その土地には固有の風土と、その風土が育んだ食の文化がある。気候などの自然条件が食材の恵みをもたらしたというだけではなく、この食材を活かす知恵を幾百年もかけて伝えてきたということじたいが、ひとつの文化であろう。 「身土不二」という言葉がある。人というものは、風土と分かちがたく結びついている。人もまた、土地が育てたものの一部であれば、その風土が生んだ食べ物を、その風土に固有の方法でいただくのが、もっとも理に適っている。そういう意味では、人間の躰こそは風土がつくりあげた最たるものだ。 郷土料理には季節がある。それをいただくのに相応しい祭りや行事があることも多い。その土地の旬の食べ物を、その旬にいただくことを、われわれは作法とともに伝えてきた。 ここでは、郷土料理を食文化という観点から取り上げることとする。
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