[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「そういえば昨晩、寅の脚の裏に目ができる夢をみたなぁ」「め?めってどっちのめ?発芽の芽の方?」「いや、目ん玉の目」「へー、、、変な夢」私は曖昧な相づちをうちながらリビングの窓際で懸命に毛繕いしている寅次郎に視線を向けた。窓の外は昨夜から降り続いてる雪で真っ白。どの家も植木もまるで厚手の白コートをまとっているようだ。そんな景色を背にして毛繕いしている寅次郎。黒々とした毛並みが綺麗なシルエットを描いて、まるでそこだけが絵画のようだった。寅次郎は2年前の今頃、近...
さめない紅茶 | 2013.02.27 Wed 10:07
この話の設定を使った荒木くんと聖さんのパロ正月話です。なにがなにやら。でも正月ネタ書けた満足です。あんまり正月関係ないけど正月だって言い張る。誤字あったら済みません。
じゃんくうさぎ。 | 2013.01.05 Sat 00:48
あたたかな時間も束の間。寝台に横たわり夢うつつを行来していたわたしの髪を、骨ばった指先が絡めとる。目を細めくちびるは弧を描いて、瞳はやがて色を帯びる。夜を闊歩する船艇のように冷然な顔をした彼が、笑った気がした。「泣いてた?」「……違う。夢、見てた。忘れちゃった」「おれが居なくて寂しがるとかさぁ、ないの。偶には淑やかさを見せてくれても罰は当たらないと思う」「今さら何言ってるの」そんなものを求められても。だがそれは彼がわたしを心配しての台詞だということも察知できた。うたた寝のつもりが随分と深い...
BYMEHKF | 2012.11.22 Thu 18:18
JUGEMテーマ:ショート・ショート 真っ白なベッドの上に座っている彼は昔とはすっかり変わってしまっていた。それでも姿形はさほど変わらない、ただ少しはやつれたかもしれない。正直なところ、余りに彼が変わりすぎていて、いつも鮮やかに頭に思い浮かべていた昔の彼が、一体どんな風だったのか、本物の彼を見て突然思い出せなくなってしまった。いつも一緒にいた友人たちが、一瞬にして彼の目の前から、永久に消えた。彼の虚ろな瞳は、彼らを探して彷徨っているようだ。私はそこにいなかった。突然彼の前から、永久に消えて...
Infinity With You | 2012.10.30 Tue 11:55
JUGEMテーマ:ショート・ショート 君が中学生になったら、つるんでいる友達伝手に手紙を受け取るときが来る。手紙と言っても、メモ帳に書きなぐっただけの、たった1行の短い手紙だ。思いもかけない相手からの手紙を信じられないかもしれないが、信じるべき相手を決して間違ってはいけない。この手紙の文面を信じられなかった僕は、疲れ果てて1歩も前に進めなくなるほどの遠回りをして、たった1つの大切な真実を、数え切れないほどの無駄な物で見過ごして、未だにどこにも行き着けないし、何も得られないままだ。たった1行の手紙が...
Infinity With You | 2012.10.22 Mon 14:44
「煽ててもおれがしてやれることなんてない」 嫌な奴だと嗤えばいい。言外に含ませた渇いた声。彼はいつもそうして拒絶する。それでも引き下がらないわたしもわたしだ。ちゃんちゃら可笑しい。 こんなひとを好きになってと心の奥が自嘲するけれど手を伸ばした気持ちは真実誠に等しく、わたしは素気なくされた右手を見やる。 果たして同い年だということを幾ばくか忘れて。彼は時折幼さをちらつかせわたしを揺さぶるのだ、しかしながら目の前に佇むおんなを消すことができないでいる。癇癪を起こすこどもみたいだと思った。 わたし...
BYMEHKF | 2012.10.18 Thu 13:04
JUGEMテーマ:ショート・ショート 結婚式は秋が多いらしい。連休もあるし、暑くも寒くもないちょうどいい季節だからだと、彼女が力説する。コイツは結婚したがっている。俺はそうじゃない。つまり、二人にとってちょうどいい季節はきていない。もしかして、暦の上ではちょうどいい季節だと考えればいいんだろうか。 君のことはいつだって頭の片隅に思ってる。ちゃんと向き合わなくちゃっていうのも、もちろんわかってるよ。ただ、もう少し時間が欲しい。お願いだ、もう少しだけでいい。心の中で念じながら返事を待つ。「提出日を...
M00n-machinery | 2012.10.01 Mon 18:56
JUGEMテーマ:ショート・ショート スポーツテストでやらされたボール投げ。どんなに気合いを入れてみても、せいぜい10メートル程度しか投げられなかった。あの時、軽々20メートルを超えていたクラスメイトは、今度はテレビのなかで彼自身がメダルに向かって飛んでってるみたいに見える。がんばれ。 「どうして私じゃなくて、あの子がいいの? 私じゃダメなの?」っていう気持ちの反対に「どうしてあいつじゃなくておれなんだろう。あいつじゃダメなのか?」っていう気持ちが存在しているかと思うと、好きな人を困らせるくら...
M00n-machinery | 2012.09.09 Sun 16:01
JUGEMテーマ:ショート・ショート スーパーの入り口近くに、七夕用の竹が置いてあった。低い所にはたどたどしい文字で書かれたお願い事。笹の葉で隠すように、女の子らしい文字の短冊。やけに高いところに一枚。こそっと見たそれは、のっぽのうちの旦那のものだった。お望み通り、スペシャルカレーにしましょう。 ぱかりとふたが開いて、中のクリームがあふれ出てしまった。あの人、靴を磨いたりはするのにこういうツメが甘い。そんなことに気付いたのは、やっと新しい苗字で呼ばれることに慣れてからだった。覆水盆に返らず...
M00n-machinery | 2012.09.02 Sun 14:07
JUGEMテーマ:ショート・ショート 昔、あれを海に浮かんでいる船の光だと思い込んでいたの。だけど、全然違ったのよ。高速道路の明かりだったの。隣の世界に繋がった空間なんてここにはないのにね。姉は毎晩必ずこの寝言を言う。長いこと臥せっているので、海はおろか家から出たことすらないのに。 ポイントカードがたくさんある。整理しようと思い立ったが、店がなくなったり、引っ越してから行かなくなったものばかりだった。さっさと捨てて、残りを確認する。それらは全て自分の名義でなく、住所が再来週の引越し先になっ...
M00n-machinery | 2012.08.26 Sun 23:57
全1000件中 641 - 650 件表示 (65/100 ページ)