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どちらが先に、 ----------------------------JUGEMテーマ:ショート・ショート
星月夜〜gestirnte nacht〜 | 2009.10.21 Wed 15:10
JUGEMテーマ:ショート・ショート 互いに手に触れているのは好きでも、手を繋いでいるのが嫌いだった僕らは、人混みではぐれないように最初はしっかり指を絡ませて手を繋いでいるのに、すぐにどちらからともなく手を離してしまった。はぐれると必ず泣くのは彼女だった。僕は一瞬彼女がいなくなっても、またすぐに見つけられる自信があったんだ。いつも騒々しい人混みが僕らを取り囲んでいたけど、僕らはいつも二人だけの世界にいると思っていたから、僕の目に映るのはいつも彼女だけだった。でも彼女はそうではなかったようで...
Infinity With You | 2009.10.20 Tue 13:16
生理前というのは不安定になりがちだ。体調も、精神も。 ホルモンの分泌でそのようなことになるといわれているけれど、もうひとつ大きな要因がある。来るのか、来ないのか?という不安だ。 妊娠することを望んでいない場合は、頭の隅っこでそのことを気に病み、望まない事態になった場合のシュミレーションなどしながら、その時期を過ごすことになる。
さまよえるbitch | 2009.10.16 Fri 18:37
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「二人以上で食事をするなんて何年ぶりかね」上機嫌にワインを傾ける主人は、いかにも誠実で優しそうな黒い瞳を細めて、時折嬉しそうにつぶやいた。広い食堂は大きな窓がずらり壁を切り取っていて、明りとりの天窓からは大きな満月がのぞいている。味もわからぬ料理を口に運びながら、私は主人や執事の一挙一動をひとつも見逃すまいと目をむいていた。しきりに強調される「久々の来客」というキーワードは化け物の舌舐めずりにしか聞こえなくなっていた。これまでの人生で今ほど本能というものの...
つらつら | 2009.10.14 Wed 23:47
JUGEMテーマ:ショート・ショート 明日の朝食のパンを買い忘れて出かけた時間が、彼の帰宅時間と同じ頃だったのは偶然だった。閉店間際のパン屋の前のバス停にバスが停まって、彼が降りてくる姿を見かけた私は、そ知らぬふりでパン屋に入る。もう既に目ぼしい物は殆ど売り切れていて、店内は閑散としていたが、それでも私は店内をゆっくり歩き回った。バスを降りた彼はパン屋の中にいる私に気付いたようだ。彼は私が店から出たところで待ち構えていて、驚かそうと考えているに違いなく、店内に入らないまま店内の私の様子を伺...
Infinity With You | 2009.10.14 Wed 11:50
何でもできる同僚がいる。……正確に言うと、何をやらせても、すぐに、人並み以上にこなしてしまう、同僚。ウチのような小さな会社にとっては、宝物のような、優れた人材。(実際、東京のえらい大学を出てて、なんでウチに? って本気で思う)普通に同僚として接するくらいなら、まあ、アレだ、すごいねーかっこいいねーくらいで済むんだと思う。けど。彼は同期なのだ。私にとって、唯一無二の。(いや、ほんとはあと2、3人いたことはいたのだけど、みんな辞めてしまった)ことあるごとに、比較されてしまう。何をやっても。なまじ、...
Storiella d’amore | 2009.10.10 Sat 23:57
何かあると会いたくなるあの人、 こっそり会おうか、どうどうと会おうかいつも迷う冬になると会いたくなるあの人 いつ会おうか、今から会おうか会うときはいつもスウェットで、会うときはいつもファミレスで、 そしていつも勉強道具を持ち合わせて、まじめな政治経済の話とまじめな愛し方の話をするの。不真面目な関係が心地よくて、いつまでも癖になる、そう、麻薬のよう。いつもプライドをボロボロにされるのに、いつも、もう会いたくないと帰るのに、また会いたくなる。 熱い紅茶と冷たいコーラを両手に持って、あなたのとこ...
ペシミスティックと謳われて(β | 2009.10.08 Thu 22:46
ふだんは見えないの。ひどく不安定でくすぐったい道を歩くときなんかにふと突き出てきたりしてたいていじぶんの指を傷つけてしまうのです。野アザミに棘が生えているのはじぶんの身を護るためなのに、わたしなんかに生えてしまった棘が理不尽で、気づくたびに抜こうとするけれど、意外なことにそれなりに痛い。そのうちにみんながそれをわたしのアイデンティティと認識し始めて、わたしは始終その棘を突き出しているようになりました。じぶんが痛いと感じるたびに、ああ、これでわたしが保ってられるのね、とも感じるようにしていまし...
Rain Court | 2009.10.08 Thu 18:07
JUGEMテーマ:ショート・ショート CASTER MILD 僕は今、とあるホテルの一室で彼女宛のメールを書いている。 「そう言うわけで、今週も会いに行けない。 いつもこんな調子で僕もつらいんだけど・・・。」 何がそう言うわけなのかと言うと、こうだ。 僕はコンピュータ関係の会社に勤めている。 会社の規模はそこそこであえて詳しくは言わないが、システムを作って提供してる、と言えば雰囲気は分かるだろう。 僕はそこでお客さんのところへ出張して、システムについて説明したり・・・云々とやっているわけだ。(売り込みに...
Weaver | 2009.10.03 Sat 02:44
彼女が消えた。 机の上に食べかけのチョコレートと、飲みかけの紅茶を残して。 どこを探しても彼女はいない。 名前を何度呼んでも、返事はない。 彼女が残した紅茶に、口をつける。 ダーク・ラムの味がした。 マグカップの中には、深く、ほろ苦い闇。 私はここよ、という小さな声が聞こえた。 (ああ、こんなところにいたんだね)
カメレオンの憂鬱 | 2009.10.03 Sat 00:12
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