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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「……はじめてだったんだ」 俺は、思わず固まった。 ……な、なんだって……? 「もしかして……アルス、お前……今まで誰かと、キスしたことない……?」「ああ! ねぇよッッッ!」 えええっ!? じ、じゃあさっきのがコイツのファーストキッス……? 俺が、アルスのはじめての相手っつうことになんのか……? ……な、な、なんじゃそりゃあ……(滝汗) 彼女がいないのは知っちゃいたが、お前そんなにハンサムで頭良くて背も高くて逆ナンされるくらいモテモテのクセ、今まで17年の生涯...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.13 Fri 01:24
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー エピローグ 「へえ〜、それで結局ふられちゃったのね、あんたってば」「そうなんですよ閣下ぁ。エヴィンさんってばつれなくって……。でも人間、あきらめも肝心ですよね」「あんたも成長したねえ〜」「ええ。やっぱり僕は、お美しい閣下のために、一生を捧げたいと思います!」「……あ、ああ、そう……。そりゃど〜も……。でもちょっと近寄らないでね」 パレスにある国軍聖大使の執務室にて、俺はティルラドとイールのそんな会話を聞きながら、部屋の隅っこにうずくまり、深い悲しみに打ちひしがれ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.13 Fri 00:45
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 突然、俺が取り付いていた扉付近から、真っ白な煙が吹き出した。「な、なんだこりゃ!!」 一瞬にして煙に巻かれ、俺は視界を奪われる。その上煙が気管に入り込み、激しくむせてせき込んだ。 し、しまった……! 「……エ、エヴィンっ!」 せっぱ詰まったシェーダの声が聞こえる。 ……シェーダ? 何かあったのか……! しかし、俺も咳が止まらなくて踏み出すタイミングがとれないっ……! しかも更に悪いことに、ふと見上げれば、白く染まった俺の頭上に剣を振り上げた傭兵の影!……用意周到に...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 23:37
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 5 そしてすべては愛のために 死闘が始まる。 細身のレイピアをすらり抜きはなったシェーダは、まるで優雅な舞いを踊るように、次々鋭い突きを繰り出していく。 俺は思わず見とれた。やさしい微笑みすら浮かべながら、敵の剣を受け流し、または軽やかにはじきとばし。華麗に刃振るうシェーダの姿は、あくまで女らしくたおやかですらあるのに、その迫力はまさに圧巻。思わず息を呑まされる。 彼女の瞳には怒りがある。気高くも猛々しい誇りがある。彼女の剣には、熱い魂がこも...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 23:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「エヴィン! 気がついたか?」 ……てか……。 お前、……アルス? いやいやいや、何も見なかったことにしよう。これは悪夢だ。そうに違いない! もっかい寝て起きればきっと醒める! 「ちょ……せっかく気がついたのにどうしてまた寝ちゃうの! 馬鹿ね、君がいけないのよアルスッ! エヴィンも、いい加減、起きなさいっ!」「は、はいっ!」 今度ははっきりと聞こえたその女性の声に、俺は無意識のうちについ返事までして、勢いよく起きあがってしまった。 呆然としつつ、辺りを見...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 18:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「さて……お話はよくわかりましたわ。貴女とイールは愛し合っている。それは確かなようですわね」 立ち上がり、窓辺で腕を組んで、考え込むように言うイリーア。 どおして今のくだりで、それが確かになっちゃったのか……。ま、まあ結果オーライっちゃオーライなんだが……うう、フクザツだ。 しっかし、高い声で喋るというのもひどく喉を酷使するもんだ。 少しいがらっぽくなってしまった喉を潤そうと、俺は出されていた紅茶に手を伸ばした。 「でもね、お姫様。好きだの嫌いだの、そ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 17:47
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 4 ヒロイン(?)最大の危機! 暇だぁぁぁ……。 俺はソファーにひっくり返りながら、大きくあくびをした。 商売柄やんなきゃいけないのはやまやまなんだが、俺は裏でこそこそ調査したりとかが、どうにも苦手で仕方ない。 ……理由としちゃ、頭脳労働全般がキライ、というのはアリアリなんだが……。 だからな。本人にとっととカマかけてしまえ、という作戦で、俺はこうして本人のところに押しかけたのだ。そもそも、イリーアのような狡猾なタイプは、どんなに洗った...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 17:37
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 困惑しつつちらと窓の外を見遣ると、雨が激しくなっていた。音をたてて風が吹き荒れ、木々がたわみ薔薇が散る。それは午後の嵐。風と雨とに翻弄され、見えなくなっていた太陽の光が如き真実、その在処に、俺は唐突に気づいた。 目は口ほどにものを言う。だが俺は、表面的な言葉に邪魔され、全て見落としていたのではないだろうか? 瞳の奥に込められた、真実(ほんとう)の気持ちを……。 「イール、俺はちょっとアルスの様子を見てくるから、お前はここでケーキでも食ってろ。残りやるから...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 15:52
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「おいしいですね〜」「そりゃどーもな、イール。って、エヴィン……。一人でそんなに食う気か?」 大皿そのままかき寄せて、ケーキ丸ごとにフォークを突き立てている俺に、あきれた声でアルス。 「これくらいなら全部はいるぞ?そんなひと切れだけじゃ、腹減って夕飯まで持たないし」 イールはぽかんとしているが、しかし一方、アルスがなんだか妙な顔をして人を見てくる。 ……なんだよ? 「お前の今の見た目から、その声が出てくるのは、なんか変だな……」 ああ。そゆことか。 だよなあ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 15:24
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「エヴィンさん。ピアノ、素敵でしたよ。それに、あなたも」「ふん。またおかしな目でそうやって人を……」 「違います!」 鋭く言われて、少しびっくりした。 いつもはくねくねと気持ちが悪いイールの声が、その時は凛と張りつめて、とても力強くまともな男の声に聞こえた。 「確かに、そういう意味でも魅力的じゃありますけどね。 僕は、お相手は女性でも男性でもかまわないタイプですから、真ん中とった感じのエヴィンさんは、ばっちりジャストに僕の好みですけど。でも今は、そういう話...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2012.01.12 Thu 14:55
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