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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「強要はしないよ。時間はあるから、よく考えて、やるかやらないか決めて。最深部まで辿り着いて、敵をかく乱し、捕まっている人達に脱出を促す……日没前には、俺が援軍を送り込むからもそれまでに!……出来るよね? 蒼穹の騎士エヴィン=アルロ=リスバーン。なんたってあんたはウィルシードの英雄なんだから」 俺は眉をしかめて、そっぽを向く。そんなん知るか。勝手にまわりがそうやって持ち上げるだけで、実際俺はそんなに実力あるわけじゃないよ。 「別にあんた方が動かなくても、俺が何...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.11.01 Tue 09:36
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー そして数十分後。泳ぎ着いてへばっている馬鹿(ティルラド)を冷たく見下ろし、俺は憮然として言った。 「んで、どーすんだ。お前が引き起こしたこの事態」 「あ、……あ、あのですね……、……あ、アジトっていうか……、この辺の浜辺で拉致した人を一時的に監禁しておく場所がありまして……。うちのねーちゃんが、リエちゃんがいなくなったって騒いでた辺りで、ああ、やっちゃった〜、と思って……まあしょうがないからそれをずっと捜してたんだけど……先ほど見つけまして、はい……ああ、俺そんな...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.31 Mon 22:18
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 4 そして……心繋がる時 斜陽は熱く、海は燃えていた。傾いた太陽から、より強く降り注ぐ光を全て受け止め、はね返す。彼方まで続く海原が、いまや巨大な光源になっていた。そのぎらつく逆光を浴びてひとつの影になったティルラドは、月の瞳を冷たく輝かせながら口を開いた。 「この海の彼方、遠く何千里も離れた幻の大陸。……そこにあるのが、サヴァン・ドゥルー。通称辺境帝国。かの地の文化には奴隷が必要不可欠、かつ重要なんだ。それを得るための人身売買組織は今でも数多く活...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.31 Mon 22:16
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 大物なんだかなんなんだか。こんなティルラドが何となくただ者じゃないのは既におわかりいただけてるであろうが、何を隠そう、こいつはわずか十七歳にして、世界最強と名高きウィルシード国軍、その頂点に立つ【国軍聖大使】……即ち軍で一番偉い人であり、つまり俺の上司なのである。 しかしその役職上、半端じゃなく忙しくて、とてもじゃないけど夏休みしてる場合じゃないはずなのに、なんか開けたらトランクの中に入ってたのだ。 「だって俺だってバカンスしたいもん。いーじゃないの。そ...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.31 Mon 12:52
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー これではっきりした。やっぱりアルスの野郎の言っていた、人身売買の話は本当だったんだ。 「行くぞっ!」「ええっ!」 気合い一発、俺とシェーダは岩場を飛び出す。そして俺は不意をつかれてぎょっとした男のみぞおちに、強烈な膝蹴りをたたき込んだ! そして、間髪入れずシェーダの手刀がクリーンヒット! 悪党そのいちは声もなく地に倒れ伏し、見事圧勝っ! やっぱし戦いっちゅうのは、数にものを言わせて、不意打ちしつつ挟み撃ちが一番だな。安全だし(こっちは)。 「...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.31 Mon 12:49
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー するとシェーダは嬉しげに笑った。 「そんな、わざわざだなんて。私、昔から気にかけていたのよ。初めてあった頃は、あなたはまだ体が弱かったでしょう?」 えーと、確か十三かなんかの時だよな。シェーダと初めて会ったのは。確かにあのころは俺、まだ少しイマイチだったかもなあ。 「昔の話じゃないか。今はもう平気なんだぞ? 軍人として立派に勤めてんだから。誰より体力あるだろ、俺」「ええ、そうだれど。でも色々と、あなたのこと気になるのよ」「なんで?」 俺はごく、...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.31 Mon 00:49
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 3 廻る時、その果て来たる波乱の予感 岩場の日陰に入ると、潮風は少し冷たかった。 波音はわずかに遠くなり、代わりに大きくなったのは蝉の声。地を焦がす夏の日差しをそのまま象徴するようなその声は、熱さにだれた体をより一層気怠くさせる。 しっかし、みーんみーんだの、じいぃぃーだのいうのはいいんだが、あの、つくつくほーしとかいう蝉の鳴き声はなんとかならんものか。いや、あれってば、最後のほう(?)になると、「おいしーよおいしーよ、じぃぃ」って言うじゃないか。一...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 22:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「俺、戻る! シェーダを一人で待たせてるんだ!」 「何だって? それなら早く、とっと行きな! あたしはアルスともう一度探してみるから!」「オレも店、他のバイトに代わってもらうわ。ついでにこれ持ってけよ!」 いやアルス。こんな時にフラッペ渡されても……まあいいか。腹が減っては戦は出来んと言うし。 そして俺達は、ひとまず一時間後に落ち合う約束をした。セルティとアルスは、バルグリアの軍警察に通報しに行くようだった。 しっかし、まさかなあ。 辺境帝国の、...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 11:57
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー が。そこでいきなり、 「ちょっとどきな! あんたたち、じゃまだよ!」 という威勢のいい怒鳴り声が響き、女の子達のきゃあきゃあ声がひときわ高まった。何だと思い、振り返ろうとする俺だったが……。 「あんたも邪魔!」 べちん! と、顔面に平手を食らってしまった。 「セルティじゃねえか。どうしたんだ? そんなに血相変えて」 しかし特に驚くでもないアルスの声に、俺は涙目をこすりこすり、乱入者の姿を確かめる。確かに、この黒髪に長身は、姉御肌のセルティだが……。 し...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 11:24
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「当店オリジナルのシルキス・フラッペは、ほどよい甘さなのにノン・カロリー! しかもシルキスの繊維質は美容効果抜群、夏の日焼けにもってこいだぜ! あ、サンキュー、おねーさん。三リグね」 ……フラッペ、いわゆるかき氷のこったな……。 それはいいんだが、快活な声を張り上げてその店をきりもりしているのは、今時ちょいと珍しいくらいの高長身! ほどよく日に焼けた赤茶の髪のハンサムで、同じ男としちゃかーなり悔しいんだが、確かにこれなら女の子が集まるのもわかる。 と...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 09:49
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