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【もくじ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】【chapt. 4からの続き】Side A 小さな温室にコーヒーの香りが広がっていく。ここで使われるのがサイフォンなのはそれが理由なんだそう。 太陽の光で暖められた小さな空間がコーヒーの香りが生まれ、それが植えられた花の香りと混ざり合っていく。いつの季節も花が咲き続けるここでその香りのカクテルに触れていることがとても幸せに思えるから。 それは簡単なことじゃない。花が咲き続けるには植え続け、世話をし続けなければいけない。コーヒーもより強く香りを引き...
Sweetish trip! | 2009.09.20 Sun 01:35
【もくじ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】【chapt. 3からの続き】 Side B 単なる好奇心、気まぐれのお戯れ。その程度のつもりだった。 あたし自身、そういう行動を取ることに慣れているわけじゃない。それどころか、初めてだ。 こうして目の前に居るのはあたしが人生の中で初めて親しくなる男性――それがどういう形かはまだ分からないとは言えどそれは確かだ。そんな相手の瞳から動きを奪い、もとよりほんのり紅色の頬をこれでもかと言うほど赤くそめるようなことをしている訳で、正直言うとこちらと...
Sweetish trip! | 2009.09.17 Thu 23:55
JUGEMテーマ:ショート・ショートJUGEMテーマ:小説/詩 君は人の気も知らないで平気で相手を虜にさせるんだ わたしの気も知らないで 「もうすっかり秋だなぁ」その言葉に、わたしはふとシャーペンを止めた。隣を見ると、すぐ横の窓から外の様子を、頬づえをつきながら眺めている彗翔(としぞう)がいた。「どうしたの、急に。」「いや、空が高いと思ってさ」彗翔はこちらに振り返り、空を指さしながら笑った。 釣られてわたしも空を見た。窓越しに見える空は、夏のそれとは一...
empty empty | 2009.09.17 Thu 14:02
一番後ろの窓際の席。教壇から聞こえてくる異国の言葉を聞きながら、空を見上げた。「雲ひとつない空を、快晴、と言います。」今はもういない。理科の先生の言葉を思い出した。あぁ そうか。これが快晴、て言うんだ。
チェシャ猫の嘘 | 2009.09.16 Wed 00:53
【もくじ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】【chapt. 2からの続き】 Side B あたしの質問に男の子は少し間をおいて、ためらった様子でうなずいた。 どんな人かも知らないで、しかも言い出した両親の関与もなしにお見合いという名のブラインドデートをすることになったあたしに、その相手が何者かというのはあまりに大きなサプライズだ。 あたしが手伝っている紅茶屋の常連客だった女の子が実は男の子でお見合い相手。ラジオか何かのコメディショーで話すには最適かもしれない。でも、こうして事実として目...
Sweetish trip! | 2009.09.15 Tue 23:26
【もくじ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】【chapt. 1からの続き】Side A 今日、服を着替える時、わたしは少しだけ躊躇した。 前から知っていた事ではあるけど、それでも、ボタンを一つ一つ閉めるときに感じた違和感は昼を回ろうとした今でもはっきりとしていて消えそうにはとても思えない。 町の外へ出かけるのは初めてのこと。電車に乗って、海沿いの隣町へやって来た。わたしはこの植物園でベンチに腰掛けながら耳を澄ましている。 波の音というものはとても気持ちがいい。映画の中で、ラジオから、そうい...
Sweetish trip! | 2009.09.14 Mon 00:06
彼女は必死に背丈よりもずっとずっと高い草を掻き分けてきた。必死に必死に。「もういいよ、ありがとう」そういってもらえるまで、決して振り返らずに、弱音を吐かずに。往往年たって出口が見えたときそこにはがっしりとした腕とがっしりとした足腰、 傷だらけの体があった。彼女は喜び勇んで、振り向いた。これからの明るい未来を思い描いて笑ってくれるみんなの顔が見たくて褒めてくれるみんなの声が聞きたくてでも、そこには誰一人の笑顔すらなくて誰一人の声もなかった。やせ細った死体達は、彼女の光を反射させることも無く、無...
ペシミスティックと謳われて(β | 2009.09.13 Sun 23:55
【もくじ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 Side A すすきの花が咲くのを見てわたしはすっかり古くなったテラスのテーブルで溜息を着いた。 空気が夏の強いものから秋の包むようなものへと変化を始めているの感じる。 苺の香りが付けられた紅茶はそろそろ似合わなくなってきている。その茶葉を入れた瓶のとなりにある薔薇の花束を加えた紅茶もそうだ。 お母さんにねだるのなら何がいいだろう。あのお茶屋に行くのはわたしのささやかな楽しみだ。 だから、店に行くまでは何にするか決めないほうがいい。...
Sweetish trip! | 2009.09.12 Sat 01:49
「地球が、爆発しちゃえばいいのに。」彼の寝顔を見つめながら呟いた。思えば私たちがうまくいかないことに気づいていたのかな。それでも彼の腕に抱かれていることが幸せだった。とても。とても。
チェシャ猫の嘘 | 2009.09.12 Sat 00:04
「あ、」「こんにちは、久しぶりね兎さん」「牢の鍵は持ってきてくれたかい」「持ってくるはずがないじゃない」「あれだけ約束したじゃないかぁ」「してないわ」「ねぇ頼むから、ほら、同居人君も一緒に頼んでよ」「え……」「あれ、新しい人が入ったの?」「彼はボクの生き別れの兄弟なのだよ」「嘘つき。全然似てないわよ。そもそもこの人普通の人間じゃない」「君はオイラが普通の人じゃないと言うのかい?」「可笑しな兎でしょ」「酷いこと言うなぁー、ワタクシはいたって常識的で紳士的な兎ですぞ」「……ちょ、ディプソン。全然話につ...
脱走アウトロー。 | 2009.09.11 Fri 23:43
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