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JUGEMテーマ:ショート・ショート 新しい花が、広い庭の、入り口近くの薔薇の繁みに咲こうとしていた、晩秋の午後。 街一番の病院に、一人の見舞い客が訪れた。 話し声と行き交う人々(特に看護婦)でざわざわしている廊下をくぐり抜け、客はコートの裾をひらめかせ、とある病室のドアを潜った。 途中、2階の窓から、階下の庭を見下ろす、入院患者の側を通り抜ける時も、そちらをちらとも見る事も無ければ、此処に至るまで、誰にも案内を乞うことも無く。 晴れた日の病室。花瓶の百合と丁度、待っていた、若い背の高い医師が、彼...
One bard's ditty | 2009.09.23 Wed 23:38
JUGEMテーマ:ショート・ショート 幾つになっても、一日、埃と汗にまみれたその後に、家路に着くのは楽しいものだ。 夕陽に肩を焼かれながら、腰までの木製の門を開く。蔓薔薇が生い茂った庭の、丁度見える場所で、女性が一人、草むしりをしていた。 「ただ今。」声を掛けると、さも意外そうに立ち上がった。 「あら、もう、そんな時間?早いのね。」 「まさか、お昼から、ずっと、やっていたのかい?」母は手を振って否定した。「お茶の時間の後に、ちょっと、やる気だったんだけどねえ。知っているでしょう?やり出すとあれもこ...
One bard's ditty | 2009.09.22 Tue 23:55
JUGEMテーマ:ショート・ショート不思議な色で、変わった柄の珍しいシャツを着ているなと思った。こっそり近寄ってみると、シャツよりも背中の汗の匂いに意識を奪われ、シャツの柄は元々の模様ではなかったことに気付いた。不思議な色に見えたのは、着古して色が変わった黒だった。何度も何度も洗って、不思議な風合いになっていた。古臭い服を着ていても、一緒にいて恥ずかしいなんて思わない。背中に触れると、とても温かかった。着古したシャツはカサカサしていて見た目はもちろん、手触りもよくない。しかしそれでもお気に入りのシ...
Infinity With You | 2009.09.22 Tue 23:01
その欠片と重なる お題はこちらからいただいています。 Project SIGN[ef]F ----------------------------JUGEMテーマ:ショート・ショート
星月夜〜gestirnte nacht〜 | 2009.09.22 Tue 20:00
JUGEMテーマ:ショート・ショート 君と僕が仲良くなったのは、席替えで席が隣になってからだった。君は、クラスに必ず一人はいるような、男女問わず人気があり、人の悪口も言わないし困っている人がいれば助けてあげる。運動も平均以上にできるし、もちろん部活も運動部。笑顔を絶やす事ないとっても素敵な男の子。私はと言えば、これまたクラスに必ず一人はいる、決してクラスの中心になったりはしないがひどいことも言われないしされない。なんとなく雰囲気が似ている5〜6人が集まったグループの中の一人。極力男子とは関わらない...
キミと僕 | 2009.09.22 Tue 11:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート そうとも、友よ。 聞いておくれ。 これは、悲しい物語だ。 何処が悲しいかは、聞いてのお楽しみ。 おや、何処かに矛盾が有ったかな? あれは、今日の夕暮れ、僕が川辺を歩いている時だった。 何をしに、そんな寂しい所を歩いていたのか、君になら、もう、分かるだろう? 寂しい所を歩いて見れば、少しは頭が冷えるかと思った。サムとの言い争いが、余程身に答えていたらしい。一問一答が、頭に蘇って、正直、心まで冷えた。幾ら、秋だからってね。ミハエルは当然、サムソンの弟なのだから、学...
One bard's ditty | 2009.09.21 Mon 22:11
JUGEMテーマ:ショート・ショート彼は一見ぼんやり窓の外を眺めていたようだったが、僕は彼の視線に気付いた。彼の眼には僕の姿も通りに並ぶ街路樹や、移り変わる家並み、様々な風景と変わらなかったのか、横目で僕を見たが、全くの無表情だった。僕を困らせて喜ぶ彼の、いつもの残酷な笑顔はどこにもない。君を連れていかれたら、僕は本当に困ってしまうのに、そんな時に限って、なぜ君はそんなに眉一つも動かさずにいられるのか、僕には全く理解できない。僕は彼を連れ去ろうとする車を、走って追いかけようとした。きっと彼はまだ僕...
Infinity With You | 2009.09.20 Sun 18:16
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「・・・なに言ってるんだ。ただの鏡だよ」私の言葉に娘が納得しないのは当然である。私自身がそうは思っていないからだ。少し埃に濁った古い鏡を見つめれば見つめるほど、あの老人の薄暗い顔が思い出されて腹の底に静かに沈殿する不安を振り払うような瞬きを繰り返した。自分が何におびえているのか、さっぱりわからない。老人はあのとおり親切な人柄だし、洋館自体にもどこにも問題はない。ただ娘と共有する不確かな恐怖だけが、姿のない化け物のように私たちの背後に迫っていた。私が緊張する...
つらつら | 2009.09.20 Sun 06:57
【もくじ】 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】【chapt. 4からの続き】Side A 小さな温室にコーヒーの香りが広がっていく。ここで使われるのがサイフォンなのはそれが理由なんだそう。 太陽の光で暖められた小さな空間がコーヒーの香りが生まれ、それが植えられた花の香りと混ざり合っていく。いつの季節も花が咲き続けるここでその香りのカクテルに触れていることがとても幸せに思えるから。 それは簡単なことじゃない。花が咲き続けるには植え続け、世話をし続けなければいけない。コーヒーもより強く香りを引き...
Sweetish trip! | 2009.09.20 Sun 01:35
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