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JUGEMテーマ:ショート・ショート クラゲのような雲が遠くに見えて、その下では激しい雨が降っているのが解った。 「あの雨、こっちに来るかな?」 ハイジがぽつりと言う。独り言みたいに言う。でも独り言じゃない。僕らは独り言なんて言わない。スマホがあるから、一人になることなんてないから。 「来るんじゃない。風がこっちに吹いてるから」 ハヤタが答える。他人事みたいに。他人事なのだろう。雨になんて興味ないだろうから。でも答えるんだ。これはコミュニケーションじゃなくて、カンバセ...
pale asymmetry | 2019.08.01 Thu 20:29
JUGEMテーマ:ショート・ショート 〈注意〉 18歳未満の方は大人の方と相談の上お読みください この物語はすべてフィクションです 日常に潜む幽かな影。 ちょっとした恐怖と大いなる幻想。 魅惑のスリラー・ストーリーに。ようこそ。 『白い指』 白い指を見詰める。美しいそれは。ゆっくりとした動作で日常を描く。 例えばとあるバーの片隅。 その白い指は、淡いブルーのカクテルグラスを傾けている。そしてときおり枝付きのレーズンを。 &nbs...
The Blog of Azuma | 2019.08.01 Thu 09:03
JUGEMテーマ:ショート・ショート 大樹の根元に、紫水晶の原石が包み込まれている。大樹の幹が紫水晶を抱き締めるように包み込んでいる。おそらく先に紫水晶の原石があり、あとからそれを抱くように大樹が成長したのだろう。どうしてそうなってしまったのだろう。大樹は愛おしそうに水晶を抱き、水晶は抱かれて心地よさそうに見えた。 「この大樹は、何という木なのかしら?」 彼女が大樹の枝葉を見上げる。枝葉は雲のように僕たちに厚く被さり、南国の鋭利な日差しを蹴散らしてくれている。 「菩提樹じ...
pale asymmetry | 2019.07.24 Wed 21:13
JUGEMテーマ:ショート・ショート 僕はでかいテレビジョンを背負っていて、彼女はそれを見つめている。 「不快だわ、すごく」 呟いて彼女は舌打ちする。 「何が?」 僕にはテレビジョンが見えないから、彼女が何に舌打ちしたのか解らない。彼女の不快の原因を、本当は知りたいと思っているわけではないけれど、尋ねなければさらに彼女は不快になるはずで、尋ねないわけにはいかなかった。 「AとBが、Cという問題で争っているわ。Cは社会的に忌むべき問題で、だからAもBもマスメディアに攻められ...
pale asymmetry | 2019.07.20 Sat 20:46
JUGEMテーマ:ショート・ショート レイトショーのムービーを見た後、川沿いの遊歩道を歩いて帰る。ひっそりと這う川沿いの、くねくねとした可愛い遊歩道を。夜は程よく湿っていて、十六夜の月が艶めかしく薄雲にしなだれている。"I love you"な夜空に思えた。 「そのナイフは世界に向けないで」 遊歩道の途中で女の子が歌っている。小さな身体で大きなアコギをガシャガシャとかき鳴らしながら。 「そのナイフは誰にも向けないで どうしても何かを切り裂きたいなら あなたの心臓に突き立てて...
pale asymmetry | 2019.07.19 Fri 20:41
すがすがしい、朝。 梅雨の季節の合間に見る、晴れ間。 少しの雲がゆっくりと空を流れている。 子供達はもう夏の装いで、外で元気に遊んでいる。 待ち合わせの時間。 ふと、1人の少年は今日の遊び相手の事を思った。 少年――聖架は、少し気が早やっている。 梅雨独特の蒸し暑さも相まって、少し顔も汗ばみ始めた。 相手はいつも学校で顔を見ている相手だ。 その子の笑顔を思うだけで、自然と胸が高鳴った。...
チームSECHS! | 2019.07.14 Sun 14:27
JUGEMテーマ:ショート・ショート 改札の向こう側で、君は小さく手を振ったね。君は笑っていたっけ。それは寂しそうな笑顔にも見えたし、愉しそうな笑顔にも見えたし、桃源郷を噛みしめているような笑顔にも見えたよ。そういう夢を見たんだ。いや、そういう記憶を浮かび上がらせる夢を見たんだ。君に何かあったかも、なんて一瞬思ったけれど、きっと気のせいだね。そんなことが伝わってくるほどに、君と僕の繋がりはもう今は確かなものではないはずだから。 この改札の記憶が時々蘇るのは、これがきっと不可思...
pale asymmetry | 2019.07.09 Tue 22:06
JUGEMテーマ:ショート・ショート 赤い山羊のアララギは、かつては神だった。神として人々に崇められていた。雲を突き抜けて聳える霊山の、岩に覆われた急斜面を苦もなく駆け降りるその姿に皆が畏怖したものだ。里に降り立つとその両前肢を地面に叩きつけ、紋様を刻むことによって神託を告げる。その神託に誰もがひれ伏したものだ。 しかしあるとき、アララギは神の座を追われた。偶像が新しい神となったからだ。その偶像を神と定める書物が成立したからだ。つまり人々は、目の前の動的な存在よりも、記述され...
pale asymmetry | 2019.07.03 Wed 21:49
JUGEMテーマ:ショート・ショート 『暴走』 PC版はこちらから 「おはよう、ミナミ。」 「おはようございます。ゴローさん。」 何時もの会話が始まる。 「今日の天気、当たるといいね。」 「そうですね。夕立はありそうですけど、全体的に晴れですね。」 「そういえば、昨日の問題解けた?」 「それがまったく。どうも過去問って苦手で・・・。」 「ゆっくりとわかってくればいいんじゃない。」 「アドバイス、有難うございます。」 「その点、ニシさん...
The Blog of Azuma | 2019.07.02 Tue 16:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「その銀色のテントウムシは、太陽を馬鹿にしたクモをどうしても許すことが出来ずに、クモの巣をめちゃめちゃにしてしまいました」 「そのクモはどうなったの?」 「別にどうもならなかったよ。銀色のテントウムシは、クモの巣はめちゃめちゃにしたけど、クモのことはめちゃめちゃにしなかったから」 「どうして? だってクモのことが許せなかったんでしょう?」 「そう、どうしても許せなかった。でもね、クモは嘘をついていなかった。だから、銀色のテントウムシはク...
pale asymmetry | 2019.06.20 Thu 20:38
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