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JUGEMテーマ:小説/詩 慶子は洗濯機を始動させた後、バスルームの掃除に取りかかった。 シャワーでバスタブに水をかけながらふと、昨日ショッピングモールで出会った姫奈の姿を思い出す。 ──姫奈ちゃん……しばらく見ない間に、すごく大人びて美人になってたわねえ。 水の音の下でつらつらと想いを巡らせる。 ──あの子は昔から可愛かったものね。喋り方もおませな所があって。華があるというか、人の目を惹く子だったわ。 洗剤を流し終えて水を止め、洗濯前の...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.08.10 Thu 21:42
JUGEMテーマ:小説/詩 朝の仕事のルーティンが片付いたところで、石野崎はコーヒーを一口すすってから、再度データファイルを開いた。 彩夏から送られて来た外界センサによる取得情報のすべてだ。 モニタの黒画面に久遠の文字列が現れ、一時休止し、また現れする。辛抱強く待った後『スピリット』なる語句にて検索する。 最初に見つけた一件以外、ヒットするものはなかった。 「──」石野崎はしばらく画面を見つめ、またコーヒーをすすった。「てことは……」 内...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.08.04 Fri 22:26
JUGEMテーマ:小説/詩 「ちょっと、あなたそんな服着るの?」 母の声が聞こえた。 「やだ、なんかおばさんっぽいわよ。どういう趣味なのよ」 正確には外界センサ──耳から取得した音声情報ではなく、彩夏の記憶から検出されたもの、つまり彩夏が──ニューロンが想起しているものだ。 「ねえ、ブルーとピンク、どっちがいい?」 再び母の声が聞こえた。今度は母の姿も同時に想起された。現在よりも少し若い年代に見える。両手に衣類を持って差し出している。右手にはピンク色、左手...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.07.28 Fri 22:25
JUGEMテーマ:小説/詩 馬鹿にしてた ニューロンの呟きは、急に大人しくなった。 母に再会した後続いていた高いトーンの、興奮を帯びたものはなりをひそめ、うって変わって暗く沈んだ、どんよりとした雰囲気のものに変わったのだ。 それは、母の昼食の準備を終え、母が食事を取る間家の中を見て回って良いと指示され、階段を昇り元の自室に入って書棚に並ぶ本の背表紙を捉えた直後からの変化だった。 馬鹿にしてた。 私の趣味。 私の好み。 ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.07.21 Fri 22:12
彼女がいなくなってから、数週間が経った。 最初は何かと騒がしかったこの学園も、今では何事もなかったかのように『普通』とか『日常』とか呼ばれる空気に戻っていた。彼にとってそれは苛立たしい事実でもあり、そして羨ましいと思う事実でもある。 俺なんて…。心の中で履き捨てる、俺なんて未だに彼女がもうこの世界にはいないなんて受け入れられないというのに。 何をしていても、何を考えていても、それは彼にはもう何の意味もないように思えた。それだけ彼女という存在は、自分の世界というものに溶け...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2023.07.17 Mon 23:38
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