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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー エピローグ 俺は波打ち際に足を浸して立っていた。傍らの岩場に腰下ろすはシェーダ。海の向こうへ去っていくのは、ウィルシード艦隊の黒いシルエット。感慨に浸りながら俺は無言でそれを見つめ、嵐が過ぎ去ったことを改めて実感していた。 あれから三日。 バルグリアに巣くっていた人身売買組織は解体され、全員が逮捕、ウィルシード本国にて国際法に基づいた裁判が行われることになった。艦隊は、逮捕された犯罪者たちを護送していくのだ。 「エヴィン、ティルラドった...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.04 Fri 11:21
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 背中あわせになったまま、俺とシェーダは、そっと手を握りあった。触れあった手の平から、彼女のぬくもりが、その鼓動が伝わってくる。 ……俺は絶対にあきらめない。 「……シェーダ、せーので走るぞ。ティルラドが来るまで、なんとか逃げ通すんだ」「わかったわ。でも……私、もうあまり走れる自信がないの」 見れば、シェーダの細い足は続く過労に小刻みに震え、確かにとても頼りない。仕方ない。ここは一発、いいとこ見せるか!「ちょ……エヴィンっ……!」「ちゃんと掴まってろよ、行...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.03 Thu 21:57
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー しかし、このままじゃみんな捕まりなおして終わってしまう。もうとっくに日は没っしてるはず。ティルラドは一体何やってるんだ! 俺は焦り、辺りを見回した。追っ手をかわしつつこの人数を出口まで誘導するなんて……くっそこりゃ明らかに人手が足らない! 「エヴィン!」 シェーダが、やはり焦りの表情で叫ぶ。 と、その時だった。どこかで聞いたような声が、 「そいつらを逃がすのはおれたちにまかせろ!」 と叫んできたのである。 驚いて振り返るとそこには…… 「あんた、...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.03 Thu 11:30
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「ところで、お前は自分のいったことを理解しているか?」 突然の俺の問いである。悪党……いや、もうめんどいのでBでいいが、Bは何を聞かれたのかわからなかったようで、唾をまき散らして叫んだ。 「なにいってやがんだ、このちび!」 またしても人をちびと……。 図星を指されると人ってのは怒るもんなんだ……覚悟しとけよ? 「……いいか、お前は近づくとこの女の命はないと言った」「そ、それがどうした!」 「そいつは、女じゃない」 衝撃。 空気が、凍り付く。 ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.02 Wed 23:43
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 6 波濤の戦士達 青空を翼をはためかせて飛ぶ、海鳥の親子。わずかな命を美しく咲かせる花の群。吹きつける潮風にゆれる木立、そのさざめき。夏の夜に彩りをくわえる、虫達の合奏。 世界って、そんな小さな命一つ一つが、当たり前にその存在を許されて、あるがままの姿で精一杯生きていくこと、それによって成り立っているんじゃないかって思う。 エメラルドの波飛沫を浴びた時、優しい波に抱かれた時、俺が何となく考えたのは、全ては、あの波濤の向こうから生まれ出た、等...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.02 Wed 23:32
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー どうしよう、敵をうまいことかく乱するタイミングを掴むには……。俺がそんなことを考えつつ、シェーダと固唾をのんで見守る中、いよいよ審査が始まったみたいだった。 「年齢、特技、それからスリーサイズを端から順に言うように」 なあんだ。それだけでいいの。横で何か調書とってる悪党がいるが……へー、あそこにみんなのスリーサイズが書いてあるわけか。それは是非俺も聞きたいなあ。特にリエとか!あのサイズだとつまりいくつってことになるんだろうな……! 「あたっ!」「あなた...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.11.02 Wed 09:54
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「なあに。金髪の君は、まるで天使みたく可愛いじゃないか。そっちの銀髪の……お友達かい?……彼女だって妖精のように綺麗だから、心配はいらないさ。きっと金持ちのところに買われて、大切にされるよ」 ……天使みたいに可愛い? あ〜、だからエンジェルね……。 普段から言われないでもないが……気持ち悪いな、それは……。さすがに言い過ぎじゃん? 俺ってそんなか?(泣)……プリーズギブミー、男らしさっっ……! 「君達はこれから、組織のリーダー達のところで審査を受けて、奴隷とし...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.11.02 Wed 09:52
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー お腹の辺りが震えまくっている。……シェーダが笑ってるんだな。 ……痴漢にあったりプロポーズされたりすんのは、すでに日常茶飯事だからよいのだが(いやいや全くよくはないが)……さすがに妊婦に間違えられたのは初めてだよ……。 てか……なんだって、エンジェルだ? あの男アタマに虫でも沸いてんのか……? 「どうやら、心ない男に弄ばれてしまった少女と間違われたみたいだわね。……確かにあなたって、暗がりだと金髪ショートの女の子にしか見えないものねえ」 俺のお腹から出てき...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.11.01 Tue 18:48
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 5 潜入!砂塵の砦の救出劇! 辺りを満たすは、靄がかった闇。砂の壁に点々と続くたいまつの光は、まるで浮かび上がる亡霊の魂、そのひそかな揺らめきのよう。 そこは、驚くほど巨大な砦だった。海に面し、外側からはただの切り立った岩山にしか見えない場所、そこがなんと、内側はすべて空洞だったのだ。 螺旋状に張り巡らされた砂の階段。それは、どこまでも続く堂々巡りの、終わりのない道のように思えてくる。もう、どれだけ降りたろう。この道で、正しいのかどう...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.11.01 Tue 18:42
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー しかし、顔を上げたシェーダは、泣いてはいなかった。 だが今にも涙こぼれ落ちそうに濡れたエメラルドで微笑んで、そっとこう言った。 「……私、いつもこうだわね。あなたに頼りっぱなし。あなたがいつもの勢いで、引っ張っていってくれるのをいつも待っているの。ウィルシードの天才女剣士……そんな風に言われていても、私なんか結局、一人じゃ何もできないのよ。いいえ、何もしようとしないんだわ。私は今まで、自分で何かをなしたことなんか、一度もない。だから、見てご覧なさいよ。...
波濤の戦士達〜CRESCENT BIBLE〜 | 2011.11.01 Tue 09:38
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