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JUGEMテーマ:ショート・ショート 「よくさー、どんなに辛い時でもお腹は空くもんだ。なんていうけど、アタシ楽しい時もフツーの時もたいしてお腹空かないんだよね」となりでカナメちゃんがコンビニで買ったシュークリームをむしゃむしゃしながら言い放った。短い制服のスカートから覗くカナメちゃんの太ももは私の二の腕より細い。こんなに食べて私の二の腕より細いなんて、神様不公平じゃ!・・・って1日5回くらいは思ってる。ちなみに今日は3回目。「でも、あえて言う。樋口。失恋してもお腹は空くんだ。要は、生理現象をきた...
さめない紅茶 | 2013.05.29 Wed 09:41
JUGEMテーマ:ショート・ショート その人の横顔をこそこそと観察していた。読むのが早いのか、あまり厚くない文庫本だからなのか、いつも電車を降りるまでに読み終えているようだった。今日、その習慣が変化した。しおりを使っていたのだ。するっと挟んだと思ったら、隣に女の子。春は黙ってやってきていた。 空気の中に入り込むように、決してそこにあるものを傷付けないようにと彼は軽やかに舞う。こちらにとってはその様子がどれだけ苦しそうなものであっても、時折ふっと笑みをこぼしたりもする。その笑顔、ぼろぼろのジーン...
M00n-machinery | 2013.05.16 Thu 12:38
JUGEMテーマ:ショート・ショート 荷解きも終えて、ぐうたらな娘の代わりに最後の洗い物をしながら「こっちは水が冷たいわね」と母は独り言を呟いた。そうして実家を離れてから干支一回り分の時間が過ぎた。水ですすいだりなんてしない私の手は、誰かに食事を作ることもない。飾りのない手の人生は終ぞ選べなかった。 コートを着始める季節に終わったはずが、クリーニングに出す頃にはヨリが戻っていたと隣のお客さんが話している。笑っているけど、男を見る目はクリーニングに出さなくてよかったんですか? 今の季節にその厚着...
M00n-machinery | 2013.05.16 Thu 12:35
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「すき焼きでさ、卵使う?」「すき焼き食べたことない」「肉まんには辛子だろ!」「酢醤油もあるよ」君と僕は同い年で誕生日も近いのに、浸ってきた文化は不思議なくらい遠い。「焼き肉の時、ご飯頼むよね?」 「あ、頼む頼む」やっぱり君とは仲良くしていたい。 イライラしながらバスに乗る。カリカリしながら景色を睨む。角張った気持ちでエレベーターへ駆け込む。そこにふわりと残り香。知っている匂いとよく似ている。あれだけせき止めていた涙が、簡単に頬を伝い落ちていく。ごめんなさい...
M00n-machinery | 2013.05.16 Thu 12:32
JUGEMテーマ:ショート・ショート 先輩、婚活どうですか? そうねぇ、寝るだけのは何とか見つかるんだけど、コトの後に一緒に安心して眠れる相手はめったなにいないわねぇ。寝るのと眠るのは違うんですね、勉強になります! 早くお相手が見つかると良いですね! そうねぇ、でもアタシらカマキリだからねぇ。 僕は心が狭い。好きなものの話なんて、絶対に誰にもしたくない。僕は独り占めしたい。誰かと同じものを好きになって、それを通して仲良くなんてなりたくない。行くものか、君のそばなんて。話しかけるものか、君がこちら...
M00n-machinery | 2013.05.16 Thu 12:30
※更新停止しておりましたが、またまとめを再開します。 JUGEMテーマ:ショート・ショート 後をつけるのは君のことが知りたいから。跡をのこすのは君のことが好きだから。痕をつけるのは君のことを愛していたから。最期まで、僕のものにはなってくれなかったね。君の世界の全てを包んであげたのに。 いつ帰ってきたのか覚えていないくらい、昨夜は飲んでしまった。しかし珍しく二日酔いではない。むしろ体が軽い。やれやれ、もらったサプリのおかげかと後輩にお礼のメールを打った。返信がすぐに来た。「アレ、ホントに飲んん...
M00n-machinery | 2013.05.16 Thu 12:29
予定していたイベントが雨で流れた。司会進行役の私は「残念会」と銘打たれた飲み会に誘われたが、それは断った。大した理由はない。イベントは予備日が設定されているので、その日に打ち上げをやるのだから、今日は遠慮した。それだけだ。とはいえ、部屋で一人ご飯。というのも気乗りがしない。行きつけの定食屋のノレンをくぐった。いわゆる昭和の香り漂うお店とでも言えばいいのだろうか。素朴で安くてボリュームある。そんな定食屋。客の多くは男性だけれど、「最近は女の子同士のお客さんも増えたね」とは、おかみさんの言葉だ。...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.13 Mon 23:37
JUGEMテーマ:ショート・ショート窓のそとに、夜がやってきた。あたしは、椅子にすわったまま、ちいさく伸びをした。背中の筋が、感覚をぐっとつかむ。目のまえのパソコンに向けつづけた視線を、部屋の向こうへおおきく移動させ、首をぎゅるりと音が鳴るようにまわした。机のうえに置かれたホットコーヒーが、いつのまにかちゅうとはんぱな温度の珈琲に変化をしていて、なんとなくほんの少しの罪悪感におそわれる。とりあえず、そのちゅうとはんぱな珈琲に手を伸ばし、ぐいと一気に飲みほすと、意味もなく、はあ、とじぶんにきかすよう...
ちいさなおはなし | 2013.05.12 Sun 19:16
本番まで5分を切ったところで、ディレクターが下読みをしている私の元へやってきた。県警記者クラブから新しいネタで、ニュースが追加された。「何を外すの?」「そうだなぁ…何にする?」昼食のメニューを相談する…そんな軽いノリで聞いてきた。彼特有の現場を上手く回す気遣いだ。もちろん、私に決定権などは、ない。生放送と言うだけでも、毎回予定通りには事は進まない。そこに予定外のニュースが入ってきたのだ。伝え方、聞き方…その言葉尻一つで、反感が生まれもするし、混乱も生まれる。スキルもあればプライドもある。ここにい...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.10 Fri 22:03
休憩室で煙草を吸い終えた時、声をかけられた。それを発した人物は…確か…田島…木島…島田…島村…見覚えはあるが、名前はわからない。「坂口君だね」「はい」「君の実家、地主さんだそうだね」その名前もはっきり知らない男の声に、彼は身を硬くした。なぜ、バレたんだ―それだけが、頭をぐるぐる、ぐるぐると駆け巡ったが、そんなことは考えても答えは見つからない。それに、目の前の男にとっては全く関係のないことだった。「実は少し、頼みごとがあってね」馴れ馴れしい笑顔を見せ、男は作業服の胸ポケットから煙草を取り出し、それを彼...
演劇団S.O. WORKS|静岡・浜松の劇団の舞台作品紹介ブログ | 2013.05.10 Fri 19:34
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