける。この感じを君と共有したくて。このラインの震えに共振したくて。そして君にも共振して欲しくて。 「不思議かしら。そうね不思議ね。でも繋がっている感じは、すごくする。いつもよりね」 君がこちらに顔を向けて笑う。口元は紙コップに隠れ...
pale asymmetry | 2020.02.29 Sat 21:26
JUGEMテーマ:ショート・ショート 叔母が旅立った。ソニドリとして。叔母はそれを願っていただろうか。おそらくそうだろう。だから彼女は満足しただろう。自身が研究してきた事象を、人生の最後に自身で体験できたのだから。もっとも、それを論文にすることは出来なかった。それについてはどうだろう。彼女はその論文を発表したかっただろうか。いや、そうは思わなかっただろう。それよりもソニドリになるというその変容そのものを、ずっと望んでいたのだから。本当にずっと願っていたのだから。 「私はね、この...
pale asymmetry | 2020.02.28 Fri 21:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート 水面から八本の杭がはみ出している。そのうちの三本に鳥がとまっていた。サギのような鳥。白でもなく黒でもなく淡い灰色の羽毛を纏っている。決して美しい色ではなかったけれど、淑やかな色気を感じる色だった。ついさっきまで霧雨が降っていたから、それを嫌って羽を休めているのだろうか。北からの風に顔を向け、寒そうな様子もなく姿勢良く留まっていた。少し距離があって、その表情は窺い知れない。先程までの雨について考えているのかもしれないし、ゆるやかに転がり吹く北風...
pale asymmetry | 2020.02.22 Sat 20:37
JUGEMテーマ:ショート・ショート 魂をより戻す行事ごとが夏に多いのは何故だろう。そこにどんな意味があるのだろう。私には解らない。夏の夜に、多くの人が魂の気配を身近に感じ取りやすいのだろうか。私にはよく解らない。私はそうは思わないから。むしろ真逆で、私は冬にこそ、それも真冬にこそ感じたりするのだ。魂の気配を、身近に。風は何もかもを切り裂くほどに鋭くて、空気は全ての色を奪い取るほどに冷えていて、そして時間が後退しながら沈んでいくように感じられる真冬に。 火を熾すのはの大変だっ...
pale asymmetry | 2020.02.18 Tue 22:09
JUGEMテーマ:ショート・ショート 『怪獣だ。街路には怪獣がのっしのっしと歩いているよ。霧雨よりは少しだけ大きな雨粒たちが、風に躍らされてウインドウの全面に張り付いているから、その姿の詳細はよく見えないな。けれど街は確実に蹂躙されている、と僕には思えてならない。コーヒーを飲みながらその光景を長閑に眺めているのは、雨も寒さも嫌いだからだ。そう、もう寒くなってきている。どんどんと寒くなっていくんだそうだ。憂鬱になるよ。けど怪獣は、僕の憂鬱を踏み潰してはくれない』 送信。 既読...
pale asymmetry | 2020.02.16 Sun 21:59
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「あっ、唇に花飾りがついてるよ」 ベッドから半覚醒を抱えたままキッチンに行くと、僕の顔を覗き込んで彼女が笑う。 「花飾り?」 彼女は僕の唇の左端を指差す。僕は指先でその辺りに触れる。少し硬い違和感があった。 「ああ、熱の花だね」 そういえば最近疲れが溜まっていたな、とか思ってみる。 「気が付かなかったけれど、熱があったのかも」 「だね。朝食は消化にいいものにしようね」 そう言いながら、彼女がダイニングテーブルにエスプレッ...
pale asymmetry | 2020.02.14 Fri 21:08
JUGEMテーマ:ショート・ショート ==オリジナルのショートストーリーを掲載しています。== 1.なんでもしてあげる 2.足の小指を打つ感じ 3.美しき人 4.暴走 5.オモいデのサクラ 6.百鬼夜行
The Blog of Azuma | 2020.02.14 Fri 10:24
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