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JUGEMテーマ:小説/詩 慶子は気が遠くなるほどの震えを感じながら、手許の紙束から輪ゴムを外し、メモを開いた。 なるほど確かに、大層細かい字で紙面全体にびっしりと書かれてある。慶子は両眼を精一杯すがめたが、それでもまったく読み取れない。 スピリットの言う通り、ルーペで拡大して読むほかなさそうだ。 「お母さん、私が読みましょうか?」クローノイドが提案する。 「──」慶子は一瞬考えたが、すぐに微笑みつつ首を振った。「ありがとう、でもこれは、やっぱり自分で読み...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.10.12 Thu 18:46
JUGEMテーマ:小説/詩 姫奈は、圭輔さんのことが好きなのかな。 圭輔さんと、結婚したいと思っているのかな。 でも圭輔さんのこと『あいつ』って、呼んでたよね。 私がロボットになったとしても、きっと攻撃してくるって。 それは、私が圭輔さんとまた一緒に暮らさないようにするために言ったことなの? 私がいなくなった後で、今度は自分が後妻になりたいと望むからなの? 私には、どうしてもそんな風には思えない。 だって圭輔さんを奪いたいのなら、あんなに...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.10.06 Fri 23:07
JUGEMテーマ:小説/詩 「彩夏……?」慶子はクローノイドを見て呼びかけた。 それはしかし、クローノイドに対する呼びかけではなく、その中に『いる』と今し方聞いた、彩夏の──娘の『魂』に対するものだった。 「はい、お母さん」クローノイドが答える。 慶子は目をしばたたかせた。 心のどこかで、ロボットではなく綾香の『魂』からの返事が聞けるものと期待していたのかも知れない。 そんな馬鹿なことが── もう一度姫奈を見る。 姫奈もじっと慶子を見...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.09.29 Fri 22:58
JUGEMテーマ:小説/詩 「もしもし、彩夏? どうしたの?」母が電話に出てそう言った。 「お母さん、彩夏です」私は通信機構を稼働させた状態で母に発話生成した。 私の傍に立つ姫奈にも対話の内容を聞かせる方が良いと判断されたので、私の音声はそのまま音量を維持し、母からの受信音声情報も開示した。 「何か、わからないことがあった? 袋がみつからない?」母は私にそう訊いた。 「いえ、まだコンビニには行っていません」私は答えた。 「あら、そうなの、何かあった?」母は...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.09.22 Fri 21:31
JUGEMテーマ:小説/詩 「うーわ」石野崎は目を見張った。「こりゃあ……すげえなまた」 松村彩夏のCPUから送られてきた取得環境情報および生成モーションのフィードバックデータだ。 ざっくりまとめると、彩夏は自宅へ来た訪問客に対し警察介入の警告を発し、さらにその後実際に警察関係の人間とやり取りをしたようだ。 「一体、何があったの?」無精ひげをつまみながら瞬きもせず報告を見つめ続ける。「穏やかじゃないねえ」 無論、そのような報告を受けたからとい...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.09.14 Thu 10:52
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