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自作ファンタジー小説ならなんでもいいです。
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2.選ばれし花嫁の受難(1)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 2 選ばれし花嫁の受難  馬の蹄と車輪の音。降りしきる雨露が煉瓦の道をしとしと打つ、うっとおしい響きが耳元で止まずに、苛立ちを誘う。初夏は、こうして雨も多い。もたれた窓から過ぎゆく景色を見遣ると、風にのぞける沿道の深い緑は、湿気た空気に重たく、その輪郭を雨にぼかしている。 「エヴィン様、二人の仲はあくまで円満という設定でお願いします。だからもっと僕に寄り添って下さいねっっ」  そのわずらわしい耳打ちに、俺は胸中で盛大に舌打ちをうったが、顔には出さない。同乗...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.07 Mon 10:58

1.運命の出逢いは突然に!?(4)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー  普段だったら掴みかかってなぎ倒すまでだが……日常的に塵も積もれば山となるの所に、とどめを刺されたカンジの今回の一件。俺ってば案外打ちのめされてたらしく、情けなくも涙目でこう言い返すことしかできなかった。 「だったらお前がいきゃあいいだろ、アルスっ! 料理上手だしエプロンは似合うし、世話焼き女房みたいな小うるさいその性格とくりゃ、お前みたいのが本来適任だろッ!! なのにどうしていっつも俺なんだよ!?」「……何を錯乱してやがんだ、蒼穹のチビ。そんなの、鏡見りゃわかんだ...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.06 Sun 20:31

1.運命の出逢いは突然に!?(3)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー   「お願いです! 僕の花嫁になって下さいっっっ!」「…………ーーーッ!」  男として生まれて十七年、まさかコレを言われることはあろうはずもない……という恐るべき台詞を耳にして、少々パニック状態だった俺は、元々肩を掴まれた体勢だったこともあり、あろうことかイールにあっさりと組み敷かれてしまった……ッ!  ……ま、マジでなんなんじゃあっ! この展開はぁーーッ!(滝汗) 「よせって……馬鹿…っ!」  力任せに身をよじるも、体格差がありすぎてはねのけらない! それにコイツ…...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.06 Sun 20:23

1.運命の出逢いは突然に!?(2)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー  「頭突きをしたのは確かに悪かったが……しかしお前は、いったい何をやってたんだ?」  当然の疑問に、俺は怪訝に眉を寄せた。  が。  そいつはちょっと、突然みょ〜なことをほざきだした。 「僕はですね。お昼寝中のエヴィン様をお守りしようと思いまして」  ん? ……それは何の話だ? 「なんだって?」「だからですね!」  いきなりイールが、がしッと俺の剥き出しの肩を両手でとらえてくる。いや何で剥き出しかって、上はタンクトップシャツ一枚なんだ。暖かくなってくる...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.06 Sun 10:39

1.運命の出逢いは突然に!?(1)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー   1 運命の出逢いは突然に?    眩しい金色の木漏れ日が、宙で輝きながら屈折し、目の前で鮮やかに乱舞する。ちょうど初夏を迎えようとしている今頃は、俺にとって一番好ましい季節だ。  雪をちらつかせる曇天が淡く澄み切った青色に変わり、頬を刺す氷の風がほんのり香る緩い風になる……それだけで、気持ちが生まれ変わったように清々しくなる。  冬っていったら寒くって、常に毛布にくるまっていたい季節だけれども、この時期になると屋外での昼寝が気持ちいいんだよな。 ...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.06 Sun 10:24

■偽りの花嫁〜The false bride【プロローグ】

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー  いきなりなんなんだが、この事件に関しては、俺はちょっと……語りたくない。語りたくないが……、……うん、でもこれほどに俺らしい話題って他にないだろうから、な(遠い目)……仕方がない。  定番に自己紹介からはじめるが、俺の名前はエヴィン=アルロ=リスバーン。ウィルシード王国軍で英雄・蒼穹の騎士と呼ばれている、金髪碧眼、色白小柄な、まーよくあるっちゃよくあるタイプの容姿をした17歳だ。  で、このお話っつうのは、この年齢にしてどうして俺が一国の英雄なのか? について語る...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.05 Sat 22:44

波濤の戦士達〜In summer Vacation・プロローグ

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー  久々に暇を持て余していた休日、何気なく開いたアルバムの、一番終わりの方に張られていた写真には、青い海とひまわりと、みんなの笑顔が写っていた。  楽しかった夏休みも、思い出として過ぎ去ってしまうと切ないもんだなあ。 そんじゃまあ、今回はその夏休みの事でもお話しするとしようか。  天下一品な剣の腕(正しくは適当に人並みな剣の腕)と金髪碧眼な小作りの美貌(正しくはただの発育不順)を持つこの俺、「蒼穹の騎士」エヴィン=アルロ=リスバーンは、青春まっただ中の十七歳...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.04 Fri 21:40

波濤の戦士達〜In summer vacation・エピローグ(2)【完結】

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー  俺はため息をついて、足下に落ちてたうにの殻を、ぽんと一つそこに放った。 「うぎゃっ」  ……命中。 あたったのはティルラドか。妥当だな。 「お前らなあ……バレバレだぞ?」  シェーダの笑い声を背に俺は茂みをかき分け、笑って誤魔化すリエや、うにを手に涙目になっているティルラド、赤面して慌てているアルスに、茶化すようにへらへら笑っているセルティを、軽く睨みつけた。 「ねえ、みんな揃ったところで、これから花火でもしましょうよ。おいしいものでも食べながら」  シェー...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.04 Fri 18:46

波濤の戦士達〜In summer vacation・エピローグ(1)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー  エピローグ    俺は波打ち際に足を浸して立っていた。傍らの岩場に腰下ろすはシェーダ。海の向こうへ去っていくのは、ウィルシード艦隊の黒いシルエット。感慨に浸りながら俺は無言でそれを見つめ、嵐が過ぎ去ったことを改めて実感していた。  あれから三日。  バルグリアに巣くっていた人身売買組織は解体され、全員が逮捕、ウィルシード本国にて国際法に基づいた裁判が行われることになった。艦隊は、逮捕された犯罪者たちを護送していくのだ。 「エヴィン、ティルラドった...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.04 Fri 11:21

6.波濤の戦士達(4)

JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー   背中あわせになったまま、俺とシェーダは、そっと手を握りあった。触れあった手の平から、彼女のぬくもりが、その鼓動が伝わってくる。  ……俺は絶対にあきらめない。 「……シェーダ、せーので走るぞ。ティルラドが来るまで、なんとか逃げ通すんだ」「わかったわ。でも……私、もうあまり走れる自信がないの」  見れば、シェーダの細い足は続く過労に小刻みに震え、確かにとても頼りない。仕方ない。ここは一発、いいとこ見せるか!「ちょ……エヴィンっ……!」「ちゃんと掴まってろよ、行...

三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.03 Thu 21:57

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