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JUGEMテーマ:小説/詩 「あはははは」バーチャル嫁ともりゅんは間髪を入れずに爆笑した。「なにその、何か企んでそうな呼び方は」 「ええ?」亜一郎はつられて笑いながらも軽い混乱に陥った。「ええと、あはは、と、ともりゅん」 ともりゅんはじっと亜一郎を見つめる。 「――さま」亜一郎はたまらずつけ足す。 「あはははは」ともりゅんはさらに爆笑する。 TVからは法廷ドラマのエンディング曲が流れ始めた。 「あ、終った」亜一郎はTVの方に顔を向けた。「結局あんま観なか...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.02.28 Tue 17:52
そこに 画像として 完璧さを誇る写真となって 緩さを身につけて、偽物の愉快さ 数々のリアルが 偽物のそれに変わり、その子を追い越したのか追い越されたのかもわからない 手に とって みる前に 浸透する黒い笑み、その片割れ、その破片、ゆっくりとした、もう言葉は聞こえない。 プリンセスの手話を見て解釈はなく、笑みのような瞳、その奥。 森を、そう。森林の中。いつもそう、暗かった。辛さを癒す暗闇を彼等から教わった。 彼女等の気配は腐敗してしまっているから、哀しみも同時に...
写真の余白に、 | 2023.02.26 Sun 20:09
JUGEMテーマ:小説/詩 ははは、まさか。 いくらともりゅんだからって、あのともりゅんそのものが来るわけないだろう。 大体アニメのともりゅんは、中学生だったんだ。 今から来るのは、嫁だぞ。立派な大人に決まっている。実写の。現実の。 ピンポーン ドアホンが鳴る。 「はーい」亜一郎は返事しながら玄関へ向かった、心臓を最高潮に高鳴らせながら。 多少震える手で、ノブを回しドアを押す。 そこには、果たして現実の、実写の、長い...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.02.19 Sun 17:47
よるがきてあさがさる よるにあいあさにわかれる そのくりかえし はじまりはいつもそのときでおわりがいつもそのあとだ ずっとそれだった そしてそれでよかった くやむこともおしむこともない なぜならこのまちに陽がのぼることもないのだから わたしにとっての1日 それがすべてだ あのひとがきた もちろんよる だがまだそのひとといる まだよるなのだろうか 時計がそれはうそだという まどからおとがする まどからけはいがただよう そとではあたらしいときがおとずれている ここではまだだ そのひととよる ずっと
with a kiss, passing the key | 2023.02.12 Sun 00:00
JUGEMテーマ:小説/詩 「入金を確認致しました。ありがとうございます。本日十五時ゼロ分ゼロ秒よりサービスをご利用頂けます。」 というメールが届いた。 「よし」 亜一郎は呟いてメールを閉じ、代わりに、すでに設定済みのアプリを立ち上げた。 それは 『ファイナルパートナー』 なる名称のものだ。 白い画面の中に、 『ご用をおうかがいします。』 というメッセージが、浮かび上がる。 「あーあー」 端末のマイクに向かい、亜一郎は意味もなく発声練習を...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.02.11 Sat 15:05
とぷん。 人が一人落ちたにしては、随分とファンシーな音。 最後に見た君の顔は、心底私を憎いというような表情だった。 理解出来るよ。そうだろう。僕は、君の大切なものを壊したからね。 僕は君が嫌いだった。どうしてかはわからない。でも、初めて見た時から僕は君に言いようのない感情を抱いた。 君の怒った顔が心地いい。君の泣き顔が堪らない。君の憎悪に満ちた瞳が見たい。君の軽蔑に浸した瞳が狂おしい。 それらを見る為に、僕がどれほど知恵を絞ったことか。ずっと、長く、いつまでも...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2023.02.07 Tue 22:34
JUGEMテーマ:小説/詩 「終わりましたよー」 熱田氏の声で、私は目を開けた。 のろのろと起き上がると、最初に、玉の汗を浮かべて今にも気絶しそうに茫然としている森下氏の顔が目に入った。 そんなに、体力を使ったのか。 私には意外に思われた。 経を唱えたり、あきみの兄貴に語りかけたりしているのは薄らぼんやりと聞えていたが、そんなに大変な作業だとは思いもしなかった。 精神的重労働だったということか。 それはそうだろう。 なにしろ“浄霊”をしたの...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.02.05 Sun 18:49
ひとはあこがれだという おさないときにみた ゆめなのだと そしてきびしさやくるしみをぼくにかたるのだ ひたすらたえるしかない まつしかない くちからこぼれるのは そんなものいいばかりだ ここにきても ぼくはそれをしらない あめがふっている だからまだ あのひとは ははのいつくしみ そうしんじている そしてそれをだれもがさげすむのだ いいかい きみはまだ 現実を しらないのだ と ろばたでかたるかれらのものがたりを 否定しているのではない たんに ひとつのことしかみていないのだ そうおもう いま ...
with a kiss, passing the key | 2023.02.05 Sun 00:00
お知らせです。 このたび、人格OverDriveさんにて『部屋 - Rooms』を連載させていただくことになりました。1/21に開始し、絶賛連載中です。(むちゃくちゃかっこいい書影はレーベル主催者の杜 昌彦さんに作っていただきました。ありがとうございます!) 内容は様々な部屋にまつわる/部屋を舞台とした千字小説……ということで、ブログで発表していた某サイト投稿作品のリライト+書き下ろしとなります。当初思っていた以上に書下ろしが発生しそうで戦々恐々としております。どうぞお楽しみに。 あわせて本ブログの『...
水平線上の雨 | 2023.01.29 Sun 20:51
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