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JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,14/19 或る日、源太は山城屋に飲みに来た。 彼は助二郎の帳面のつけで焼酎を呷り、いくらでも呷った。 「逃げて見ろ」 と酔った源太は蒼い顔で笑いながら云った。 「逃げられるものなら逃げて見ろ、へ、いまに二人とも捉めえて火祭りにしてくれるぞ」 そして、源太も出奔した。 お繁と乳飲み子の妹とは、こうして親たちに捨てられたのであった。 町では二人を引き取ろうと言う者は無かった。 &n...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.22 Thu 22:19
JUGEMテーマ:日本文学 敬老の日になると、ホームページ「カメラ紀行 名作のふるさと」を発足当時のことを思い出す。2000年、1月にパソコン(富士通)を購入、友人Mさんに刺激されて、デジカメ、スキャナーなど次々買い入れ、インターネットに接続、9月敬老の日にhpをスタートさせた。不定期だった更新も間もなく週一回と決め、10数年後、1000回に達した後は随時更新にした。 ホームページ作成、転送その他すべて自学自習、試行錯誤でこなした。ホームページビルダーを利用、ヤフーから発信した。好評でヤフーのhp...
見る 読む 歩く | 2022.09.19 Mon 18:32
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,13/19 源太の妻は、年で言うと三十ちょっと出たくらいだから、二十五六の男とできたというだけなら、浦粕町としては決して稀有(けう)な出来事ではないが、源太の妻というのは枯れ木のように痩せてい、女には珍しく頭が禿げて、口は消防組長のわに久のように大きく、 目の縁は赤く爛(ただ)れて、 歯も半分は欠けたり抜けたりしていた。 『あんなおっかあのどこが良かったのか』 女にすたりは無...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.19 Mon 02:24
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,12/19 「なんでも持ってけ」 と彼は又どなる、 「こんな貧乏人の物が欲しけりゃあ何でも呉れてやる、さあ、手でも足でも頭でも持ってけつかれ、なんでも呉れてやるぞ」 家へ帰れないときは、というのはあまりに泥酔したということであるが、源太は消防ポンプ小屋へもぐりこんで寝た。 一日中、主人の帰りを待っていた家族は、世が更けて老けてからこっそり家を出てゆく、 ...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.11 Sun 21:06
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,11/19 彼は出る所へ出たのだ。 県の警察本部までゆき、金も地位もない者がどんな扱いを受けるかということを、自分ではっきりと経験した。そうして「大蝶」という顔役を背景にした船長が、出る所へ出るとすれば、その結果も分り切ったものであった。 源太の酒浸りが始まった。 彼は堀東の助二郎の漁船へ乗ることになったが、漁から戻るとその足で酒屋に入った。 堀の山城屋と云う店で、...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.10 Sat 20:54
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,10/19 こういう経過をたどって、本署から浦粕町へ連絡が有り、駐在所の巡査が一応大蝶丸を調べた。 その船はもう古いので、舳先の水切には無数の傷があったけれども、これが源太の船と衝突した跡だ、などと立証できる個所は無かった。 船長も一応尋問されたが、あたまから否定した。 「おらあ五番の澪木なんぞに近寄ったこたあねえ」 と船長は答えた。 「あの時は東京へ缶詰を送り出した帰りで...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.09 Fri 21:25
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,9/19 いしとは汝(なんじ)とかお前とか言うほどの意味であるが、厳太は怒って巡査駐在所へ行き、次に市の本署から、県の警察本部まで訴えに行った。 しかしどこでも彼のために動いてはくれなかった。 「証拠はあるのか」 とかれらは云った。 「大蝶丸だというはっきりした証拠があるなら取り調べてやるが、証拠の無いものはだめだ」 厳太は船を調べればわかると云った。大蝶丸の舳...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.09 Fri 21:16
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,8/19 厳太は船宿「千本」の忠なあこに発見され、その舟に助けられて帰った。 「あの穴場は深えからな」 と忠なあこは話を聞いて云った、 「とても機械を揚げるこたあ無理だな」 そして大蝶丸の事には触れなかった。 大蝶丸は町で一番大きな缶詰工場の持ち船であり、 「大蝶」の旦那は町で指折りの顔役であった。 「よし」 と厳太は自分に誓った、 「うんとふんだくってくれるぞ」 ...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.06 Tue 18:55
JUGEMテーマ:日本文学 ユーザーさん、よく来てくれたねえ💓 (*´ε`*)チュッチュ ドゾーーーーーーーーーーー!! 🍶🍣🍸🍍👧📳💋チュ 三国志演義朗読第114回vol,6/11 動画リンク https://youtu.be/sQuj0YJfnzk 【 アスカミチル関連情報 】 👧💄㈘...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.06 Tue 18:16
JUGEMテーマ:日本文学 ★全文紹介 vol,7/19 「おーい」 と源太は叫んだ、 「ここに舟があるぞ、たのむよう」 エキぞスの音で大蝶丸だとわかった。 大蝶丸なら安心であった。 この辺が釣りの穴場で、いつも釣り舟が居るということを、大蝶丸の者なら知っているはずだから。 源太はじっと舟の変(か)わるのを待った。 けれども先方はまっすぐに近寄って来、突然、霧を押し分ける様にして、 源太の目の前にあらわれ、その大...
「3分読むだけ文学通」新URL http://bungakutuu.net/ | 2022.09.05 Mon 22:13
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