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第四解剖室(スティ−ヴン・キング)

「私はまだ生きている!」解剖室の台の上で、男は身動きも出来ず、声にならない声で叫び続けていた。だが、解剖の準備は着々と進んでいく。生きながら解剖されようとする男の恐怖を描いた表題作を含む6つの作品を収録。 どの話もグロテスク。キング独特の世界が広がっている。生々し過ぎる人間の肉体が破壊されていく描写。映像にしたらきっと恐ろしいものになるだろう。心理的恐怖も圧巻。特に「黒いスーツの男」は、読む者に言いしれぬ恐怖を味わわせる。どの話もあまりに強烈過ぎて、拒否反応が起こってしまった。できればも...

のほ本♪ | 2014.12.20 Sat 15:04

王妃の館(浅田次郎)

フランスの王ルイ14世が愛する女性のために建てた「王妃の館」。今では超高級ホテルになっているが、そこに日本からツアー客がやって来た。「光」ツアーと「影」ツアー。二組のツアー客は、ホテルの同じ部屋を交互に使うという旅行会社のたくらみをまったく知らなかった・・・。 さまざまな人生を抱えた人たちが集まって「王妃の館」にやって来た。ツアーコンダクターは、ばれないように四苦八苦。そこに複雑な人間関係が絡み合って・・・。作者お得意のパターンだ。たくさんの登場人物が個性豊かに描き分けられている。そして...

のほ本♪ | 2014.12.20 Sat 15:04

なんくるない(よしもとばなな)

愛していたのに・・・。お互いの心が、まるでボタンを掛け違えてしまったようになってしまった。傷ついた心がようやく癒え始めた時、訪れた沖縄で、桃子は一人の男性と知り合った・・・。表題作を含む4つの物語を収録。 言葉が、ふわふわと綿菓子みたいに柔らかく、陽だまりみたいに暖かい。それは読む者を、心地よい世界へといざなってくれる。こちこちに凝り固まってしまった心が、ふわっと軽くなるようだ。どの物語も、やさしさに包まれている。特別な言葉なんてなくてもいい。いつもの何気ない言葉の響きだけでも、こんなに...

のほ本♪ | 2014.12.20 Sat 15:04

さまよう刃(東野圭吾)

大切な娘が、少年たちにもてあそばれ殺された。復讐の鬼となった長峰は犯人の一人を殺害し、さらにもう一人の犯人の少年を殺そうと追い求める。彼の行動は賛否両論の渦を社会に巻き起こすが・・・。 被害者の父親から犯人である少年を守るため、警察は奔走する。しかし警察の人間でさえ、長峰に同情する者がいる。「なぜあんなひどいことをした犯人を守らなければならないのか?」 同じ年頃の子供を持つ親なら、誰しも長峰のような気持ちになるのではないだろうか?少年というだけで、殺人を犯してもほんの数年で社会復帰できる...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:47

そのときは彼によろしく(市川拓司)

彼女はある日突然現れた。片手に、智史が店のドアに貼っておいた「アルバイト募集」のコピー用紙を持って・・・。 過ぎ去った遠い日の思い出を織り交ぜながら、いろいろな人たちの思いを描いた、心に響く作品。 人の心には、さまざまな思いが秘められている。子への思い、親への思い、そして愛しい人への思い。時には、伝えたいけれど伝えられないもどかしさを感じることもあるだろう。そして、とまどい、悩み、苦しみ、悲しみを感じることも。人に思いを伝えることはとても困難で勇気のいることだ。だが思いが通じたとき、人は...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:46

対岸の彼女(角田光代)

「何を変えたかったのだろう?」 同じ大学出身だという葵の会社で働くことになった小夜子。夫や子供の世話に明け暮れる日常からの脱出?さまざまな女性を、独自の視点から鋭く描き出した、直木賞受賞作品。 学生時代のように何の憂いも屈託もなく、ただお互いの存在だけをすべてと信じ、同じものを見ながらつきあうことができたなら、どんなにいいだろう。 「私はあの人たちとは違うわ。」 「あの人に私の立場なんか理解できない。」 大人になると、そういう思いが知らず知らずのうちに互いの間に深い流れを作り出す。いつの...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:46

散る。アウト(盛田隆二)

順調に行っていたはずの人生。だが、先物取引に手を出したばかりに、気づいたときには自分にとって大切なものをすべて失ってしまっていた。ホームレスとなった耕平の前に現れたのは、偽装結婚の話を持ちかける尾形だった。彼の真意ははたして何か? 坂道を転げ落ちるように、どん底まで落ちた人生。借金取りから逃げ回る日々が、彼の心を荒ませていく。尾形の話に一縷の望みをかけて、耕平はモンゴルへ飛ぶ。だがそこに待ち受けていたのは、思いもよらぬ出来事だった。舞台はモンゴルからロシアへ・・・。息をもつかせぬ展開は、...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:46

砂漠の船(篠田節子)

ホームレスの男が凍死した。そのことに娘は関わっているのか?そして男が持っていたお守り。そこに隠された秘密とは?幹郎が家族のために良かれと思って行動したことが、やがては家族を崩壊へと導いていく。何気ない日常生活の中に潜む問題を描いた作品。 家族のために最良の選択をしたと思っているのは幹郎だけだった。幹郎の思いは、かえって家族を息苦しくさせていく。だが、ほかにどんな選択肢があったというのか?幹郎に対し、男の哀れささえ感じる。たとえ家族であっても、心の奥底に流れている本質までは見抜けない。幹郎...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:46

魔球(東野圭吾)

天才といわれた須田投手率いる開陽高校は、春の選抜野球大会に出場する。大会後、捕手の北岡が愛犬とともに殺された。彼の書き残した「魔球」とは?須田が最後に投げたのは魔球だったのか?また、そこに隠された真実とは? 捕手の北岡が殺され、動揺する野球部員たち。そこへ第2の事件が!「魔球」の意味するものは?作者は、揺れ動く少年の心理をていねいに描いている。そして須田の心も・・・。誰も、本当に悪い人間なんかいない。それなのに起こってしまった事件。須田やその家族、そして仲間たちのことを思うと、やりきれな...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:46

不安な童話(恩田陸)

「私は高槻倫子の生まれ変わり?」 高槻倫子遺作展を見に行った万由子は、倫子が描いた絵を見て気を失う。気を失う直前に彼女が見たのは、ハサミで刺し殺される自分の姿!実は、高槻倫子は万由子が生まれる1年前に、ハサミで刺し殺されていたのだった・・・。 高槻倫子の過去にはいったい何があったのか?なぜ殺されたのか?死後25年たって、その真実が見え始める。倫子に関わった人たちの倫子に対する思いは恨みなのか?万由子は本当に倫子の生まれ変わりなのか?謎解きの面白さと、輪廻転生の不思議。読むに従って物語の中...

のほ本♪ | 2014.12.19 Fri 19:46

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