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JUGEMテーマ:ショート・ショート昔住んでいた家から、歩いて1分も掛からなかった空き地は金網で囲われ、1か所だけ錆付いた扉があった。私は友人とそこでいつも遊んでいた。とはいえ、空き地は小学生の私や友人の背丈ほどある雑草が生い茂り、喘息持ちでキリンソウがよくないと言われていた私は空き地の奥までは入れず、入り口付近に無造作に置かれた土管に腰掛け、友達と一緒に絵を描いた。その空き地は、秋になるとススキとコスモスでいっぱいになり、絵が苦手だった私は無心でコスモスを描いた。そのせいか、未だに絵は不得手な私だ...
Infinity With You | 2009.10.27 Tue 20:56
JUGEMテーマ:ショート・ショート煙草の煙が霧のように立ち込めている店内に、一人の男が来客した。景気の良さそうな音を立てながら進み、迷い無くカウンターへ座り込む。分厚いコートを着込んだまま、その男はウイスキーを頼んだ。注文した後、男は面倒くさそうに曇ってしまった眼鏡のレンズを拭いた。その様子に、隣に座っていた髭面の男が笑う。煙が吐き出されるその様に、眼鏡を掛け直した男は眉をひそめた。「そう睨むな。今日は、軍服を着てないがどうしたんだ?ウサライエ。」「こんな場所では、軍服は目立つ。まだ自由に泳ぎた...
Le Figuier Commun | 2009.10.25 Sun 23:47
こくこくとうなずく。聞いてるよ、と何も言わずに反応を返す。本当は私の話なんか一つも聞いちゃいないの、知ってたわ。目だっていっさい合わせないでずっと顔を横に向けて壁の時計ばっか眺めて、本当、頭にくるわ。ふんっ、と思いながらまだ話を続けたわ。彼に話を続ける私の姿が好きだったのよ、私が。それはもう、幸せそうに話したわ。明日への希望や期待、過去への輝きや楽しさを、それから前の通りを歩いている人達を観察して思ったことから、街路樹の枝ぶりの美しさは太陽が愛おしくてたまらないからだ、とか。とにかくたくさん...
ENT | 2009.10.25 Sun 13:03
JUGEMテーマ:ショート・ショート僕らは一人の人間のように育ち、同じ女性を愛した。彼女が僕らを両方とも受け入れてくれたのは奇跡とも言えることだ。彼女はより言葉を器用に操る僕に愛を囁き合い、より美しい容姿と肉体を持つ弟と体を重ねた。彼女にとってそうすることは初めから抵抗がなかっただろうかと、彼女と愛を語り合いながら僕は考えるが、弟は気に留めないようだ。 そういった意味で、彼女は僕より弟により近い性質を持っているかもしれない。彼女は僕たちをそれぞれに愛していると言うが、果たして本当にそうなのだろうか...
Infinity With You | 2009.10.24 Sat 11:05
JUGEMテーマ:ショート・ショート三ヶ月前に気まぐれで書き上げた小説です。見つけたので載せてみようと思います。これからは少しずつ小説もあげていきたいなぁ。
紺碧の灯 | 2009.10.22 Thu 16:18
どちらが先に、 ----------------------------JUGEMテーマ:ショート・ショート
星月夜〜gestirnte nacht〜 | 2009.10.21 Wed 15:10
JUGEMテーマ:ショート・ショート 互いに手に触れているのは好きでも、手を繋いでいるのが嫌いだった僕らは、人混みではぐれないように最初はしっかり指を絡ませて手を繋いでいるのに、すぐにどちらからともなく手を離してしまった。はぐれると必ず泣くのは彼女だった。僕は一瞬彼女がいなくなっても、またすぐに見つけられる自信があったんだ。いつも騒々しい人混みが僕らを取り囲んでいたけど、僕らはいつも二人だけの世界にいると思っていたから、僕の目に映るのはいつも彼女だけだった。でも彼女はそうではなかったようで...
Infinity With You | 2009.10.20 Tue 13:16
生理前というのは不安定になりがちだ。体調も、精神も。 ホルモンの分泌でそのようなことになるといわれているけれど、もうひとつ大きな要因がある。来るのか、来ないのか?という不安だ。 妊娠することを望んでいない場合は、頭の隅っこでそのことを気に病み、望まない事態になった場合のシュミレーションなどしながら、その時期を過ごすことになる。
さまよえるbitch | 2009.10.16 Fri 18:37
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「二人以上で食事をするなんて何年ぶりかね」上機嫌にワインを傾ける主人は、いかにも誠実で優しそうな黒い瞳を細めて、時折嬉しそうにつぶやいた。広い食堂は大きな窓がずらり壁を切り取っていて、明りとりの天窓からは大きな満月がのぞいている。味もわからぬ料理を口に運びながら、私は主人や執事の一挙一動をひとつも見逃すまいと目をむいていた。しきりに強調される「久々の来客」というキーワードは化け物の舌舐めずりにしか聞こえなくなっていた。これまでの人生で今ほど本能というものの...
つらつら | 2009.10.14 Wed 23:47
JUGEMテーマ:ショート・ショート 明日の朝食のパンを買い忘れて出かけた時間が、彼の帰宅時間と同じ頃だったのは偶然だった。閉店間際のパン屋の前のバス停にバスが停まって、彼が降りてくる姿を見かけた私は、そ知らぬふりでパン屋に入る。もう既に目ぼしい物は殆ど売り切れていて、店内は閑散としていたが、それでも私は店内をゆっくり歩き回った。バスを降りた彼はパン屋の中にいる私に気付いたようだ。彼は私が店から出たところで待ち構えていて、驚かそうと考えているに違いなく、店内に入らないまま店内の私の様子を伺...
Infinity With You | 2009.10.14 Wed 11:50
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