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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 5 そしてすべては愛のために 死闘が始まる。 細身のレイピアをすらり抜きはなったシェーダは、まるで優雅な舞いを踊るように、次々鋭い突きを繰り出していく。 俺は思わず見とれた。やさしい微笑みすら浮かべながら、敵の剣を受け流し、または軽やかにはじきとばし。華麗に刃振るうシェーダの姿は艶やかですらあるのに、その迫力はまさに圧巻。思わず息を呑まされる。 彼女の瞳には怒りがある。気高くも猛々しい誇りがある。彼女の剣には熱い魂がこもっている。同じ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.13 Sun 21:50
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー そこでアルスが咳払いひとつ。強い口調で再び口を開いた。 「いちゃついてんじゃねえぜ、事は一刻を争うんだ。イリーアはお前の始末にすぐに戻ってくるはずだ。で? 任務続行する意志はあんのか、蒼穹の騎士さんよ」「それは無論だ」 俺の言葉にアルスは微か笑って、 「よし。じゃ、状況をまとめんぞ。イリーアの犯罪容疑は、要するにこの薬品の密売だ。裏社会での毒薬密売ルートに関わって、セルムト侯爵家の財政難を立て直そうとしたってこたとだ。 しかし社交界で悪い噂が流れ出し...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.12 Sat 22:47
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「エヴィン! 気がついたか?」 ……てか……。 お前、……アルス? いやいやいや、何も見なかったことにしよう。これは悪夢だ。そうに違いない! もっかい寝て起きればきっと醒める! 「ちょ……せっかく気がついたのにどうしてまた寝ちゃうの! 馬鹿ね、君がいけないのよアルスッ! エヴィンも、いい加減、起きなさいっ!」「は、はいっ!」 今度ははっきりと聞こえたその女性の声に、俺は無意識のうちについ返事までして、勢いよく起きあがってしまった。 呆然としつつ、辺りを見...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.12 Sat 22:39
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「さて……お話はよくわかりましたわ。貴女とイールは愛し合っている。それは確かなようですわね」 立ち上がり、窓辺で腕を組んで、考え込むように言うイリーア。 どおして今のくだりで、それが確かになっちゃったのか……。ま、まあ結果オーライっちゃオーライなんだが……うう、フクザツだ。 しっかし、高い声で喋るというのもひどく喉を酷使するもんだ。少しいがらっぽくなってしまった喉を潤そうと、俺は出されていた紅茶に手を伸ばした。 「でもね、お姫様。好きだの嫌いだの、そ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.11 Fri 14:43
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 4 ヒロイン(?)最大の危機! 暇だぁぁぁ……。 俺はソファーにひっくり返りながら、大きくあくびをした。 俺はエージェントとしては真っ向勝負を挑むタイプで、裏でこそこそ調査したりとかが苦手で仕方ない。……まあ理由としちゃ、頭脳労働全般がキライ、というのはアリアリなんだが……。だから今回のこれも、本人にとっととカマかけてしまえ、という作戦だ。 そもそも、イリーアのような狡猾なタイプは、どんなに洗ったって証拠は出ないだろうと踏んでいる。だったら直...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.11 Fri 14:40
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「エヴィンさん。ピアノ、素敵でしたよ。それに、あなたも」「ふん。またおかしな目でそうやって人を……」 「違います!」 鋭く言われて、少しびっくりした。 いつもはくねくねと気持ちが悪いイールの声が凛と張りつめ、それはとても力強くまともな男の声に聞こえた。 「確かにそういう意味でも魅力的じゃありますけどね。 僕はお相手は女性でも男性でもかまわないタイプですから、真ん中とった感じのエヴィンさんはばっちりジャストに僕の好みですけど、そういう話をしてるんじゃ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.10 Thu 12:45
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 3 午後の嵐は恋の予感? 目は口ほどにものを云うという言葉がある。確かに瞳というのは、人の心を一番忠実に投影し、物語るものではなかろうか? 瞳に込められた、言葉には出せない切なる想い。それが真っ直ぐな愛情なら、受け手はもちろん嬉しい。まあ、相手にもよるだろうが。しかし逆に、それがよこしまなものだったりすると悲惨である。これも相手如何なところあるけど……よーするに、好みでもない相手から気色悪い気配を感じるっつうのは、サイアクってことだ。 「……いや...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.10 Thu 12:42
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー ※※※ 「それは災難だったねえ〜」 という割には呑気な声。俺のティーカップを持つ手がかたかたと震え、目の前でにこにこしながら苺ミルフィーユなどほおばって幸せそうにしているこの男を絞殺したい欲求に駆られたが、なんとかおさえとく。上司いなくなると給料もらえなくなるし。 「ティルラド……お前んとこの執事はいったいなんなんだ……?」「なにって、あーいうヤツよ」 怒りに震える声で問う俺に、俺がティルラドと呼んだ目前の貴公子はあっさりと答える。 「性癖と個人の力量は別...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.07 Mon 18:47
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「……さて。確かあなた、ビアンカ姫と言ったかしら? ここは立場を公平に、話し合いといきたいわね。あなたもそのつもりでいらしたんでしょう?」 言われて、俺はまっすぐな視線でイリーアを見返す。 しかしイリーアはたじろぐことなく、薄い笑いをその口元に浮かべた 「ふふふ。意外に気の強そうな方ね。まあ全ては後の話。わたくしはもう行きます。ヘラ、ビアンカ姫にご挨拶して、同じ年頃の娘同士、屋敷を案内でもしてあげなさい」 柔らかだが、どこか有無を言わさぬ口調で言い放つ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.07 Mon 18:37
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「女の軍人にやらせりゃいいだろ!」 そう抗議もした。しかし、 「女でこの仕事任せられるくらいのエージェントって、一人しかいないの。……そう、彼女ね。彼女を人様のお嫁にやっちゃっていいの?」 そう返され、俺は口をつぐむしかなかった。例え装うだけとはいえ、彼女をイールの花嫁になど冗談じゃない。 「そもそも、仕事でウエディングドレス着ると婚期が遅れるからとか難癖つけて、とっくにきっぱりと断られたのよ。その彼女が、あんたのこと推薦してくれたのよね。 確かに...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.07 Mon 18:31
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