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怖いほど美しい雲

嘘の空だと想った   建物の間の狭い路地を抜け 大きな通りへ出た途端に 無数の雲が視界を占領した 薄いうろこ雲が一面にあるでもなく 雨が降りそうな厚い雲が広がるでもなく 空は青で美しいお天気 しかし大きな入道雲がふたつみっつではなく 乗りたい衝動に駆られるような雲 理想的なサイズの横長雲が無数にあるのだ   アニメーションの背景のような空 この雲はきっと造り物だと想った   するとここは別世界だ 軽い眩暈と恐怖を感じて 友達に電話をしてみるが繋がらない やはり私はいつ...

甲羅は水の中 | 2016.08.13 Sat 13:35

【ショート・ショート】足音

JUGEMテーマ:ショート・ショート   どこからともなく聞こえる足音。   夜のマンションに響く。   コツコツコツ。ハイヒールか。     近づいてきているように思える。   目が覚め、気になると眠れなくなる。   上の階なのか、下の階なのか、この階なのか…。   段々大きくなってきて、突然止まる。   アッ、うちの前だ!   ドキドキする。   ガチャガチャ、鍵穴にカギを突っ込んで回している。...

小さな湖畔の森の陰から… | 2016.07.08 Fri 20:26

【ショート・ショート】足音

JUGEMテーマ:ショート・ショート   足音が近づいてくる。あれは誰の足音? 必死で考えてもわからない。     知っている人のような気がする、でも知らない人のような気もする。   どんどん近づいてくる。   正体を知りたい、でも知るのが怖い。   なぜ? わからない。   間近に迫ってくる。   目を開けて見ようとする、でも開かない。   音を感じるのみだ。   音だけを感じて、怖いような嬉しいような気持ちにな...

小さな湖畔の森の陰から… | 2016.07.07 Thu 17:53

二人だけの世界

一輝エスメラルダ

1or8 | 2016.03.19 Sat 23:07

【謎教室】傍若無人。

JUGEMテーマ:ショート・ショート 「謎教室」 先生が言った。 「えー、棒弱武人というのは、どんなに鍛錬を積んだ武人であっても棒で殴られるとそこそこ痛いという意味です」 僕は首を捻った。 ――はて、そういう意味だったか。 「先生! 字も意味も違います」 真面目なクラス委員が手を挙げて発言した。 先生は言葉を返す。 「そもそも、君の言っている傍若無人と私の言っている棒弱武人は違うのですよ」 クラス委員はさらに反論した。 「先生。その理屈が、もはや傍若無人です」 それを聞い...

らふすけっち -laugh sketch- | 2016.03.09 Wed 19:06

【ショートショート】「空飛ぶ――」

JUGEMテーマ:自作小説 JUGEMテーマ:ショート・ショート 「空飛ぶ――」 きっかけは一人の青年だった。 「なんだ! あれは!」 青年は空を指差し叫んだ。しかし、周りにいた通行人は空を見ず、青年に訝しげな視線を送るばかりだった。その中で、一人の中年がチラリと空に目線を向けた。 中年は、思わず声を漏らした。 「なんだ? 飛んでいるのか?」 通行人は中年にも訝しげな目線を送った。しかし、心の中ではすでに好奇心が芽生えており、皆、次の瞬間には空を見上げていたのだった。 「鳥か?」 青年が改めて言った...

らふすけっち | 2016.01.30 Sat 23:17

初夏1 出会い

JUGEMテーマ:ショート・ショート ショートSSお題「初夏」 夕方から、雨が降り始めた… 僕は、入学してから毎日放課後図書室に 立ち寄るのが日課になっている。 雨の中、別館にある図書室へ足を向ける。 いつも利用者が少ないこの図書館… 僕にとっては落ち着けるとっておきの場所だ。 今日は、一番乗りだと思っていたけど 先客の君が居た… 僕は何気なく いつもの窓際の席に座った 雨音が段々激しくなり部屋の中にひびき渡る。 僕を見て、君は、 「すごい雨ね…今朝は、あんなに晴...

**ぴよぴよ** | 2015.11.29 Sun 18:47

病気と雨

 雨が降っている。  固い地面を優しく叩くように降り注ぐ雨は冷たい。  そんな中私は独り、小説にのめり込んでいた。難解な文章を足りない脳みそでなんとか噛み砕いて考える。こんなことなら高校を卒業すればよかったと、勉強して大学に行けば良かったと独り呟く。  小さなワンルームに、大きく切り開かれた窓辺にはめ込まれたすりガラスからの光が鈍く差し込んでいる。小物が無造作に散らばって打ち捨てられている様子が浮き彫りになっていた。  こんな雨の日には考え方も沈んでしまう。  たっぷりと設けられた時間から...

桜*歌 | 2014.11.25 Tue 12:46

ごめんねとありがとう

JUGEMテーマ:ショート・ショート   可愛い薄桃色のほっぺを弾ませながら、きらきらと目を輝かせて、小さな手をちょこんと出してくる少年。その手には千円が窮屈そうに折り曲げられ、大事そうに持たれていた。 「こんにちは!!」 息を弾ませると人懐っこい笑顔で私に語りかけてくる。 「これね、このおもちゃ、ください!」 お話したくてうずうずしたような、悪戯っぽい笑顔で。 わたしは答えるように、静かめの声でおどろかさないよう「いらっしゃいませ」と言った。 頻繁に開閉される扉から流れてくる風は...

桜*歌 | 2014.11.01 Sat 13:58

happyハロウィン

お題提供者:犬町さん。 ≪●隕石 ●感応信号機 ●工業団地≫ ********************************************  俺は目を疑った。朝起きると俺の横に見知らぬおっさんが立っていたからである。 「おっさんだれ?」  ぶっきらぼうに聞いてみた。だってここは俺の部屋だ。家宅侵入罪ってやつじゃないのか。  おっさんはぼろぼろのシルクハットを、頭の少し横っちょに引っかけるようにしてかぶり、つぎはぎだらけの燕尾服を小粋に着こなしていた。 「ゴホン……わたくしのことでしょうかな? わたくしはジャックと...

桜*歌 | 2014.10.31 Fri 07:45

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