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JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「エヴィン、ちゃんと食え。さっきからくだらないことばっかり考えてんじゃねえぞ。誤魔化したって、わかってんだぞ。……今日は早く寝ろよ、少佐に感謝しろ」「……ばれてるか?もしかして」 熱が、あがってきたような気はしていたのだが。 「ばれてるもなにもな……昼間からあんな真っ暗ツラして、お前らしくねえだろ!余裕なさすぎだ。どんなにオレがハラハラしてっと思ってんだよ!とっととそのサイアクっぽいメンタル、睡眠とって整えろ!」 しかし、アルスの言うことの意味が、エヴィンに...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.09 Fri 11:36
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「君……何がしたかったの?」「……決めてたんだ」「え?」 レイは起きあがろうともせずに、ぼそぼそと言った。 「あいつが……蒼穹の騎士になったって……英雄になったって、聞いて……あんなちっこいのが、……あんなに弱々しかったあいつが……だから」 「悔しかったの? 勝負すれば、勝てるとでも思った?」「違う……」 レイは、やはり床に倒れたまま、きつく拳を握った。 「……嬉しかったんだ」 「泣いてるの……?」 シェーダの問いに、レイは答えず、床に顔を伏せて...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.08 Thu 13:08
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 3 過去 エヴィンはその晩、アルスとシェーダやリエと共に、幼少の時期を過ごした生家で、レイやスィエルと一緒に休むことになった。 同じ先遣隊を率いる上官であるアグリウス少佐のはからい、というか「命令」だった。 しばし任務を忘れ、懐かしい面々と語り明かす時間が、エヴィンには必要ではないのか、などと。 イクセレア復興計画担当の国軍先遣隊員は、夜通し、続々と到着する支援物資の供給に明け暮れる。こちらはリスバーン公爵の個人部隊だが、レイ以外の警備隊も同じ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.05 Mon 20:07
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー ウィルシード王国首都、ファングリースト。 見事な円形を描くこの街の中心には、パレスと呼ばれる白い街が広がっている。多くの王侯貴族が暮らす場所、そして政治や、軍事、法の中心地である。王国をまとめる全てのものがここにあると言っていい。 イクセレアからは離れた、国土南部にあるファングリーストだが、国自体の緯度が高い為、冬の寒さはやはり厳しい。辺り一面、真白い雪景色に照り返す月明かりが、瞳を刺す。 国軍聖大使ティラ=ルディードアは、窓辺にもたれ、じ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.04 Sun 18:35
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー リスバーン家の邸宅は、南部から街の外れに行き、西、緩やかな傾斜の丘の上にある。 屋敷の庭園は広く、しかし手入れはされていなかった。わびしく、うち捨てられた雑草だらけの庭が、かつては花に彩られていたことを思い出し、エヴィンは過去は過去の中にしかないのだと、そんな感傷を抱いた。 枯れた薔薇が巻き付くアーチをくぐって、三人は邸宅の入り口に向かった。 唐突に、遠くに見えた大きな扉が開かれた。エントランスの長い階段を下り、駆け寄ってくる影が二つ。 「...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.03 Sat 20:50
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 沈黙に耐えきれなくなったか、レイが口を開いた。 「なあ。どうして、イクセレアへの救助はこうまで遅れたのかな。詳しい説明が聞きたいんだけど」 エヴィンはうなずいた。 「まず……イクセレアは孤立都市だ。軍用の鉄道も、震災で完全に破壊されている。イクセレアを出て他の街へ避難しようにも、一番近くの街ですらかなり遠い。一部の住民は街から流れ出て南部の農村地帯で難民化したようだが、子供や年寄りにはもとより無理な行程だ。しかも今は冬。雪に閉ざされた街からは、動く...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.02 Fri 23:53
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 2 再会 レイは、いつも窓から入ってきた。 今日は、授業はこんなだった。休み時間は、廊下に立たされてばかりの悪ガキがいたずらをするものだから、ほうきでそいつを追い払ってやった。それを先生に見られて、今日は宿題が倍なんだ……。 レイのそんな話は毎日尽きることがなかった。エヴィンはいつも、そんな彼の話を、楽しみに待っていたものだった。 「懐かしいな、本当に」 エヴィンは熱く胸からこみ上げる想いに、握ったレイの手を、なかなか離せなかった。 ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.02 Fri 14:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「エヴィン様だ……」「公爵様の、息子さんだ……」 「エヴィン様、……あの小さかったエヴィン様が」「エヴィン坊ちゃんが……」 「来て、くれたんだーーーーーー!!!!!」 空を、大地を、遠い山脈を、彼方の海を、世界の果てまでの全てを揺るがす。 そは、再会の歓喜………!! 「イクセレアは我らの街だ。我らの故郷だ。 我を信じよ。己を信じよ! 今ここに、イクセレアは、生まれ変わる!!」 少年の澄んだ力強い声が、空気を轟...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.02 Fri 01:19
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「な、なんだこのガキは……」「く、来るな……!」 エヴィンが携えた刃の残忍な輝きに、男達は後ずさりながら、しかし手にした石を力の限り投げてくる。 だが、臆さず。 走る。 マントを翻し。 全てを振り払い、全てを打ち払い、目前に迫る。 刃が、その残酷な光が、雪の中にわずかな陽光を反射して、まばゆく照り輝く………! 「……我の名は、エヴィン=アルロ=リスバーンだ!!」 「なっ……!?」 瞬間、時が止まる。 石を投げる手。 棒...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.12.01 Thu 11:29
JUGEMテーマ:オリジナルファンタジー 「この先が、本隊のいる噴水広場に繋がってる」 左右の焼けただれたアパートメントに挟まれて、暗く影が落ちたひそやかに静まりかえった道の先、まばゆく白い光が差し込んで、視界が開けているのがわかる。 近づくにつれ、わびしく冷たい空気の中に、微量な水の匂いが混じり出した。本格的な寒波が襲えば凍結してしまう噴水も、幸い暖冬である今年は、まだ生きているらしい。 だがそこで、シェーダが耳をそばだてた。 「随分、人が集まっているわね。まずいんじゃないかしら」 シェ...
三日月の聖書〜Crescent Bible 波濤の戦士達 | 2011.11.30 Wed 22:55
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