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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー するとシェーダは嬉しげに笑った。 「そんな、わざわざだなんて。私、昔から気にかけていたのよ。初めてあった頃は、あなたはまだ体が弱かったでしょう?」 えーと、確か十三かなんかの時だよな。シェーダと初めて会ったのは。確かにあのころは俺、まだ少しイマイチだったかもなあ。 「昔の話じゃないか。今はもう平気なんだぞ? 軍人として立派に勤めてんだから。誰より体力あるだろ、俺」「ええ、そうだれど。でも色々と、あなたのこと気になるのよ」「なんで?」 俺はごく、...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.31 Mon 00:49
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 3 廻る時、その果て来たる波乱の予感 岩場の日陰に入ると、潮風は少し冷たかった。 波音はわずかに遠くなり、代わりに大きくなったのは蝉の声。地を焦がす夏の日差しをそのまま象徴するようなその声は、熱さにだれた体をより一層気怠くさせる。 しっかし、みーんみーんだの、じいぃぃーだのいうのはいいんだが、あの、つくつくほーしとかいう蝉の鳴き声はなんとかならんものか。いや、あれってば、最後のほう(?)になると、「おいしーよおいしーよ、じぃぃ」って言うじゃないか。一...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 22:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「俺、戻る! シェーダを一人で待たせてるんだ!」 「何だって? それなら早く、とっと行きな! あたしはアルスともう一度探してみるから!」「オレも店、他のバイトに代わってもらうわ。ついでにこれ持ってけよ!」 いやアルス。こんな時にフラッペ渡されても……まあいいか。腹が減っては戦は出来んと言うし。 そして俺達は、ひとまず一時間後に落ち合う約束をした。セルティとアルスは、バルグリアの軍警察に通報しに行くようだった。 しっかし、まさかなあ。 辺境帝国の、...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 11:57
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー が。そこでいきなり、 「ちょっとどきな! あんたたち、じゃまだよ!」 という威勢のいい怒鳴り声が響き、女の子達のきゃあきゃあ声がひときわ高まった。何だと思い、振り返ろうとする俺だったが……。 「あんたも邪魔!」 べちん! と、顔面に平手を食らってしまった。 「セルティじゃねえか。どうしたんだ? そんなに血相変えて」 しかし特に驚くでもないアルスの声に、俺は涙目をこすりこすり、乱入者の姿を確かめる。確かに、この黒髪に長身は、姉御肌のセルティだが……。 し...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 11:24
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「当店オリジナルのシルキス・フラッペは、ほどよい甘さなのにノン・カロリー! しかもシルキスの繊維質は美容効果抜群、夏の日焼けにもってこいだぜ! あ、サンキュー、おねーさん。三リグね」 ……フラッペ、いわゆるかき氷のこったな……。 それはいいんだが、快活な声を張り上げてその店をきりもりしているのは、今時ちょいと珍しいくらいの高長身! ほどよく日に焼けた赤茶の髪のハンサムで、同じ男としちゃかーなり悔しいんだが、確かにこれなら女の子が集まるのもわかる。 と...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 09:49
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 2 夏嵐、到来! いきなりとんだ憂き目にあってしまったが、それからの一時は言葉に言い尽くせないくらいに楽しいものになった。 エメラルドの宝石みたいに輝く海に、ゆるやかにわきたつ波の気持ちいいこと! 俺も日焼けなんか気にしてる場合じゃなくなって、童心にかえって遊びまくった。 え、何したかって? まあ、泳いだり、水かけっこしたり、それが追いかけっこに発展したりとかな? 波打ち際で憧れの彼女とそんなんしちゃってまあ、古来よりのロマンスの典型だけ...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 09:21
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー しかしシェーダは、何を気にする風もない。春の木漏れ日の暖かさで微笑みながら、鈴の音に似たかろやかな声で、他愛ないおしゃべりを続けている。それを俺は、相づちをうちながら和やかな気分で聞いていた。 峰につもる雪に似た真っ白な肌。透けて波打つ、プラチナ細工のような銀の髪。猫に似た瞳はまるで高貴なエメラルド。華奢でたおやかで、儚い妖精のように綺麗なシェーダ。 そんなシェーダは、その実、男もかなわぬ気丈さを持った女の子。しかも俺と同じ軍人。天才美少女剣士...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 00:24
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「……って、ところでなんなんだい? その、カーテンにくるまってサングラスかけてる、ちっさいかたまりは……」 と、いきなりセルティが絶句するが。 ちっさいかたまりって……、俺のことかい……。 「やっだー! ちっさいってことはもしかしてエヴィン? あ、やっぱり! てゆうかその格好って何のギャグ? あんたって真剣に馬鹿なことばっかりするから、とりあえずいるだけで笑えるわよね〜!」 きゃいきゃいしたこれは、リエであるが……。 なんか今のリエの台詞で妙〜に心が傷つき果ててるカ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.10.30 Sun 00:21
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 陽光満ちた碧空に、ぽっかり浮かぶ入道雲。時折響く稲妻に、雨足去ってかかる虹。そうして晴れた空の下、咲き誇るは鮮やかな、大輪見事なひまわりたち。 俺の住んでるウィルシードは、夏といえどそんなに暑くなるわけじゃないんだが、それでもいつもより格段に強くなった日差しの下、したたかに萌ゆる緑、激しくも熱いその自然の息吹を感じると、こちらとしても自然浮き足だってくる。 しかもそんな時期に毎年の長期休暇だぞ? そりゃあもう意気込んでバルグリアまでの旅行に臨んだって...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 00:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 久々に暇を持て余していた休日、何気なく開いたアルバムの、一番終わりの方に張られていた写真には、青い海とひまわりと、みんなの笑顔が写っていた。 楽しかった夏休みも、思い出として過ぎ去ってしまうと切ないもんだなあ。 そんじゃまあ、今回はその夏休みの事でもお話しするとしようか。 天下一品な剣の腕(正しくは適当に人並みな剣の腕)と金髪碧眼な小作りの美貌(正しくはただの発育不順)を持つこの俺、「蒼穹の騎士」エヴィン=アルロ=リスバーンは、青春まっただ中の十七...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.10.30 Sun 00:19
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