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JUGEMテーマ:時代小説 シリーズ最終作。彫師伊之助やこの立花登のシリーズを再読してみて、藤沢周平は一級のサスペンス作家だと再認識した。例えば、この本の「待ち伏せ」などどうだ。牢から出た三人が次々に殺されかける。いくら調べてもこの三人には同時期に入牢していた以上の繋がりが見つからない…。これなど舞台を現代に置き換えても十分通用するサスペンスの設定だろう。なお、三冊目の感想でシリーズのアクセントだと書いたおちえの昔の悪友おあきが最終話に重要な役どころで登場する。その変わり様に驚くが、...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 16:12
JUGEMテーマ:時代小説 藤沢周平の市井物では、ステレオタイプではない感情が描かれていることがある。「秋風の女」に出てくるおきぬなど、並みの話なら若い佐七をたらしこんで都合良く使う悪女という設定になるのに、もしかして本気で佐七と…と思わせて終わるところに女心の揺らぎが余韻となって残る。上手い。なお、シリーズ当初からちょくちょく顔を出す登の従妹おちえの悪友おあきの変わり様もシリーズのアクセントになっていたが、そのおあきが「奈落のおあき」ではタイトル通り奈落を見ることになる。シリー...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 16:06
JUGEMテーマ:時代小説 シリーズ二冊目。この中では「幻の女」だな。男が胸に秘めていた女が実は…という話。痛いほどの男の純情と、それを知った女の描写。最近の溝端順平主演のドラマの「幻の女」は映像だけに最後の女の描写が素晴らしかったと思うけど、小説のようなさりげない表現も過剰さがない分、心に沁みる。また、従妹のおちえとの関係も一冊目から変わってきている。前冊の最後で登に頬を叩かれたのが効いたのか、おちえの方から登に寄ってきているようで、それを登に対する呼び方の変化で表すところなど...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 16:02
JUGEMテーマ:時代小説 獄医立花登が主人公の連作短編集だが、用心棒シリーズのように全体を貫くストーリーがあるわけではない。そのため、最初の話は、このシリーズに対する作者の方向性を示す重要な意味を持っていると思うが、第一話の「雨上がり」は男女の気持ちの描き方が見事。こういう話を書いていこうという作者の意気込みを感じた。第二話「善人長屋」はそのタイトルから逆に善人のいない長屋の話なんだろうなと予測はついたものの、娘と悪人たちとの関係構成が上手い。その他の話も練られたものばかり。市井物の...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 16:01
JUGEMテーマ:時代小説 これぞサスペンス、というよりピカレスクロマンと言ったほうがいいか。飲み屋での何となしの顔見知りである4人が、各々の事情からある男の押込みの誘いに乗る。その押込みは成功するが、結局、主犯の男は捕まり、押込みに加わった4人も誘いに乗った各々の事情が遠因となって2人が死亡、ひとりが寝たきりとなる。このあたりを仲間割れが理由としなかった点、凡百の類似作品とは一線を画している。最初の章に主人公の前から突然姿を消した女のことがサラッと書かれているが、その女の存在が最後に...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:56
JUGEMテーマ:時代小説 本所しぐれ町に住む人々の日常を切り取った連作短編集。舞台が同じ町なので、何度も登場する人物が多い。藤沢周平の市井物の二大要素(?)のうち博奕の話は出てこず、もう一つの男女関係が各エピソードの中心になっている。登場人物の中で印象的だったのは女房と浮気相手の間をふらふらしている小間物屋の若旦那の栄之助。だらしなさもあそこまでいけば立派なものだと思ったが(笑)、それ相応の罰が待っていた…。他の登場人物も、くっついたり離れたりまたくっついたり、と忙しい。その様を...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:54
JUGEMテーマ:時代小説 他の本に収録されていて読んでしまっていたものもあったが、それらを除くと「しぶとい連中」が一番印象に残った。「時雨みち」の感想で藤沢作品の市井物と武家物の違いを少し書いたが、そのどちらにも、ずうずうしい人物が出てくる作品が幾つかある。悲哀を感じさせる物もあれば無気味な余韻を残す物もあるが、本書の「しぶとい連中」はユーモラスな内容。ある意味、少し仏心を出したところがたかりに喰い付かれたようなものだが、つい苦笑してしまうのは、持って帰る給料を当然のように受け取る妻...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:53
JUGEMテーマ:時代小説 藤沢周平の市井物を読んでいると、若い頃の少女のイメージをそのまま持ち続けている男の勝手な感傷をバッサリ断ち切るように、心身ともすっかり変わってしまった姿で現れる女の話がよくある。この本では「幼い声」や「時雨みち」がそれ。一方、武家物だと、あの「蝉しぐれ」のふくのように可憐なままというのが多い。主人公の女が若い頃から知っている武士が昔と変わらない心の持ち主というパターンもある。この本の「山桜」に出てくる武士などもそう。市井物と武家物のこんな違いは何故なのか、考...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:52
JUGEMテーマ:時代小説 収録作品には、この前に読んだ「闇の梯子」の各話にあった先の見えない不安な終わり方というのがほとんどない。かすかだが先に光の見える結末。両書の各作品の間にある10〜15年という歳月が作風を変えたのだろう。また、「遠ざかる声」のような意欲的な取組みも見られる。これをユーモア作品と言う人がいるけど、主人公にだけ亡くなった妻が見える、会話もする、その亡妻が主人公の再婚の邪魔をするって、これは明らかにホラーでっせ。代表作を何作も書きあげた後で、このような実験作を発表す...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:50
JUGEMテーマ:時代小説 初期の作品集。後の作品のパターンが見える。いってみれば、将来大きく育つ木の「芽」を愛でられる作品集。市井物の「父と呼べ」には悲哀、「闇の梯子」には行き場のなさ、「入墨」には哀切がある。武家物のうち「相模守は無害」は庄内藩で実際にあった騒動をもとにした話。数年後、実際の人物名を使った「長門守の陰謀」として筆者は発表するが、話の枠組みは後の用心棒シリーズなどにも使われた。藤沢周平ファンにとって押さえておきたい1冊だと思う。(2017.5.30読書メーターにUP) ...
本、読みました。 | 2020.05.02 Sat 07:49
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