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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「な、なんだこのガキは……」「く、来るな……!」 エヴィンが携えた刃の残忍な輝きに、男達は後ずさりながら、しかし手にした石を力の限り投げてくる。 だが、臆さず。 走る。 マントを翻し。 全てを振り払い、全てを打ち払い、目前に迫る。 刃が、その残酷な光が、雪の中にわずかな陽光を反射して、まばゆく照り輝く………! 「……我の名は、エヴィン=アルロ=リスバーンだ!!」 「なっ……!?」 瞬間、時が止まる。 石を投げる手。 棒...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.01 Thu 11:29
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「この先が、本隊のいる噴水広場に繋がってる」 左右の焼けただれたアパートメントに挟まれて、暗く影が落ちたひそやかに静まりかえった道の先、まばゆく白い光が差し込んで、視界が開けているのがわかる。 近づくにつれ、わびしく冷たい空気の中に、微量な水の匂いが混じり出した。本格的な寒波が襲えば凍結してしまう噴水も、幸い暖冬である今年は、まだ生きているらしい。 だがそこで、シェーダが耳をそばだてた。 「随分、人が集まっているわね。まずいんじゃないかしら」 シェ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.30 Wed 22:55
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー ※※※ その銀糸には、雪が似合いだった。 わずかに吹雪く風に揺れてゆったり流れる、銀の髪。それにエヴィンが随分長いこと見とれていたのに気づいたのは、彼女の新緑きらめく瞳が、薄淡い花びらのような唇が、優しく笑みを刻んでからだった。 「なにぼーっとしてんだよ、エヴィン!」 アルスにごつんとやられ、エヴィンは思わず顔が火照るのを感じる。 「私の顔に、何かついていて? エヴィン」「い、いや。なんでもない。シェーダすまない、遅くなって」 シェーダは花の香...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.29 Tue 21:25
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー だが、瞬間。 心臓が、跳ね上がった。 弾かれたように、アルスはエヴィンの腕を咄嗟、強くつかんでいた。 見開かれる、蒼の瞳。 アルスはらしくもなく真っ青な顔で動揺し、肩で激しく息をつく。 そして、こう言いつのった。 「……飛び降りる気かッ! 何を、考えてんだ……!?」「はあ?」 エヴィンはきょとんとしてから、吹き出すように笑った。 「何を、わけのわからんことを……。下を見ようとしただけじゃないか。俺がここで育ったのは知ってるだろ?でも、のぼったのははじめて...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.28 Mon 21:45
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 1 故郷 「また……雪」 のばし、つかんでみる。 しかし、黒い皮手袋はその冷たさをじかに伝えはしなかった。 少年の眼下で雪空に晒された街は、凍えて怯える黒い影のように、生気なくわだかまる瓦礫の山だった。 故郷は、すっかり変わり果てた。その姿は、今や廃墟だった。 大火の痕。崩れた煉瓦造りの街。うずたかく積まれた瓦礫。立ちつくしたまま、燃え尽きた街の亡骸。 子供が凍えて死んでいた。ひからびた手足。それは一人や二人ではなかった。大人たちは、何もしてや...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.28 Mon 21:42
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 遠くを見ていた。 そこは、ひたすらに遠かった。 届きはしないことも、理解できた。 それでも、瞳をそらせなかった。 ただ現実(いま)から逃げ出したかったのか。 おそらくそうだろう。 弱い自分への嘲りが、暗い空を覆い尽くす。 荒れ狂う炎(ほむら)。 全てが散り、後(のち)の静寂。 胸の叫びを飲み込んで、雪は白く降り続ける。 無慈悲な世界。 どうして? 問うても答えは届かない。 どうして? 涙すら流せない現実(いま)に、深く傷ついて生きていく...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.25 Fri 23:08
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジーCRESCENT BIBLE「偽りの花嫁〜The false bride」 ウィルシード王国軍の英雄・蒼穹の騎士エヴィンは、人よりちっさい(+カワイイ)という悩みの持ち主。その悩みに拍車をかける、国軍聖大使(←軍で一番エライ人!)ティルラドからの新たな任務、それは……女装をして嫁に行け!? ……かくして、泣く泣く「偽りの花嫁」として敵陣たるデヴァンス伯爵家に乗り込むエヴィンだが、どっちもイケちゃう伯爵・イールからのマジなアタックや、何故か今回不機嫌な親友・アルスとの不仲(?)の果てに、待ち受...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.21 Mon 19:32
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「……はじめてだったんだ」 俺は、思わず固まった。 ……なんだって……? 「もしかして……アルスお前、今まで誰かとキスしたことない……?」「ああ! ねぇよッッッ!」 て・ことは。さっきのがコイツのファーストキス……? 俺がアルスのはじめての相手っつうことになんのか……? ……な、な、なんじゃそりゃあ……(滝汗) 彼女がいないのは知っちゃいたが、お前そんなにハンサムで頭良くて背も高くてモテモテのクセ今まで17年の生涯の内にまだキ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.18 Fri 11:34
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー エピローグ 「へえ〜、それで結局ふられちゃったのね、あんたってば」「そうなんですよ閣下ぁ。エヴィンさんってばつれなくって……。でも人間、あきらめも肝心ですよね」 「へえ、あんたも成長したねえ〜」「ええ。やっぱり僕は、お美しい閣下のために一生を捧げたいと思います!」 「……あ、ああ、そう……。そりゃど〜も……でもちょっと近寄らないでね」 パレスにある国軍聖大使の執務室にて、俺はティルラドとイールのそんな会話を聞きながら、部屋の隅っこにうずくまり悲しみ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.18 Fri 11:01
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「証拠をお見せします……。私が本当に愛しているのは……」 俺は静かな足取りで歩んだ。 そして、ある人物の前に立った。 「……アルス……」「え?」 アルスの点になった目と、俺の涙でいっぱいの瞳が、静かに交錯して時が止まる。 そして。 「愛してる……!」 そのまま。 俺はアルスの唇に。 思いっっっっっきり! 口づけた。 さあああーーーーッッッ! とアルスの血の気が引く壮絶な音がモロに聞こえた気がしたが、そんなこたーどー...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.18 Fri 10:56
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