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日本に生まれた我々が、
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「青べか物語」『はじめに』vol,4/5 山本周五郎著・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学     「青べか物語」山本周五郎・新潮文庫刊 ★全文紹介   本日、vol,4/5      この町ではときたま、太陽が二つ、東と西の地平線上にあらわれる事がある。   そういうときはすぐにそっぽを向かなければ危ない。 おかしなことがあるものだ、などと云って二つの太陽を見ると、 「うみとんぼ野郎」になってしまう。   そうしてそのときにはすぐ脇の方で、獺(かわうそ)か鼬(いたち)の笑っている声が聞こえるという事であ...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.27 Thu 22:46

「青べか物語」『はじめに』vol,3/5 山本周五郎著・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学   「青べか物語」    vol,3/5  山本周五郎・新潮文庫刊   ★全文紹介     これ等の事をどんなに詳しく記した所で、浦粕町の全貌を尽くすわけにはいかない。   私も決してそんなつもりはないので、ただこの小さな物語の篇中に出てくる人たちや、出来事の背景になっているものだけを、一応予備知識として紹介したに過ぎないのである。   はじめに「沖の百万坪」と呼ばれる空き地が、この町の南に広がっていると書いた。 ...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.26 Wed 20:40

「青べか物語」『はじめに』vol,2/5 山本周五郎著・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学   「青べか物語」  vol,2/5  山本周五郎・新潮文庫刊   ★全文紹介     西の江戸川と東の海を通じる掘割が、この町を貫流していた。     蒸気河岸とこの堀に沿って、釣り舟屋が並び、洋食屋、ごったくや、地方銀行の出張所、三等郵便局、巡査駐在所、消防署、と云っても旧式な手押しポンプの入っている車庫だけであったが、   そして町役場などがあり、その裏には貧しい漁夫や、貝を採るための長い柄の付いた竹籠を作るもの...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.25 Tue 17:28

「青べか物語」『はじめに』vol,1/5 山本周五郎著・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学     「青べか物語」『はじめに』  vol,1/5  山本周五郎・新潮文庫刊   ★全文紹介    浦粕町(うらかすまち)は江戸川の最も下流にある漁師町で、貝と海苔と釣り場とで知られていた。   町はさして大きくはないが、貝の缶詰工場と、貝殻を焼いて石炭を作る工場と、冬から春にかけて無数に出来る海苔干場と、そして、魚釣りに来る客のための釣舟屋と、ごったくやといわれる小料理屋の多いのが、他の町とは違った性格を見せていた。  ...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.24 Mon 20:32

「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』最終回 vol,21/21 山本周五郎・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学   「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』最終回  vol,21/21  山本周五郎・新潮文庫刊   ★全文紹介   「おら初めて見ただよ」 と五郎さんは意味ありげな一種の目配せを三人にした、   「まるでいま笑(え)んだ柘榴(ざくろ)みてえだっただ」   三人はちょっと考えてから、急に奇声をあげて笑いだし、安なあこという一人は、テーブルを力まかせに叩いて奇声を上げた。   五郎さんが結婚して間もなく、篠崎でもゆい子が東...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.23 Sun 17:03

「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』 vol,20/21 山本周五郎・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学     「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』 vol,20/21  山本周五郎・新潮文庫刊   ★全文紹介   救いの主は五郎さんの姉であった。   父親から手紙を受け取った姉が、一人の娘を連れて北海道からはるばるやって来たのである。   娘は小柄な体ではあるが、健康そうで、縹緻(ひょうち=容色がきめ細かな様子。)もゆい子より一段とたちまさっていた。   実科女学校中退、年もゆい子より二つ若かった。 五郎さ彼女と結婚した...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.23 Sun 16:30

「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』 vol,19/21 山本周五郎・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学   ★全文紹介   浦粕第一の旦那衆である高品さんから、わたしはそれまでの事情を聞いていた。   というのが、ゆい子のあとを早く貰うために、五郎さんの父親が高品さんの本家を訪ねて、詳しい仔細を語ったからである。   予想通り、「買収した」という評判はすぐさま町中に伝わり、父親はますます嫁探しに熱中した。   こういう重複した誹謗に取り巻かれて、五郎さんがどんな日々を送ったかという事は分からない。   けれどもこの世では、...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.22 Sat 20:42

「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』 vol,18/21 山本周五郎・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学   ★全文紹介   vol,18/21   浦粕へ帰ってから、友人たちは却って否定的な気分になった。   「二時間でよ、おめえ」 と一人が云った、   「それも初めてだっていうだに、三度も幟がおっ立ったなんて考げえられっか」   「買収しただな」 と他の一人が云った、   「女に金轡(かなぐつわ)を噛ましただ」   筆者である私が、この会話を現実に聞いたのである。   場所は蒸気河岸の浦粕亭で、私は三十...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.21 Fri 21:23

反逆の詩魂ー日本近代詩人論ー(二)金子光晴  川喜田八潮 著

★川喜田八潮 公式ホームページはこちら     二 金子光晴        1    大正五年(一九一六)、数え歳二十二の時に書かれた金子光晴の初期詩篇に、「反対」とか「おこたりの歌」という、この詩人の面目躍如たる作品がある。   《僕は、少年の頃/学校に反対だった。/僕は、いままた/働くことに反対だ。//僕は第一、健康とか/正義とかが大嫌いなのだ。/健康で、正しいほど/人間を無情にするものはない。//むろん、やまと魂は反対だ。/義理人情もへどがでる。/いつ...

星辰 Sei-shin | 2022.10.21 Fri 17:25

「青べか物語」『砂と柘榴(ざくろ)』 vol,17/21 山本周五郎・新潮文庫刊

JUGEMテーマ:日本文学   ★全文紹介   vol,17/21     「砂ぐれえが何だ、砂が恐ろしくって海へ行けっか」 と父親は云った、   「喪が明けても砂を撒いたのは、おめえが蹴っぱらってへえって来るのを待て待っていたということだ、そのぐれえの察しはつくべえじゃねえかええ」 五郎さんは黙った。   事情を聞いた父親は、すぐに嫁を捜し始めた。 早くあとを貰って、篠崎を見返してやらなければ、五郎さんばかりでなく「みその」の看板にもかかわる、と思った...

「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/   | 2022.10.20 Thu 21:49

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